かっぱ寿司 不正競争防止法違反の疑い
2021/07/13 コンプライアンス, 情報セキュリティ, 不正競争防止法, その他

はじめに
回転ずし店大手の「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長(45歳)が、同業他社の売上データなどを不正に受け取ったとされ、警視庁は不正競争防止法違反の疑いで本格的に捜査を開始しました。
田辺公己社長は同業のはま寿司から不正競争防止法違反の疑いで告訴されており、横浜市の本社や田辺氏の自宅が家宅捜索を受けたことを、カッパ・クリエイトは7月5日に明らかにしました。
事案の概要
田辺氏は1998年にはま寿司の親会社であるゼンショー(現ゼンショーホールディングス)に入社し、はま寿司の取締役も務めていました。
カッパ・クリエイトによると、田辺氏はカッパ・クリエイトに顧問として移った2020年11月から12月にかけて、元同僚から売上データを複数回にわたりメールで送付されていました。カッパ・クリエイトは、関係当局の捜査に全面的に協力し、対象者への処分等に関しても厳正に対処していく旨を述べています。
不正競争防止法上の営業秘密とは
営業秘密は不正競争防止法により民事上・刑事上保護されています。 営業秘密を不正に取得した者は、同法上営業秘密侵害罪として、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処せられます。
不正競争防止法上、営業秘密として保護されるには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件が必要となります(同法2条6項)。秘密管理性とは、その情報にアクセスできる者が限られており、アクセスした者が秘密であると認識できることを意味します。有用性とは、客観的に見て事業活動によって有用なものであることを意味します。非公知性とは、会社の管理下以外では一般に入手できない状態にあることを意味します。
企業法務と営業秘密
従業員が営業秘密を漏洩するのを防ぐ必要があるのはもちろんですが、退職者による営業秘密の漏洩への対抗手段も講じる必要があります。対抗手段は大別すると2種類の方法があります。
一つ目は合意により秘密保持義務を課すことです。これにより就業規則・誓約書等で定めた内容の営業秘密の持ち出し・漏洩を抑止できます。なお、合意に反する行為が採られた場合には、情報媒介物の返還請求、漏洩・使用の差止請求、損害賠償請求等の措置を採ることができます。
二つ目の方法は不正競争防止法です。不正競争防止法第2条に定める行為(営業秘密の漏洩等)を防止することができます。なお、同法に違反した場合には、漏洩・使用の差止請求、損害賠償請求、信用回復措置請求等を採ることができます。
コメント
転職が頻繁に行われる現代の日本において、競合他社の営業秘密を保持したまま転職する者は多いと思われます。そうだとすると、公になっていない事案も含めると転職のお土産として営業秘密を活用しようとする誘惑に負けて、営業秘密を漏洩・使用してしまうケースが多いのかもしれません。
企業法務従事者としては、自社の現役従業員及び退職者に営業秘密を洩らさないようにする規制を予め用意・把握しておくことはもちろんですが、競合他社から転職してきた者に対しても営業秘密を洩らさないよう規制を周知させておく必要があります。
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