大和証券グループとSBIホールディングスとの資本業務提携
2017/01/23 戦略法務, 商事法務, 会社法, 金融・証券・保険

1 事案の概要
大和証券グループ本社は23日、SBIホールディングスと確定拠出年金事業で資本業務提携すると発表しました。
具体的には、SBIホールディングス株式会社、株式会社 SBI 証券及び SBI ベネフィット・システムズ株式会社と株式会社大和証券グループ本社及び同社子会社の大和証券株式会社は、5社の間で、資本業務提携契約書を締結したとのことです。
また、大和証券グループ本社は、SBI傘下で確定拠出年金の記録管理業務をしているSBIベネフィット・システムズの株式を取得しました。具体的には、大和証券グループは、SBIベネフィット株の発行済み株式数の33.4%を取得し、持分法適用会社となります。大和証券グループが新たに投入する個人型確定拠出年金のサービスで、SBIベネフィットに顧客管理を委託し、4月からの新サービスの開始するそうです。
大和証券グループ(発表)
SBIホールディングス(発表)
2 業務提携契約
(1) 業務提携契約とは
法律上「業務提携契約」というものは存在しません。資材の調達や物流・技術開発・販売促進に関する事項等について、複数の企業が業務上において協力関係を築く契約のことを業務提携契約といいます。
そして、業務提携契約は、複合的な契約で売買契約(民法555条)・請負契約(民法632条)・委任契約(民法643条)などが絡んだものとなります。また、どのようなものを取引するのか、どのような仕事を任せるのかは、個々の業務提携によって変わってきます。
したがって、契約書作成にあたって、まずは①業務提携の目的・内容を明確にしなければなりません。また、契約書には、②業務提携の目的・内容を実現する手続・方法も具体的に記載する必要があります。さらに、後の紛争を避けるためにも③このような業務提携の結果得られた成果をどのように扱うのかについても契約書に明記しておくべきです。
業務提携契約についての注意点
(2) 業務提携の目的・内容
業務提携契約は法律に定められているわけではなく、売買契約や請負契約・委任契約の側面が絡み合ってできたものです。そうすると、契約当事者間でトラブルになったときは、業務委託契約と同様に、その契約の目的・内容からどのような契約類型に分類されるのかの決定が重要です。そこで、契約書には、どのような目的でどの範囲で業務の提携を行うのかについてをできる限り具体的に記載しておくべきです。
(3) 業務提携の方法
業務提携契約をする際にはある特定の事業を共同して実施することにした場合、具体的な事業の実施について様々な方法が考えられます。後の紛争を回避するために、事業の実施方法についてできる限り具体的に契約書に記載しておくべきです。
(4) 業務提携の成果
業務提携の成果には資材調達にかかるコストダウンや販売利益の増大といったものから、知的財産など多岐にわたります。その際どちらに権利が帰属するのか定められていないと後で紛争になりやすくなります。したがって、事業提携の成果をどのように帰属させるのかについて、あらかじめ契約書に記載しておくべきです。
事業提携を押し進める企業が注意すべき提携契約書の法務リスク
業務提携契約書作成のポイント
3 資本提携
資本提携とは、資本参加を伴う業務提携をいいます。増資の引き受けなどにより、一定の株式を持つことで、単なる業務提携に比べ、より強い関係を作ることができます。
資本・業務提携
4 コメント
企業にとって業務提携は大きな事業ですので、業務提携契約書などに不備があった場合には自社に大きな損害を出す可能性があります。したがって、業務提携契約書をよく精査する必要があります。具体的には業務の目的・内容が一番注意が必要です。
また、法務担当者だけで完結することもありますが、他の事業部・管理部とコミュニケーションを取りながら決定することが重要となります。
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