渋谷温泉施設爆発事故 設計者に有罪判決
2013/05/10 訴訟対応, 刑事法, その他

事案の概要
東京都渋谷区で2007年6月に起きた温泉施設「SHIESPA(シエスパ)」の爆発事故で、東京地裁は9日、業務上過失致死傷罪に問われた「大成建設」社員で設計担当だった角田(つのだ)宜彦(よしひこ)被告(55)に禁錮3年、執行猶予5年(求刑・禁錮3年)を言い渡した。
一方、施設を所有する「ユニマット不動産」(解散)元取締役で保守管理責任者だった菅原啓之被告(50)は無罪(求刑・禁錮2年)とした。
本事件では、被告人らが事故を予測できたかが最大の争点となっていた。
多和田隆史裁判長(田辺三保子裁判長代読)は、角田被告が「事故を予測できたのに、ガスを排出する配管の詰まりを除く作業の必要性を、施設側に説明しなかった」などと指摘し、角田被告の過失を認めた。菅原被告にはついては、「大成建設側から配管の水抜きの必要性を説明されておらず、安全な施設として信頼していたため、事故を予測することは難しかった」として、刑事責任を否定した。
コメント
本判決は、温泉施設の設計者の過失責任を認めたが、運営会社管理者の責任は認めなかった。設計者は設計した施設の危険を予見・認識する立場にあるから、それを少なくとも自社の説明担当者等にする必要があり、これを怠った場合は過失ありと認定されてもやむを得ない。ただ、被告人からすれば、運営会社への情報伝達は担当者が行うものと思い、特に運営会社に伝えなかったのに、責任を負わされるのは納得いかないかもしれない。
いずれにせよ、設計者は、設計施設の危険性が、適切に施設運営先に伝達されているか確認することが必要であろう。
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- 労災遺族年金の“夫のみ年齢制限”は合憲か?不支給処分めぐり夫が提訴2025.7.31
- 労災保険の遺族補償年金について、夫のみに年齢要件が課されているのは差別に当たり違憲だとして、岩...
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- 弁護士
- 境 孝也弁護士
- さかい総合法律事務所
- 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- セミナー
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第16回~
- 終了
- 2025/06/04
- 19:00~21:00