サイボウズ株式会社が考える「法務×採用」
2022/06/15   法務採用

「法務×採用」のベストプラクティスを探るべく、各社の法務職採用を紐解くシリーズ第二弾!本日は、東証プライム上場中、“kintone(キントーン)”をはじめ、国内外1000万人以上のユーザー総数(2021年11月時点)を誇る有名グループウェアメーカー、サイボウズ株式会社の法務統制本部部長 我妻 未沙子(あがつま みさこ)様をお迎えし、同社の法務職採用についてお話を伺います。

企業法務ナビ編集 齊藤 源久(株式会社パソナ)

 


サイボウズ株式会社
1997年創業。「チームワークあふれる社会を創る」をパーパスとして掲げ、業務システム構築プラットフォーム「kintone」や「サイボウズOfficeシリーズ」をはじめとするグループウェア事業を展開する東証プライム上場中の注目グループウェアメーカーです。上海(中国)を皮切りに、アメリカ、東南アジア、オセアニアと7つの拠点で活動中でグローバル戦略にも力を入れています。“多様な働き方を実現する会社”としても知られており、ライフステージの変化に合わせて働き方を選択できる「働き方宣言制度」や、時間・場所に制限されない働き方を実現する「ウルトラワーク」、一度退職しても最長6年間は復帰できる「育自分休暇」などユニークな制度が導入されています。


 

齊藤
 それでは、我妻さん、本日はよろしくお願いします。
 

我妻様
 よろしくお願いします。
 

齊藤
 まずは御社の法務部門についてお話を伺えたらと思います。よろしければ、簡単にご紹介いただけますか。
 

我妻様
 
 
はい。弊社の法務統制本部は現在、実働10名体制となっております。新卒から法務一筋の方、中途入社の方、英語・中国語その他の語学スキルに長けた方、他部署からの異動者・兼務者など、様々なバックボーン・スキルのメンバーで構成されています。

この10名で、「クラウドビジネス×グローバル」という新たな法律分野に挑戦しながら、法務(予防、臨床、戦略)、コンプライアンス教育、内部統制構築、監査、知的財産管理などの業務を執行しています。近年、弊社のビジネスが急拡大中で、業務の難易度・量ともに高まっている状況です。

 

齊藤
 ありがとうございます。急拡大中ゆえの難しさがありつつも、非常にエキサイティングなフェーズということですね。
ちなみに、事業部との関係性はいかがですか?
 

我妻様
 
 
とても良好だと思います。何をするにしても、早い段階から相談してくれて「こんなことを考えている」「見ている未来像はこんな姿」とやりたいことをオープンマインドでコミュニケーションしてくれるので、こちらとしても事業に関わっている実感が湧き、一緒に検討したり選択肢を提示しやすいところがあります。

また、事業戦略を練る部署と法務統制本部とで定例会議を設けていて、定期的に中長期的なビジョンを共有してもらえるため、「先々を見据えて、法務統制本部として事前にこういう領域の知見を深めておこう」と準備ができるのも本当にありがたいです。

 

齊藤
 お話を伺う限り、本当に理想的な距離感だと思いました。
一朝一夕には、そうした良好な関係は築けないように思いますが、何かコツなどはありますか?
 

我妻様
 まずは、事業部に限らず他部署から法務への相談があった際は、それを「法務の信頼を高めるチャンス」と捉えるようにしています。

その上で、たくさん話を聞いて、自分たちにできることを積極的に探しに行き、「期待を少し上回る」ものを投げ返せるよう強く意識しています。

 

齊藤
 
 
それは、素晴らしいですね。法務統制本部全体として、そうした真摯な仕事を積み重ねたからこそ、各部署と今のような良好な関係が築かれたのかなと感じました。

そんなホスピタリティが重視される御社の法務部門にあって、いわゆるハイパフォーマーとされる方にはどんな特徴がありますか?

 

我妻様
 
 
そうですね。まずは、「ヒアリング力」の高さが挙げられます。これは、 “質問するスキル”の高さと、柔らかい物腰や愛嬌で話し手の胸襟を開ける“好感度”の高さの両方を意味します。

法務として、現場で何が起きていて、現場として何をやりたいのかを把握するうえで、適切に情報を引き出す力が不可欠だからです。

そこをベースに、複雑な話をシンプルに構造化できる人、建設的にロジカルな対話を行い代替策の提示ができる人などが社内で高い評価を受けている印象があります。

 

齊藤
 
 
「聴く」ところに重きを置きつつ、論理的思考力・ポジティブなマインドを備えた方が高い評価を得ているということですね。法務職としてはもちろんのこと、営業職などでも十分に活躍できそうです。

では、採用についてのお話に踏み込む前に、御社の法務部門での仕事の進め方について、具体的にお話いただいてもよろしいですか?

 

我妻様
 
 
はい。大きな特徴の一つは、必ず案件を2人1組で対応する点です。

これは、個人的に、法務という仕事柄、1人きりで悩むのは負担が大きいと感じていること、サイボウズの「チームワークあふれる社会」を創るという理念を起因として、相談し合い、相手の意見をきちんと聞くことを意識しているためです。

案件開始時に、まずは2人で初動を検討するミーティングを行い、そこから2人でヒアリングに向かい、持ち帰って対応を検討する流れで仕事を進めることになります。

 

齊藤
 
 
特に、答えのない問題に取り組むときや、抜け漏れが心配な事案・緻密な情報収集が必要な事案などに取り組むときなどは、負担が一気に軽減しそうです。

あと、入社間もない方などは、気軽に相談できるパートナーが身近にいることは、何かと心強そうです。

 

我妻様
 
 
そうですね。「絶対にほったらかしにされない」というのも、弊社の法務統制本部の特徴だと思います。

実際、毎日の朝会にはじまり、週1回の本部定例ミーティング、専門チームごとのミーティング、1on1など、部内でのコミュニケーション頻度も高いと感じています。

弊社はリモート勤務がかなり浸透しているのですが、それぞれのミーティングで各案件の進捗の共有や悩みの解決を図れるため、リモート下にあっても、チームで仕事をしている意識を持ちやすいと思います。

逆に言うと、チームで仕事を進めることに関心がない方、苦手な方などはマッチしづらいかもしれません。

 

齊藤
 
 
まさに、『チームワークあふれる社会を創る』という貴社のパーパスを体現したような環境ですね。「絶対にほったらかしにされない」というのは、多くの転職者にとって、非常に頼もしい言葉だと思います。

他の特徴についても伺ってもよろしいですか?

 

我妻様
 
 
あとは、豊富なマニュアルがある点も特徴だと思います。

弊社で開発運用し、サービス提供しているkintoneを利用して、過去の相談案件や法令調査結果、業務ノウハウ、弁護士等の外部専門家とのやり取り履歴などをデータベース化しておりまして、各メンバーはそれらにアクセスしながら仕事を進めています。

 

齊藤
 いつでも豊富なマニュアルにアクセスできて、さらに、他のメンバーに相談できる機会も多いというのは、孤独を抱えやすい法務という仕事柄、かなり理想的な環境のように思います。
 


― オンライン・オフライン問わず、闊達なコミュニケーションが繰り広げられる。
 

 

齊藤
 ここからいよいよ、御社の「法務採用」に対する考え方などを伺えたらと思います。
まず、御社で法務職を採用するときに重視していることを教えていただけますか?
 

我妻様
 
 
先ほどのハイパフォーマーのお話と通じるところがありますが、採用を行う際のキーワードとして、傾聴、提案、想像、ビジネス感覚(事業への理解とリスクテイク)があります。
実は、これらは、社内に向けて発表した法務統制本部の「Code of Conduct(行動指針)」とも紐づいています。

選考手法としては、主に面接を通じて、①話を聞く姿勢や、②案件の抱えるリスクやコスト・リターンに対する想像力、③リスクのある案件への向き合い方、④ビジネスへの興味関心の高さ、⑤仕事のスピード感への意識などを見ています。

 

齊藤
 たしかに、面接で過去の業務経験などを深掘りする中で、色々と見えて来そうですね。
ちなみに、人物面では、どのような方を採りに行っていますか?
 

我妻様
 
 
そうですね。サイボウズの文化として「アホはいいけど、嘘はダメ」というものがあります。失敗を責めない風土がある一方で、仕事に対する姿勢として、正直でオープンであること、悪い情報を隠さないことを求めるところがあります。

その意味で、法務統制本部としても、「公明正大」な方を採用したい想いは強いです。

 

齊藤
 
 
法務の仕事内容自体、正直でフェアであることが求められますが、御社の風土や、法務統制本部がこれまで社内で示して来た姿勢に照らしても、より一層、「公明正大」さが求められそうですね。

キャリアビジョンという観点では、どのような志向性の方を採りたいですか?

 

我妻様
 
 
サイボウズの世間的なイメージとして、「働きやすい会社」「社員を大事にする会社」というものが少なからずあるためか、弊社に対して、“キャリアアップ・スキルアップへの野心を持って入社する会社”というイメージを抱いている方は少ないと感じています。

たしかに、文化や制度面で「安心して働ける会社」であることは間違いありませんが、業務内容という面では、専門性が高い領域で、グローバルを含め、かなり幅広い法務業務を経験できますし、事業の成長速度がとにかく速いため、変化が激しくエキサイティングな環境があると思います。

こうした環境を楽しみながらビジネス法務としての真価を発揮していく意気込みのある方と出会いたいと考えています。

 

齊藤
 
 
たしかに、御社に関しては、いわゆるホワイト企業のイメージが強いため、「野心的な働き方」とは縁遠い印象を持っておりました。

でも、改めて御社の事業内容・事業展開を踏まえて考えると、のんびりと牧歌的に仕事をこなして行くだけでは務まらないというのも納得です。

 

我妻様
 
 
そこは、もっと多くの方に知っていただきたい点です。また、サイボウズには、オープンな場で決めごとを行うという全社的な方針があります。
そのため、会社の規模に比して経営との距離が近く、法務からのアドバイスが経営に届きやすい点も特徴です。

法務として、事業に踏み込んだ仕事をしたい方にとっても、楽しめる環境があると思います。

 

齊藤
 
 
ここまでのお話を伺っていると、たしかに、本格派の法務キャリアを歩みたい野心的な方のほうが生き生きと働けそうですね。面接で語られるキャリアビジョンや、逆質問の内容などからも、見極めができそうです。

今日は貴重なお話を誠にありがとうございました。

 

我妻様
 こちらこそ、ありがとうございました。
 
サイボウズ様では、現在、法務担当者を募集しております。ご友人その他、周囲にマッチしそうな方がおられましたら、ぜひ、下記の求人ページをお薦めください。
 
サイボウズ株式会社様の法務求人の詳細はコチラ
※パソナキャリアのサイトに移動します。
 


― 法務統制本部のメンバー
 


― サイボウズ株式会社のオフィス風景

 

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。