【コラム】法務の鉄人(2) 「議事録」
2021/12/05 商事法務, 総会対応, 会社法

はじめに
このコラムは、「法務やコンプライアンスの知識はあるが、どうにも会社でうまくやっていけない」というような法務・コンプライアンスパーソンが、社内で活躍して大きな役割を担えるように育つための手助け」に主眼を置き、メンターやマネージャーもそんな法務の雛鳥たちを成長させるためのヒントに使っていただけることを目的としている。
新人・新参が「議事録作り」をした方がいい理由①
さて前回、「ランチ」を部署の同僚や事業部のメンバーと食べることで、その存在を売り込み段々と仕事に入っていけるようになった法務業界の雛鳥たちが次のすべきこと、それは、「議事録作り」である。
ランチで顔を売り、同じ会社の構成員であり、どうやら仕事もしっかりやれそうだとなると、次は会議/ミーティングへの出席が許されるであろう。ミーティングへの参加をかなり保守的に考えて、なかなか許さないマネージャーもいらっしゃるが、私は時間が許す限り、どんどん参加させるべきだと考える。
ここで雛鳥たちがミーティングに参加してするべきことは、
・プロジェクトに関わっている人たちのメンバー(顔)を知る
・議事録を作ること
である。本稿では、「議事録を作ること」について話をしたい。
マネージャーやメンターが雛鳥たちに議事録を作ってもらうとしても、初めからその内容の正確性に期待はしていない。ここで意図しているのは、議論を聞き、自分なりにメモすることで、行われている議論の内容を理解し、ひいては事業の内容を理解してもらおうということである。
入社したばかりで、特に別の業界から来たり、就業経験が浅い法務担当者は、事業の内容を理解するのも大変なはずである。こうやって、多くの会議に出席することで、顔を売り、事業ごとの内容や課題を1つ1つ理解していくのだ。
議事録はPCで作るのがいいだろう。作った議事録は、上長やメンターに見せて、コメントをもらったり、アドバイスをもらうのも良いだろう。あるいは、自分で注釈やコメントを付けて、自分用のノートとしてバージョンアップさせていくのも良いかもしれない。
私の経験では、社会人の経験があっても、入社まもなくからビジネスをしっかりと理解して議事録を作れるという方は非常に少ない。業界の言葉が分からないからである。
しかし、これを1ヶ月、2ヶ月と繰り返していくと、議事録の質も上がっていく。そうなってくると、会議に出席して「しっかりと議論の内容をわかっている人」になっていくのである。
新人・新参が「議事録作り」をした方がいい理由②
さて、今回の課題は簡単?
まだまだ先は長い。
しっかりと議事録を書けるようになってきたら、意識するのは議事録作りの2つ目の目的だ。議事録の本来の目的である、ミーティングでどんな話がなされ、どんな合意が得られたということを確認できる証拠のための議事録作りである。
勢いのある会社は忙しい。社内のミーティングで管理部門と事業部で話をしたのだけれど、なかなか次のミーティングが設定できない。そうこうしているうちに時間が経って、ミーティングでどうなっていたんだっけ?なんてことがある。言った言わないで揉めることもあるだろう。
こうした事態を防ぐために、ミーティングに参加したら議事録を作る。そして、ミーティングが終わったあとに、関係者にその議事録をメールなどで展開する。間違いや付け加えるべきことがあればその旨連絡をくれるようお願いしよう。
そうすると、
メリット1:議論の内容が整理される
メリット2:議論の記録を残すことができる
メリット3:ミーティングの成果をはっきりさせることができる
メリット4:自分の存在と名前を売ることができる
メリット5:プロジェクトの質を上げることができる
そして、一番重要なことは、これを早く!速く!行うこと。
お礼状を書くのと同じで、モタモタやって忘れた頃届いても意味がない。ミーティングが終わって自席に戻ったら早速とりかかろう。遅くとも一時間以内には送りたい。
更に応用編。
ミーティングが複数言語で行われたら?
この場合には、複数言語で議事録を作りたいところである。なぜならば、言語間の理解のギャップが致命的なものになりかねないからだ。
それはともかく、早く正確に議事録を作れるようになることは、仕事で即戦力になれるための近道でもあるのだ。
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本コラムは著者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラム内容を業務判断のために使用し発生する一切の損害等については責任を追いかねます。事業課題をご検討の際は、自己責任の下、業務内容に則して適宜弁護士のアドバイスを仰ぐなどしてご対応ください。
【筆者プロフィール】 Harbinger(ハービンジャー) 法学部、法科大学院卒。
その後、稀に見る超ブラック企業での1人法務を経て、スタートアップ準備(出資集め、許認可等、会社法手続き、事業計画等)を経験。転職した後、東証一部上場企業の法務部で、クロスボーダーM&Aを50社ほど経験。また、グローバルコンプライアンス体制の構築に従事。 現職はIT企業のコンプライアンス担当。大学において、ビジネス法の講師も行う。 |
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