ジェットスターCAの休憩なし問題で調停成立/労基法上の休憩時間の考え方とは
2026/04/01   労務法務, コンプライアンス, 労働法全般

はじめに

航空会社の「ジェットスター・ジャパン」の客室乗務員(CA)らが「勤務中に休憩がないのは違法」として同社を訴えていた訴訟で3月24日、調停が成立していたことがわかりました。機内清掃を外部委託するなどして休憩時間を確保するとのことです。今回は労基法の休憩時間について見ていきます。

 

事案の概要

報道などによりますと、原告のCAらは複数区間の乗務を1日の間に担当し、到着から次の搭乗までに客室清掃などがあるため最大で十数時間の間実質的に休憩が無い状態だったとされます。

そこで、ジェットスターのCAら35名はフライトなど長時間の拘束が続く勤務中に休憩がないのは労働基準法に違反するとして、会社に休憩の確保を求め東京地裁に提訴しました。
会社側は運航中に客室サービスが終了すれば「クルーレスト」と呼ばれる場所で業務をせず休めると反論していたといいます。

これに対し、東京地裁は「クルーレストでの滞在も緊張度が低いとは認められず休憩に当たらない」として会社側の安全配慮義務違反を認め、休憩の確保を命じました。
判決を受け、ジェットスター側は即日控訴していました。

 

労基法の休憩時間規制

労働基準法34条1項では、「使用者は労働者の労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定しています。この条文は、労働者の心身の健康維持を目的としています。

ここでいう「休憩時間」は原則として労働者全員に一斉に与える必要があります(同2項)。ただし、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者と書面による協定がある場合は例外が認められています(同項ただし書き)。

また、休憩時間は労働者が自由に利用できるようにしなければならないとされています(同3項)。

ここでいう「労働時間」とは一般的に労働者が会社の指揮命令下に置かれている時間を言うとされています。
つまり、「休憩時間」とは会社の指揮命令下から解放されている状態である必要があるということです。過去の判例でも、休憩時間とされていた時間に制服着用が義務付けられ会社の指示があれば即座に対応しなければならないといったケースで「休憩時間」該当性が否定されています(大阪地裁平成16年3月31日)。

 

長距離運行の特例

上記のように労基法では6時間を超える労働の場合は労働者に休憩時間を与えることが義務付けられています。しかし、労働基準法施行規則32条1項ではその例外が定められています。それが長距離運行の特例です。

同特例では列車や自動車、船舶、航空機等に乗務する運転手や操縦士、車掌、荷扱主、給仕などの乗務員は「長距離にわたり継続して乗務するもの」として労基法34条の規定にかかわらず休憩時間を与えないことができるとされています。

また、これらに該当しない乗務員でも、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折り返しによる待ち合わせ時間その他の時間の合計が休憩時間に相当するときも休憩時間を与えないことができるとされます(同2項)。

なお、「長距離」とは通達によりますと運行の所要時間が6時間を超える区間について連続して乗務して勤務する場合を言うとされています(昭和39年6月29日基発355号)。

 

トラック運転手の場合

長時間運転を行うトラックドライバーについては厚労大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が出されています。この基準によれば、まず、トラックドライバーについては1日の拘束時間は原則として13時間、延長しても最大16時間とされています。

そのうえで、連続運転時間は4時間までとされており、4時間ごとに合計30分以上の休憩を取らせることが必要とされています。また、これとは別に休息期間として勤務終了後、次の勤務開始までに連続8時間以上の休息期間が必要とされています。

なお、荷待ち時間など業務がない状態でも使用者の指揮命令下になる場合は労働時間とみなされ、休憩時間には該当しないとされています。

 

コメント

本件の一審である東京地裁は、複数回離着陸を繰り返す同社の運行時間は6時間に満たず「長距離乗務」該当しないとし、またクルーレストでの滞在も休憩には当たらないとして労働基準法施行規則32条の適用はないとしました。

東京高裁での調停では、
・4区間以上の連続乗務の場合は機内清掃を外部委託すること
・やむを得ずCAが清掃する場合は1回あたり3千円の手当を支給すること
・4区間以上の連続乗務は1区間あたり500円の手当を支給し、月に3回を上限とすること

などの合意がなされたとのことです。

以上のように、労基法では原則として労働時間が6時間を超える場合に休憩時間を付与することが義務付けられています。
また、長距離運行の特例やトラック運転手に関する告示など現状規制が複雑なものとなっています。

長時間の拘束を要する場合など、労働時間や休憩時間などの管理が適切にできているかを今一度確認しておくことが重要と言えるでしょう。

 

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