株式会社ラクスが考える「法務×採用」
2022/01/05   法務採用, 法務部組織

「法務×採用」のベストプラクティスを探るべく、各社の法務職採用を紐解くシリーズ第一弾!本日は、東証一部上場中、“楽楽精算”をはじめとする業務効率化クラウドサービスを提供する注目SaaS企業、株式会社ラクスの法務課長 古田様をお迎えし、同社の法務職採用についてお話を伺います。

企業法務ナビ編集 齊藤 源久(株式会社パソナ)


株式会社ラクス
2000年創業。「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」をミッションに掲げ、中小企業を中心に経理・労務・顧客対応関連のクラウドサービス(ASP)を提供する東証一部上場中の注目SaaS企業です。交通費・経費精算システム「楽楽精算」や、メール管理システム「メールディーラー」など、売上、導入社数でNo.1の商材を複数持ち、企業の働き方を変える高いサービス力を誇ります。20代が47%、30代が38%と多くの若手社員が在籍しつつ、中途入社者の割合が90%を占めている点も特徴です(2021年4月時点)。


 

齊藤
 古田さん、本日はよろしくお願いします。
 

古田様
 よろしくお願いします。
 

齊藤
 まずは御社の法務部門について簡単にご紹介いただけますか。
 

古田様
 はい。弊社の法務課は4名(うち1名は派遣の方)で構成されておりまして、その4名で英文を含む契約書審査や新規・既存事業における法務サポート及びリスクコントロール、事業戦略のサポート、社内研修・コンプライアンス対応、紛争対応などに対応しています。新規・既存事業に対し、法務から積極的に関与・リスクコントロールしている点が特徴だと思います。
 
 

齊藤
 ありがとうございます。お話を伺う限り、事業部とかなり近い距離で協働されているイメージですが、事業部門との関係性はいかがですか?
 

古田様
 そうですね。私自身が、「現場に対して開かれ、ビジネスサポートをしっかりと行うことのできる法務組織」を目指していることもあり、事業部門との距離感は近いと思います。
新規事業を立ち上げる際にも、事業部から「ビジネスジャッジをスムーズに下すための助言」を求められるなど、頼られている実感もあります。
 

齊藤
 中には、「形式上、法務のゴーサインが必要だから」と、事業部が嫌々、法務に相談を持ってくる企業もありますが、御社内での法務のプレゼンスは高そうですね。一般化は難しいかもしれませんが、事業部担当者はどういうタイプの方が多いですか?
 

古田様
 そこは、ラクスの社風が反映されているのか、ロジカルな人が多いと感じています。そのため、論理立てて説明をすれば納得してくれることが多く、事業部とのコミュニケーションでストレスを感じるところはありません
 

齊藤
 それは素晴らしいですね。普段、各社の法務担当者の方のお話を伺っていると、事業部とのコミュニケーション・価値観の相違にストレスを感じている方がとても多い印象を受けます。その意味では、法務として働きやすい環境がありそうです。
 

古田様
 そうですね。一方で、こちらの回答に腹落ちしないと、どんどん深掘りする質問が飛んで来ますし、論理的な“説明”だけでなく、「専門性と根拠を持って前向きに事業を進めるための“助言”」までが求められているので、事業部から求められるものの期待値は高いと感じています。
 

齊藤
 なかなか大変そうですが、その分、鍛えられますし、何より、やりがいがありそうですね。そんな御社の法務部門において、ハイパフォーマーとなる方の特徴はありますか?
 

古田様
 そうですね。事業部門との協働を考えたときに、わかりやすいアウトプットができる方、コミュニケーション能力とホスピタリティを備えた方が活躍しやすいと思います。あとは課題設定力が高い方などが高く評価されています。
 

齊藤
 「課題設定力」という個人的に琴線に触れるキーワードが出てきたのですが、こちらについて詳しく教えていただけますか。
 

古田様
 法改正対応や新規事業周りの法務相談など、法務として「明確な答え・指針のない分野」に取り組むときに、知識があるだけでは対応できないケースがあると思います。

そのときに、事実を確定・整理した上で、何を検討すべきか、いわゆる「検討課題」を自分で設定して仕事を前に進めていく力がある人が、社内で活躍している印象です。

 

齊藤
 たしかに、未知の問題を前に、そうやってグイグイと自分で仕事を前に進めて行ける法務は頼もしいですね。
 


 

 

齊藤
 今までのお話を踏まえ、ここからは、いよいよ、御社の「法務採用」に対する考え方・スタンスなどを伺えたらと思います。まずは、御社で法務職を採用するときに重視している点を教えていただけますか?
 

古田様
 即戦力を採用するときと、長期での活躍を期待する人材の採用を行うときとで、求めるもののバランスを変えているところがあります。

前者では、専門性の高さ・素直さ・協調性を重視して採用し、後者では、ポテンシャルとコンピテンシーを重視して採用を行っています

 

齊藤
 法務職において、経験重視の採用を行う企業が圧倒的に多い中で、ポテンシャル・コンピテンシーを重視するというのは少し珍しい印象を受けます。「ポテンシャル」、「コンピテンシー」の具体的な中身について詳しくお話を伺えますか?
 

古田様
 そうですね。「ポテンシャル」という観点では、ビジネスパーソンとしての基本スキルが高く、ロジカルシンキング・クリティカルシンキングができる方というイメージです。

「コンピテンシー」については、ラクスが重視する“思考力”、“行動力”、“人間関係力”、“組織推進力”に関する行動特性に着目しています。「ポテンシャル」と「コンピテンシー」が高ければ、テクニカルな部分は後から身に着けられるという考えが前提としてあります。

 

齊藤
 法務職の採用となると、どうしても専門性に目が行きがちですが、御社では、いわゆる「仕事ができる人」を強く求めている印象を受けました。
 

古田様
 そうですね。いわゆる「法務のT型人材」を採用したいと考えています。もちろん、法務としての力量を縦に伸ばしていくことが前提ではあるのですが、ビジネスパーソンとしての高い基礎をベースに、M&Aや会計、ITなど他分野の知識・専門性を横にも広げていける方が理想です。

法的な観点からのイエス・ノーの綺麗事を言っているだけではビジネスは前に進みませんので、法務の立場から事業を伸ばし、経営戦略にコミットするために、ビジネス感覚と他分野の知見も踏まえた柔軟性を持っている方が欲しいですね。

 

齊藤
 現場から一歩引いたところからリスクの有無をいうだけの法務ではなく、まさに、現場と一緒にビジネスを前に進められる法務が欲しいという感じですね。差し支えのない範囲で教えていただきたいのですが、選考時に、そうしたポテンシャル・コンピテンシーの見極めはどのように行っていますか?
 

古田様
 一例ですが、面接時に、対応力が問われるような質問を行うようにしています。深掘りされた質問・意外な質問に対し、その場で思考して、どれだけ真っすぐに答えられるかを見ています。
 

齊藤
 事前準備で対応できない分、応募者の素の部分や現場対応力の高さが見えそうですね。他に、採用時に重視している点はありますか?
 

古田様
 やはり、当事者意識をもって仕事ができることを重視しています。法務職という仕事柄、慎重さのあまり、“正解”を上司に求めがちな方が少なくないと思いますが、指示待ちではなく、「目的から逆算して思考・行動し、“正解”を現場と一緒に作ってくる」くらいの方がラクスの法務にマッチすると考えています。
 

後は、組織としての人材の多様性を確保したいという思いがありますので、プラスアルファで、変わったバックグラウンド・価値観を備えている方がいれば、積極的に採るようにしています。
 


 

 

齊藤
 ありがとうございます。法務職の採用手法に悩む企業が多い中で、大変興味深いお話を聞くことができました。
こうした採用の賜物なのか、ラクス様では、皆さま、意識を高く持ちながらも、生き生き楽しく仕事をされてそうです。大きな裁量を持ちながら、ビジネスオリエンテッドに法務の仕事を進められるため、自走できてビジネスへの興味関心が強い方には、かなり理想的な環境があると思います。

 
そのラクス様では、現在、法務担当者を募集しております。ご友人その他、周囲にマッチしそうな方がおられましたら、ぜひ、下記の求人ページをお薦めください。
 
株式会社ラクス様の法務求人の詳細はコチラ
※パソナキャリアのサイトに移動します。
 
古田さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

古田様
 こちらこそ、ありがとうございました。
 

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