最高裁でレオパレス敗訴確定、受信料問題まとめ

はじめに

テレビが予め備え付けられた賃貸住宅「レオパレス21」の受信料について、入居者に支払い義務があるかが争われていた訴訟で最高裁は29日、上告を棄却し入居者敗訴が確定しました。入居者側の支払い義務を認めた初の最高裁判決となります。今回は一連の受信料訴訟について見直します。

事案の概要

報道などによりますと、福岡県在住の男性が仕事の都合で短期間、兵庫県内のレオパレスの物件に会社名義で入居したところ、NHKの集金人が訪れ受信契約を締結させられたとのことです。男性は受信料の支払い義務はないとして、支払い済みの受信料1ヶ月分である1310円の返還を求め提訴しました。一審東京地裁は受信料支払い義務を負うのは入居者ではなくレオパレスであるとして男性勝訴。二審では一転敗訴となっておりました。

放送法の規定

放送法64条によりますと、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備…を設置した者については、この限りではない。」(1項)としています。また2項では「協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるものでなければ、…契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。」としています。これらの規定の解釈を巡ってこれまで多くの訴訟が展開されてきました。以下見ていきます。

受信料訴訟の争点

これまでの受信料訴訟で主に問題となってきたのは、「受信設備を設置した者」の解釈、受信契約の成立時期と受信料債権の発生時期、受信料債権の消滅時効の起算点、放送法64条自体の合憲性です。テレビ設置者に該当するのは建物の所有者か利用者か、契約はいつ成立し、いつから受信料を支払わなければならないか、受信料債権は5年で時効消滅しますがいつから起算されるか、そしてテレビ設置により強制的に契約が締結されることが契約の自由(憲法13条)、財産権(29条)などに反しないかということです。

これまでの判例

2017年12月6日の最高裁判決ではまず放送法64条の合憲性について、スポンサーや政府に左右されず政治的に中立な放送を確保することを目的としており、国民の知る権利を充足しているとして合憲としました。そして受信契約の成立時期は訴訟でNHK勝訴が確定した時点で契約が成立し、テレビ設置時にさかのぼって支払い義務が発生するとしました。また時効については契約成立が確定するまで権利行使ができないことから、時効も成立しないとしました。そして今年2018年2月9日の最高裁判決で、ホテル(東横イン)の部屋のテレビに関してはホテル側が「受信設備を設置した者」に当たるとしました。

コメント

本件で最高裁はレオパレスの賃貸住宅に設置されたテレビに関して、受信料支払い義務を負うのはレオパレスではなく入居者であるとしました。「受信設備を設置した者」は物理的に設置した者だけでなく、テレビを占有・管理している者も含まれるとした東京高裁判決を最高裁が支持したこととなります。東横インの事例とは結論が異なるように見えますが、1日~数日しか滞在しないホテル利用者と一定期間安定して滞在する賃貸物件利用者の利用形態の違いを考慮したものではないかと思われます。これによりほぼ放送法を巡る争点についての判断は出揃った形になります。一定期間の居住を想定した施設では入居者側に、それ以外の一時的な利用の場合は施設の所有者に支払い義務が発生すると考えられます。テレビを設置する場合、また既に設置している場合は以上の判例の考え方を参考に受信料支払い義務について検討しておくことが重要と言えるでしょう。

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2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了
2009年弁護士登録
2012年五三(いつみ)・町田法律事務所開設

第二東京弁護士会労働問題検討委員会副委員長、経営法曹会議会員、日本労働法学会会員、経営者側労働法専門弁護士で、日々顧問先等からの様々な人事労務相談対応、労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応を行うとともに、複数社のヘルプライン窓口(内部通報窓口)となり相談(通報)があった際の対応・サポート業務を行っている。
このほか、社内研修、行政や経営者団体主催セミナー等の講演にも登壇。

主な著書として、『労務専門弁護士が教える SNS・ITをめぐる雇用管理-Q&Aとポイント・書式例-』(編著,新日本法規出版)、『女性雇用実務の手引(加除式)』(執筆担当,新日本法規出版)、『企業法務のための労働組合法25講』(共著 商事法務)、『就業規則の変更をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『労働契約の終了をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント』(編著 労働開発研究会)、『労働事件ハンドブック 』(共著,労働開発研究会)など。

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岡 伸夫
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1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
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淵邊 善彦
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1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。

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講師情報
石川 智也、濱野 敏彦
■石川 智也(西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士)
2005年東京大学法学部第一類卒業
2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年バージニア大学ロースクール卒業(LL.M.)
2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにあるミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)
同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
2017年米国ニューヨーク州弁護士登録

日本における知的財産法、営業秘密保護、個人情報保護法のほか、EUにおける知的財産制度・競争法、EUデータ保護規則をはじめとするグローバルベースでのデータ規制について詳しい。

■濱野 敏彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
2002年東京大学工学部卒業 同年弁理士試験合格
2004年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了
2007年早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2008年弁護士登録(第二東京弁護士会)
2009年弁理士登録
2011-2013年新日鐵住金株式会社知的財産部知的財産法務室出向

知的財産法、営業秘密保護、ITのほか、大学・大学院の3年間、AIの基礎技術であるニューラルネットワークの研究室に所属していたため、AIについても詳しい。

主催・協力
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吉川 達夫
ニューヨーク州弁護士/外資系企業 VP, General Counsel

外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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