貴金属の訪問買い取り規制-特定商取引法改正へ-
2011/09/30 法改正対応, 消費者取引関連法務, 特定商取引法, 法改正, その他

1 概要
消費者庁は29日、特定商取引法を改正する方針を固めた。自宅を訪問して貴金属などを強引に買い取る「押し買い」の被害を防ぐためである。 主な改正点は、原則8日以内に解約(クーリングオフ)できる規定を盛り込むこと。同庁は、訪問販売業者が買い取った貴金属をすぐに転売したり、溶解処分したりしないよう売買契約から8日以内は貴金属などを消費者の手元に置いておき、買い取り業者が持ち去ることを禁じる方針だ。その他、販売業者と同様、①訪問買い取り業者に対する契約書面の交付や勧誘前の氏名の明示の義務付け、②一度断った客への再訪の禁止といった規制をも課す予定。
2 特定商取引法とは
特定商取引法(「特定商取引に関する法律」)は訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引(マルチ商法)、特定継続的役務提供に係る取引並びに業務提供誘引販売取引の計6業種を規制する。ただ、訪問買い取りは消費者側が業者に売る形であるため、同法の規制対象外だった。
3 雑感
訪問販売や通信販売をめぐっては消費者トラブルが相次いでいるが、アクセサリーなどの貴金属の訪問買い取りをめぐる苦情や相談も近年増加している。国民生活センターによると、苦情や相談の件数は2010年度に2420件、今年度も半年間ですでに1800件を超えており、昨年を上回る勢いだ。
これまでは業者側が消費者に対し一方的に高額な商品を売りつけるケースが問題視されていた。30日付けの読売新聞の朝刊によれば、業者側の強引な勧誘のためにネックレスなどの貴金属3点をわずか計1700円で売ってしまった高齢者もいるという。今回のように、業者側が消費者の所持品を安価で買い取る事例の存在は、新たに悪質な形態が流行していることを窺わせるものであり、消費者、とりわけ独り暮らしの高齢者としては今後一層の注意が必要である。また、実物を見せるよう迫られても断固として断るなど、執拗な勧誘に対しては毅然とした態度で臨まなければならない。
今回の法改正は貴金属のみならず、それ以外の製品の訪問買い取り被害の予防や減少にもつながるだろうか。今後の動向が注目される。
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