QAで学ぶ契約書作成・審査の基礎第57回 共同研究開発契約:~末尾
2023/10/01   契約法務, 情報セキュリティ, 不正競争防止法

UniLaw 企業法務研究所 代表 浅井敏雄


第54回から共同研究開発契約について具体的な条項を提示した上解説しています。今回は, 本成果の開示・公表/共同研究開発終了後の改良発明等の取扱い/第三者との共同研究開発/秘密保持/解除/反社会的勢力の排除/存続条項/一般条項, に関する規定例を提示しその内容を解説します。[1] 最終回ですので, 本契約の全文をこちらからダウンロードできるようにしました。

なお, 今回をもって, この「QAで学ぶ契約書作成・審査の基礎」シリーズを終了いたします。2021年6月1日から毎月2回記事を公開してきた本シリーズも, 2年4か月弱をかけ, ついに, 今回の第57回で無事に完結させることができました。本シリーズは, 企業法務担当者向けに契約書(国内契約)作成・審査のA,B,Cと, できれば実践につながる知識・ノウハウまでカバーできればと思いながら執筆してきましたが, 読者の皆様に少しでもお役に立てたなら幸いです。本シリーズの記事を一度でもご覧いただいた方々に感謝いたします。

 

【目 次】

(各箇所をクリックすると該当箇所にジャンプします)

Q1:契約名称・研究開発要項・署名欄

Q2:定 義 (以上第54回)

Q3:共同研究開発の実施

Q4:情報交換

Q5:全体詳細スケジュールの作成

Q6:報告・協議及び内容変更

Q7:研究開発参加者及び実施場所

Q8:研究開発用素材・設備等及び費用負担

Q9:共同研究開発の実施期間, 中止, 期間延長

Q10:実績報告書の作成 (以上第55回)

Q11:本成果の帰属及び出願その他権利保全手続

Q12:本成果の利用 (以上第56回)

Q13:本成果の開示・公表

Q14:共同研究開発終了後の改良発明等の取扱い

Q15:第三者との共同研究開発

Q16:秘密保持

Q17:解 除

Q18:反社会的勢力の排除

Q19:存続条項

Q20:一般条項

 

Q13:本成果の開示・公表


A13: 以下に規定例を示します。
 

第12条   本成果の開示・公表

1.       甲及び乙は, 本成果を第三者に開示し又は公表してはならない。但し, 次項に従い相手方の同意を得た場合を除く。

2.       甲及び乙は, 本成果を第三者に開示し又は公表することを希望する場合, その内容, 範囲, 方法等に関し, 事前に相手方と協議し相手方の同意を書面で得るものとする。

【解 説】


本成果には, 営業秘密・ノウハウ等として秘密保持・秘匿化すべきものもあるので, 上記規定例では, 原則として, 本成果の第三者への開示・公表を禁止するとともに, 当事者が開示・公表を希望する場合には, 相手方の同意を得るものとしています。

これに対し, 一方当事者が大学の場合は, 研究成果を公表し社会還元するという大学の社会的使命から, 研究成果を, 所定の範囲で所定の手続に従い公表できるように規定する例が多いと言えます(例:東京大学の「共同研究開発契約書」のひな型30条)。

又, 民間企業の場合も, スタートアップ企業が資金調達の必要から一定範囲内での開示・公表が必要なときは, 例えば, 経産省・特許庁公表「共同研究開発契約書(新素材編)」第13条のように, 大手企業等との共同研究開発の開始の事実を予め契約に定める一定の範囲内で開示・公表できるものとし, その成果についても所定の手続に従い協議・合意した範囲内で開示・公表できるものとする例があります。

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Q14:共同研究開発終了後の改良発明等の取扱い


A14: 以下に規定例を示します。
 

第13条   共同研究開発終了後の改良発明等の取扱い

1.       甲及び乙は, 本共同研究開発の終了後○年以内に本成果を利用した発明, 考案又は意匠の創作(以下「改良発明等」という)について出願をしようとする場合, その出願の前に, 又は出願を急ぐ必要がある場合には出願の30日後までに, 出願の内容を書面で相手方に通知するものとする。

2.       甲及び乙は, 前項の場合において, 相手方が改良発明等の利用を希望し又は改良発明等が本成果に該当すると主張する場合, 相互に協議の上, その取扱いを定めるものとする。

3.       改良発明等の範囲は, 本成果に対し特許法第72条に定める「利用」又は「抵触」の関係にある範囲とする。

【解 説】


本共同研究開発の終了後に一方当事者が本成果に関連する発明等について出願を行った場合, (i)その出願に基づき得られる特許権により相手方による本成果の利用に支障が生じ, 又は, (ii)その発明等が, 本当は本共同研究開発の実施期間中になされたもので, 本来, 本契約に基づく成果(すなわち「本成果」)として本契約の規定によりその知的財産権の帰属や利用が取扱われるべきものであることが判明する可能性はあります。そこで, 上記の規定例では, そのような場合に備え, 改良発明等を出願しようとする当事者に対し, 共同研究開発終了後の一定期間, その出願の内容を相手方に通知することとしています。

これに対し, 上記(i)については, このような条項は, 本共同研究開発の終了後も, 改良発明をした当事者に制限を課すものであるが, 例えば, 同業者間では, 共同研究開発終了後はお互いに何ら制限されることなく自由に研究開発・競争をすべきだと考える場合もあります。又, 上記(ii)については, (通知がなくても相手方がその出願に気付けるかという問題はあるものの, )元々本契約の問題として処理すればよいと考えることもできます。そこで, このような規定を設けないことも当然あります。

【第1項:「共同研究開発の終了後○年以内」この期間は, あまりに長ければ当事者を必要以上に制限するおそれがあるので, 例えば, 1年, 2年等, 適切な期間を設定すべきです。

【第3項:改良発明等の範囲】通知すべき範囲を, 例えば「本共同研究開発に関連する発明等」のようにあまりに広くすれば, 当事者を必要以上に制限するおそれがあります。そこで, 上記規定例では, 本成果に対し特許法72条に定める「利用」(改良発明等を利用すれば本成果の全部利用となるがその逆は成立しない関係)又は「抵触」(本成果と改良発明等の間で, 互いに一方を利用すれば必ず他方を全部利用することになる双方的利用関係)の関係[2]にある範囲に限定しています。

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Q15:第三者との共同研究開発


A15: 以下に規定例を示します。なお, 後記【解説】で説明する箇所等を下線で示しています。
 第14条   第三者との共同研究開発及び技術導入

(A案)

1.       甲及び乙は, 本共同研究開発の実施期間中に, 相手方の書面による事前の同意を得ることなく, 本共同研究開発と同一又は極めて密接に関連するテーマの研究開発を第三者と共同で行ってはならない。

2.       甲及び乙は, 本共同研究開発の実施期間中に, 相手方の書面による事前の同意を得ないで, 本共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を第三者から導入してはならない。

(B案)

1.       本契約は, 甲又は乙が, 次条に定める秘密保持義務を遵守する限り, 本共同研究開発の実施期間中に, 本共同研究開発と同一又は類似するテーマの研究開発を第三者と共同で行うことを妨げるものではない。

2.       本契約は, 甲又は乙が, 次条に定める秘密保持義務を遵守する限り, 本共同研究開発の実施期間中に, 本共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を第三者から導入することをすることを妨げるものではない。

【解 説】


上記の(A案)の第1項は, 両当事者を本共同研究開発に専念させることや, 秘密情報の流用, 秘密情報の混同・コンタミネーション, 本成果と第三者との研究開発の成果の混同・コンタミネーションを防止することを目的として本, 本共同研究開発と同一又は極めて密接に関連するテーマの研究開発を第三者と共同で行うことを制限するものです。

上記の(A案)の第2項は, 同様の目的で, 本共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を第三者から導入することを制限するものです。

これらの制限に関し, 公取委「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」(改定:平成29年6月16日)(以下「共同研究開発指針」)では, 「共同研究開発のテーマ以外のテーマの研究開発を制限すること」及び「共同研究開発のテーマと同一のテーマの研究開発を共同研究開発終了後について制限すること」を, 原則として「不公正な取引方法に該当するおそれが強い事項」としつつ(第2(1)ウ[1][2]), 「共同研究開発のテーマと同一のテーマの独自の又は第三者との研究開発共同研究開発実施期間中について制限すること」, 及び, 「共同研究開発の成果について争いが生じることを防止するため又は参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に, 共同研究開発のテーマと極めて密接に関連するテーマの第三者との研究開発共同研究開発実施期間中について制限すること」, 「参加者を共同研究開発に専念させるために必要と認められる場合に, 共同研究開発実施期間中において, 共同研究開発の目的とする技術と同種の技術を他から導入することを制限すること」(「共同研究開発の実施のために必要な範囲を超え(る)」場合を除く)は, 「原則として不公正な取引方法に該当しないと認められる事項」としています(第2(2)ア[7][8][10])。

従って, 上記(A案)の内容は, 一部, 実質的に目的要件を満たす必要があるものの, 独占禁止法の観点からも有効と考えられます。

なお, 上記(A案)第1項の「本共同研究開発と同一又は極めて密接に関連するテーマの研究開発を第三者と共同で行ってはならない」の部分を「本共同研究開発と同一又は類似するテーマの研究開発を第三者と共同で行い又は第三者に委託してはならない」のうようにする規定例もありますが, 上記(A案)では, 上記の「共同研究開発指針」に従った記載としています。但し, 上記(A案)でも「極めて密接に関連する」の解釈について争いが生じるおそれはあります。

一方, 上記(A案)のような制限を行わない場合は, 上記の(B案)のようにその旨明記することも考えられますが, そもそも何らの規定も置かないこと(当然制限なく自由)も考えられます。

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Q16:秘密保持


A16: 以下に規定例を示します。なお, 後記【解説】で説明する箇所等を下線で示しています。
 

第15条   秘密保持

1.      甲及び乙は, 本共同研究開発及び本契約の存在及び内容, 本成果, 実績報告書, 並びに, 本共同研究開発の実施上相手方から提供された素材, 機器及びその他有体物その他本契約の履行上相手方から提供された又は得た技術上又は営業上その他業務上の情報その他のもの(以下「秘密情報」と総称する)を, 本契約に別段の定めがある場合又は相手方の書面による事前同意を得た場合を除き, 本契約の履行のため(以下「使用目的」という)にのみ使用し, かつ, 各自の研究開発参加者及びその他本契約履行のために秘密情報を知る必要のある各自の従業員, 役員等(以下「研究開発参加者等」という)以外の者に開示・漏洩してはならない。本項に定める義務は, 本契約終了後存続するものとする

2.      前項にかかわらず, 次の各号のいずれかに該当する情報は秘密情報に該当しないものとする。

(1)   それを知った時点で, 既に適法に知得していたかもしくは公知となっていた情報, 又はその後, 自己の責めによらず公知となった情報

(2)   相手方の秘密情報によらず独自に開発又は作成した情報

(3)   第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に入手した情報

3.      甲及び乙は, 相手方から開示を受けた秘密情報について, その使用目的を達成した場合, その使用の必要性が失われた場合又は相手方からの要求があった場合には, 速やかに当該秘密情報を含む資料, 物品等, 及びそれらの複製物について, 相手方の指示に従い返還, 削除・消去その他の措置をとるものとする。

4.      前各項にかかわらず, 甲及び乙は, (1)適用ある法令もしくは当該法令に基づく行政機関もしくは司法機関の命令又は適用ある証券取引所の規則を遵守するために必要な場合, 又は, (2)弁護士, 弁理士, 公認会計士, 税理士その他依頼者の情報の守秘義務が法律上課されている者に対し使用目的達成のために専門的助言等を依頼するために必要な場合, 合理的に必要な限度で秘密情報を開示することができるものとする。

5.      甲及び乙は, 研究開発参加者等に対し, 必要に応じ契約を締結する等して, 本条に基づき自己が負う義務を遵守させ, かつ, これらの者による当該義務の履行について一切の責任を負うものとする。

6.      甲及び乙は, 甲乙間において○年○月○日付で締結した「○○○○」[秘密保持契約書, 技術検証契約書等]に定める秘密情報を, 本条に定める秘密情報として取り扱うものとする。

【解 説】


共同研究開発においては, その成果等の秘密保持が特に重要と思われるので, 上記規定例では, 一般の秘密保持条項より詳しく規定しています。

【第1項:秘密情報の定義・範囲】上記下線部分のように, 特に, 「本共同研究開発及び本契約の存在及び内容, 本成果, 本共同研究開発の実施上相手方から提供された素材, 機器及びその他有体物特に本成果, 本共同研究開発の実施上相手方から提供された素材, 機器及びその他有体物」も秘密情報の定義・範囲に含めています。「相手方から提供された素材...有体物」の部分は, 経産省・特許庁公表「共同研究開発契約書(新素材編)」において想定されている, 一方当事者(スタートアップ企業)の秘密情報である新素材を利用した製品の開発を目的とするような共同研究開発を想定しています。

「本契約に別段の定めがある場合」とは, Q13の第12条(本成果の開示・公表)のような規定を想定したものです。

「各自の役員・従業員等」とせず, 「各自の研究開発参加者及びその他本契約履行のために秘密情報を知る必要のある各自の従業員, 役員等」としたのは, 「各自の研究開発参加者」には各自の従業員, 役員等以外の外部の者(大学側の学生, 他の共同研究開発参加企業等)が含まれている可能性があるからです。

秘密情報の範囲に関し, 秘密である旨の表示を要件とする場合もありますが, 多様・大量の秘密情報が交換される可能性がある共同研究開発では, 秘密表示を要件とすることにより, 情報交換を円滑に行うことができない可能性があること, 秘密表示漏れによるリスク等を考慮し, 本契約では秘密表示を要件としていません

【第1項:秘密保持期間】具体的な秘密保持期間を設けるか, 又は設けず第2項各号に定める公知等になるまで秘密保持(及び使用目的制限)義務を存続させるかは迷うところです。本契約では, 本共同研究開発の本成果を営業秘密・ノウハウとする場合もあるので, 後者を採用しています。

【第5項:研究開発参加者等に対する遵守義務付け】前述の通り, 「研究開発参加者等」には外部の者が含まれる可能性があるので, 第55回Q7で解説した第6条第1項第2文と一部重複しますが, これらの者に対しては契約等により秘密保持を義務付けることが必要なことを明らかにしています。

【第6項:先行契約との関係】共同研究開発契約の場合, その締結前に, 共同研究開発の可能性検討のために秘密保持契約, 技術検証契約等の先行契約が締結され, 事前に秘密情報が交換されている場合が多いと思われます。その場合, その先行契約中の秘密保持の規定と, 共同研究開発契約中の秘密保持の規定の関係が問題となります。この点, 上記規定例では, 先行契約により交換された情報も, 引続き, 本契約中の秘密保持の規定により秘密保持することとしています。

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Q17:解 除


A17: 以下に規定例を示します。
 

第16条   解 除

甲及び乙は, 相手方が次の各号の一に該当した場合, 何ら催告をすることなく, 直ちに本契約の全部又は一部を解除できるものとする。

(1)      本契約に違反し, かつ, その違反状態が相手方からの書面での通知後10日以内に是正されない場合

(2)      監督官庁より営業の許可取消し, 停止等の処分を受けた場合

(3)      手形又は小切手が不渡りとなった場合, 支払停止があった場合又は支払不能状態となった場合

(4)      差押え, 仮差押え又は競売の申立てがあった場合

(5)      公租公課の滞納処分を受けた場合

(6)      破産手続開始, 民事再生手続開始, 会社更生手続開始又は特別清算開始の申立てがあった場合

(7)      解散の決議があった場合

(8)      その他信用状態が著しく悪化し又は本契約を継続し難い事由が発生した場合

【解 説】


本QAシリーズの第10回の解説を参照して下さい。

 

Q18:反社会的勢力の排除


A18: 以下に規定例を示します。
 

第17条   反社会的勢力の排除

1.      甲及び乙は, 相手方に対し, 自己, 自己の役員その他自己の経営に実質的に関与している者又は代理人が, 現在及び将来にわたって, 次の各号のいずれにも該当しないことを表明し確約するものとする。

(1)      暴力団, 暴力団員, 暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者, 暴力団準構成員, 暴力団関係企業, 総会屋, 社会運動標榜ゴロ, 特殊知能暴力集団, その他これらに準ずる者(以下総称して「反社会的勢力」という)であること

(2)      反社会的勢力が実質的に経営を支配し又はこれに関与していること

(3)      自己又は第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって不当に反社会的勢力を利用していること

(4)      反社会的勢力に資金等を提供し, 又は便宜を供与する等, 反社会的勢力の維持, 運営に協力し又は関与していること

(5)      反社会的勢力に自己の名義を利用させ本契約を締結するものであること

(6)      前各号の他, 反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係にあること

2.      甲及び乙は, 自ら又は第三者を利用して次の各号の一にでも該当する行為を行わないことを確約するものとする。

(1)      暴力的な要求行為

(2)      法的な責任を超えた不当な要求行為

(3)      取引に関して脅迫的な言動を行い又は暴力を用いる行為

(4)      風説を流布し, 偽計もしくは威力を用いて相手方の信用を毀損し, 又は相手方の業務を妨害する行為

(5)      その他前各号に準ずる行為

3.      甲及び乙は, 相手方が前各項に違反した場合には, 何ら催告をすることなく, 直ちに全ての本契約を解除できるものとする。

【解 説】


本QAシリーズの第13回の解説を参照して下さい。

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Q19:存続条項


A19: 以下に規定例を示します。
 

第18条   存続条項

事由の如何を問わず, 本契約が終了した後も, 本契約第6条第1項及び第2項, 第9条第1項及び第3項, 第10条から第13条までの規定, 第15条, 本条及び次条, 並びに, その性質上本契約終了後も存続することが意図されている規定は, 当該規定に定める期間又は対象事項が全て消滅するまで有効に存続するものとする。

【解 説】


第17回Q1の「契約終了後に存続する規定に関する条項」に関する解説を参照して下さい。

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Q20:一般条項


A20: 以下に規定例を示します。
 

第19条   一般条項

1.      甲及び乙は, 各国の輸出管理又は経済・貿易制裁もしくは制限に関連するものを含め(但し, これに限らない), 適用ある各国の法令又は行政機関もしくは司法機関の命令を遵守するものとする。

2.      甲及び乙は, 自己が合理的に管理できない事由により生じた義務の履行遅延と不履行については, その責を免れるものとする。

3.      甲及び乙は, 相手方の書面による事前の承諾なく, 本契約に基づく権利又は義務を他に譲渡し又は担保に供してはならないものとする。

4.      本契約は, 本共同研究開発に関する乙と甲間の合意の全てを規定したものとし, 両者の書面による合意のない限り, 他の如何なる契約条件にも優先するものとする。

5.      乙と甲間に本契約の解釈その他につき疑義又は紛争が生じた場合には, 両当事者は誠意をもって協議し解決に努めるものとする。

6.      本契約に関する事項に関しては, 日本法を準拠法とし, これらに関する乙と甲間の訴訟については, 東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とするものとする。

(以下余白)

【解 説


第6項以外の条項に関しては第39回の「Q28:その他一般条項」の解説を, 第6項に関しては第52回の「Q15:一般条項」の解説を参照して下さい。

 

今回はここまでです。

 

「QAで学ぶ契約書作成/審査の基礎」シリーズ:過去の回


 

[3]

 

[1] 【本稿執筆に当たり参考とした主な資料】 (1) 阿部・井窪・片山法律事務所「契約書作成の実務と書式 第2版」 有斐閣, 2019/9/24. p. 448-471. (2)経産省・特許庁公表「共同研究開発契約書(新素材編)」. (3)東京大学, 京都大学, 東北大の共同研究契約のひな型とその解説, (4) 鮫島 正洋「第2版 技術法務のススメ」2022/8/9, 日本加除出版, p. 298-352.

[2] 特許法第72条に定める「利用」又は「抵触」の関係】  (参考) 湘洋特許事務所「Q)利用発明とはどのようなものですか?」2022年9月5日

[3] 

==========


【免責条項】


本コラムは筆者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラムに関連し発生し得る一切の損害などについて当社及び筆者は責任を負いません。実際の業務においては,自己責任の下,必要に応じ適宜弁護士のアドバイスを仰ぐなどしてご対応ください。

 

 

【筆者プロフィール】


浅井 敏雄  (あさい としお)


企業法務関連の研究を行うUniLaw企業法務研究所代表/一般社団法人GBL研究所理事


1978年東北大学法学部卒業。1978年から2017年8月まで企業法務に従事。法務・知的財産部門の責任者を米系(コンピュータ関連)・日本(データ関連)・仏系(ブランド関連)の三社で歴任。元弁理士(現在は非登録)。2003年Temple University Law School (東京校) Certificate of American Law Study取得。GBL研究所理事, 国際商事研究学会会員, 国際取引法学会会員, IAPP  (International Association of Privacy Professionals) 会員, CIPP/E  (Certified Information Privacy Professional/Europe)

【発表論文・書籍一覧】


https://www.theunilaw2.com/


 

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