政府がビッグデータ活用のための法整備に着手
2013/11/22 コンプライアンス, 情報セキュリティ, 個人情報保護法, その他
事案の概要
政府は、典型的なデータベースソフトウェアが把握し、蓄積し、運用し、分析できる能力を超えたサイズのデータ(これを「ビッグデータ」という)を事業者が活用できるようにするための法整備に着手することを決めた。
現在、個人情報保護法では、本人の同意なく「個人データ」を第三者に提供することを禁じているが(個人情報保護法23条1項)、匿名化された個人情報は同条項の「個人データ」に該当しないため同法による規制がない。
※「個人データ」とは個人情報データベース等を構成する個人情報の事をいう。
そこで、①事業者に個人を特定できないような技術的措置を義務付け、②データの提供を受けた事業者が個人を特定したり、他の事業者にデータを提供すること禁止し、③運用が適切になされているか監視する第三者機関の設置などを規定する。
その上で、匿名化された個人情報について本人の同意なく第三者に提供することができ、また利用目的を変更する事ができるようにし、ビッグデータのビジネスへの活用を促すとしている。
コメント
政府がこのような法整備に乗り出したのは、EUの個人情報保護基準に合わせることで、EU圏から個人データの移転を受けることできるようにし、データのやり取りを可能とする事にあるとされる。
これによって、より多くのデータを活用できることは日本企業にとっては利益となる。
また、そのために匿名化された個人情報についても新たに規制がなされることは消費者のプライバシー保護にとってマイナスではない。
しかし、多くのデータが利用されるようになることで、匿名化された複数の個人データが同一の情報保有者の下に集まり、個人の特定が可能となれば、消費者のプライバシーが侵害されるおそれがあることも否定出来ない。
匿名化された複数の個人データが一元化されることによるプライバシーの侵害について、有効な手立てが立てられないとするならば、データ利用に制限がかかる可能性もあるかもしれない。
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