文科省 女性のキャリアアップ施策「学び直し」拡充
2014/08/14 労務法務, 労働法全般, その他
事案の概要
安倍政権は日本経済再生に向けて、3つの政策を掲げている。①大胆な金融政策、②機動的な財政政策、③企業や国民の自信を回復し、「期待」を「行動」へ変える日本再興戦略という「3本の矢」である。この③における「女性の活躍推進」施策のひとつ、公民館や大学で、再就職先に応じた専門知識・技能を学び、退職後のブランクを補うことで社会復帰を支援する「学び直し」について、文部科学省は来年度から学べるプログラム(「環境・エネルギー」,「食・農林水産」,「医療・福祉・健康」などを今後の成長分野と位置づけ、専門的な技能や知識を身につける。)を倍増し、さらに全国へ広げていく方針である。
コメント
現在日本では、少子高齢化による生産年齢人口の減少、海外を含む企業間競争の中で性別に関わらず優秀な人材確保の必要性、生活関連商品の需要側の多くは女性であるが、提供側の企業等における女性の意思決定権者は少ないという問題がある。これらの問題に対し「女性の活躍推進」は労働力人口の増加、埋もれている優秀な人材の活用、生活者の視点に立った市場の創造をかなえるものとして掲げられた施策である。
現状として、女性の労働力率(生産年齢人口〔15歳以上人口〕中に占める労働力人口の比率)は、第1子出産を機に離職する女性は6割にもおよび、子育て期にあたる30歳代は、働き盛りでありながらも労働力率が低い。大学/大学院卒の復職率は4割程度しかなく、専門知識やスキルが埋もれてしまっている。
女性が妊娠・出産・子育てをきっかけとして勤務先をやめる理由は、就業時間の長さや企業による両立支援制度が不十分であることなども大きな理由ではあるが、出産や育児でブランクが空いてしまい自信が持てない、違う業種に進みたいなど、知識やスキルに起因する要素が大きい。そこで登場したのが「学び直し」であり、既存の「教育訓練給付制度」の強化版ともいえる。
学び直しは、今年度からは厚生労働省も加わり、教育だけでなく求職活動を支援する形に拡充している。さらなるキャリア・アップを図るだけでなく、異業種への転換を目的とした訓練も受けられる。
企業側としては、雇用後人材育成に時間も費用もかけずに、すでに成長分野の最新の知識・技能を身に付けた人材を確保する機会を得ることができるようになる。先日発表した「女性活躍企業」政府認定制による女性の雇用機会の強化とあわせて、女性も加わったオールジャパンでの経済再興に結び付けられるか注目される。
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