育休3年は、働く女性にとって朗報か?
2013/05/07 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
政府は成長戦略の一環として、女性の活力を生かすための政策を掲げている。そのひとつが育児休業を最大で3年まで延長できるようにするプランだ。
現行の育児休業制度は、最長1年半で、休業前の賃金の50%が雇用保険から手当てされる。育休期間の延長と共に、期間中の給付保証がなされるとなれば、経済的な不安は軽減される。経済的な心配をせずに、育児に専念できる期間を確保できるメリットはあるといえる。
一方、制度を受け入れる企業の側はどうか。現在でも、会社独自の制度として、休暇の延長を認めている企業もある。
例えば、資生堂は、1年半の育休期間に加え、子供が満3歳になるまで、休業を延長できる制度がある。従って、国からの給付が拡張されれば、企業が育休の延長を受け入れやすくなるとも思える。
しかし問題はそう簡単ではない。代わりの人材の確保をどうするか。少ない人員で、まわしている中小企業などには、特に深刻な問題となる。
また、欧米に比べ、日本の企業の育休取得に対する理解は高いとはいえないという問題もある。
2012年、株式会社アイデムが行ったアンケートによると、女性社員の育休に関して、「取得して復職してほしい」30.4%、「どちらかといえば取得して復職してほしい」44.3%。反対に「どちらかといえば取得せずに退職してほしい」17.3%、「取得せずに退職してほしい」8%という結果になっている。育休を取らずに、退職を願う企業が約25%に上っているというのが現状である。
さらに、働く女性の意識も様々である。出来るだけ子供と触れ合う時間を重視するために、長い育休期間を望む人もいれば、キャリアアップを重視して、早期の復職を望む人もいる。後者にとっては、休暇期間中のスキルアップや、復職後、「子育て」と「仕事」の両立に明るい展望が見出せるかが重要となるだろう。
どのように「子育て」と「仕事」をどう両立させるかは、育休期間延長だけでは、捉えきれない問題である。育児休業制度をより、使い勝手の良いものにできるか、議論の行方が注目される。
コメント
日本において、育休への理解は、まだ浸透しているとはいえない。男性の場合なら尚更だろう。制度面の整備と共に、政府のより積極的な啓発活動が望まれる。
企業の側としても、復職後の短時間勤務の導入など、休業制度をより充実したものにするための取り組みが期待される。
育休期間の延長と共に、政府は、「待機児童の解消加速化」や「保育所の民間参入の促進」を掲げている。これらの施策を上手く噛み合わせることが、「子育て」と「仕事」を両立させ、女性の活力を生かせるかどうかの鍵といえる。
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