5月から施行、改正金商法の30%ルールについて
2026/05/08 金融法務, コンプライアンス, 金融商品取引法, 金融・証券・保険

はじめに
今月1日から改正金融商品取引法の一部が施行となりました。公開買付の30%ルールや大量保有報告制度に関するものです。今回は改正法の概要を見ていきます。
令和6年金商法改正
2024年5月15日、参議院本会議で金融商品取引法の改正案が可決成立しました。今回の改正の主要な柱は、
(1)資産運用立国の実現に向けた投資運用業者の参入規制見直し
(2)スタートアップ育成に向けた非上場株式等の規制見直し
(3)株式公開買付け・大量保有報告制度の見直し
の3本となっています。
これらは2023年12月に公表された「金融審議会市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書」と「金融審議会公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ報告」に基づいており、また当時の政府の目指すNISA拡大、家計金融資産を投資へ誘導、東京市場の国際競争力強化といった目的も背景にあると言えます。
以下、公開買付制度の見直しと大量保有報告規制について見ていきます。
株式公開買付制度の見直し
金商法では一定規模の株式の買取について公開買付(TOB)によることが義務付けられている場合があります。これを一般に「義務的公開買付」と言います(27条の2)。これは株式取得に関して適切な情報開示によって他の株主に公平な取引の機会を与え、また少数株主を保護することを目的としています。
具体的に公開買付が義務付けられる場合として、まず市場外で買付けを行った際に株式の保有割合が5%を超える場合に公開買付が必要となります(27条の2第1項1号)。これを一般に「5%ルール」と言います。5%保有する株主は会社の株価等に与える影響が大きいためです。
ただし、著しく少数の者から買付けを行う場合は義務が免除される場合があります。
次に、市場内、市場外を問わず買付け後に株式保有割合が3分の1を超える場合は公開買付が義務付けられていました。こちらは一般に「1/3ルール」と言います。このルールが適用される場合として、市場外で60日間に10人以内の株主から買い付ける場合、市場内でToSTNeTなどで立会外取引等を行う場合、市場内外で急速な買付けを行う場合などで保有割合が3分の1を超える場合とされます。
今回の改正法によってこの3分の1という基準が30%に引き下げられました。これは株主総会での議決権行使において概ね30%を超えた場合に会社支配権に重大な影響を及ぼすことを考慮されたとのことです。これにより公開買付が必要となる範囲が拡大されることとなります。
大量保有報告制度の見直し
大量保有報告制度とは、上場会社の株式の保有割合が5%を超えた場合に内閣総理大臣(金融庁長官)に報告することを義務付ける制度を言います(27条の23)。大量保有者となった日から5営業日以内に大量保有報告書を提出する必要があります。
この大量保有報告書では保有目的の記載が義務付けられており、重要提案行為等を目的とするか、または純投資その他が目的かを記載します。今回の改正でまず重要提案行為の範囲の明確化が図られており、(1)発行体への提案であること、(2)内閣府令列挙事由に該当すること、(3)重大な変更または重大な影響を与えることを目的とすることの3つ観点で判断されるとのことです。
次に、共同保有者の範囲も明確化されています。投資家間での協働のうち、経営に重要な影響を与えることを目的としない一定の場合には保有割合の合算対象から除外されることが明確化されました。
これらの他にも現金決済型デリバティブ取引のうちの一定のものも報告対象に追加され、経済的な理解関係の実態をより適切に反映させる仕組みとなっています。
コメント
以上のように今回施行された令和6年改正金商法では公開買付が義務付けられる範囲が3分の1から30%に引き下げられ、義務的公開買付の範囲が拡大されたこととなります。
また、大量保有報告制度についてもその対象となる場合の明確化が図られています。これまでの曖昧で複雑な報告の特例では実務上支障が出るおそれがあったとされ、改善が図られています。
さらに先月10日、仮想通貨などの暗号資産を金融商品に含め規制する改正案が閣議決定されました。未公開情報などをもとに売買するインサイダー取引規制や仮想通貨発行者に情報公開を義務付ける規制内容が盛り込まれているとされます。これら改正の動きを注視し、柔軟に対応できるよう準備しておくことが重要と言えるでしょう。
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