「飲酒事故で退職金なし」は違法
2012/02/27 労務法務, 労働法全般, その他

概要
酒気帯び運転で追突事故を起こし、2010年5月に懲戒免職となった元京都市立中学校教頭の男性(52)が、退職手当の不支給処分の取り消しを京都市に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。
大島真一裁判長は、「飲酒事故は勤続の功績をすべて打ち消すほどの重大な背信行為とはいえず、不支給は裁量権の乱用で違法」とし、処分取り消しを命じた。
懲戒免職となった公務員の退職手当は、かつて一律不支給だったが、09年4月の改正国家公務員退職手当法施行で、職務内容や処分対象となる行為の程度などで支給を判断するよう変更された。これに伴い、京都府も同年10月、地方公務員の退職手当に関する改正条例を施行。男性の代理人弁護士によると、行政の退職手当の全額不支給決定が裁判で覆るのは全国で初めてという。
判決によると、元教頭は10年4月、京都府宇治市の自宅でウイスキーを飲んだ後に、自分の車で出掛けた。車内でも飲みながら運転し、大阪府枚方市で信号待ちの車に追突。酒気帯び運転で摘発され、5月に懲戒免職処分を受けた。処分がなければ受け取れた退職金は約1700万円だった。
大島裁判長は、男性の行為は悪質で、退職手当の減額には合理性があるとした一方で、27年間の勤務での学校教育への貢献などを考慮。「不支給は社会観念上、著しく妥当を欠く」とした。
京都市教委は「飲酒のうえ追突事故を起こすなど極めて悪質で、全額不支給は妥当。控訴の方向で検討したい」としている。
雑感
記事を読まれた方はこの判決についてどう感じただろうか。
今回、全額不支給決定が覆ったことが今後同様の事例でどのように影響するのか。動向に注目したい。
関連コンテンツ
新着情報

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- ニュース
- ミュゼプラチナムが株主総会決議で決定、解散・清算について2025.6.11
- 給与未払いなどが問題となっている脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」が、株主総会決議によって解散...
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- まとめ
- 11月1日施行、フリーランス新法をおさらい2024.11.11
- フリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆる「フリーランス新法」が11⽉1⽇に施⾏されました...

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- セミナー
殿村 桂司 氏(長島・大野・常松法律事務所 パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【アーカイブ配信】24年日経弁護士ランキング「AI・テック・データ」部門1位の殿村氏が解説 AIに関する法規制の最新情報
- 終了
- 2025/05/23
- 23:59~23:59