関経連が法務省にパブリックコメント提出、会社法改正の動き
2026/05/22 商事法務, コンプライアンス, 法改正, 会社法

はじめに
関西経済連合会が19日、法務省の会社法見直しに関するパブリックコメントに意見書を提出していたことがわかりました。株主提案の議決権保有比率を5%に引き上げるべきとのことです。今回は会社法制の見直しに関する中間試案を概観していきます。
事案の概要
現在、法務省は「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」を公表しパブリックコメントを募集しています。会社法は平成17年に成立して以降、平成26年と令和元年の二度にわたって実質的な見直しがなされましたが、令和元年改正から5年が経過し、社会経済情勢の変化に伴って新たな課題が複数指摘されているとされています。
そこで、令和7年2月の法制審議会で法務大臣の諮問を受け法制審議会会社法制部会が設置され、今回の中間試案が策定されました。関西経済連合会はパブリックコメントとして株主提案や株主総会招集の要件などについて意見書を提出したとのことです。
株主提案ができる要件である議決権の保有比率を現行の1%から5%に、また、保有期間も6か月から1年に延長すべきとしています。また、臨時株主総会招集の要件の引き上げや実質株主確認制度の導入なども求めたとされます。以下中間試案を概観します。
株式の発行の在り方に関する規律の見直し
今回の中間試案では大きく3部に分けて会社法制の見直し案が提示されています。まず、第一部では株式発行の在り方に関する規律についての見直しです。ここでは企業再編(M&A)や従業員への株式報酬をより柔軟に行えるよう、手続きの簡素化や規律の整理が行われています。
まず、従業員への株式報酬を円滑にするための「株式の無償交付」のルール整理や、自社株を対価とするM&A(株式交付制度)において子会社の追加取得なども広く対象に含める方向性で議論がなされています。
そして、株式を発行する際の現物出資手続きにおいても現行法で義務付けられている裁判所が選任する検査役による調査を省略できる要件の追加や取締役が負う不足額店舗責任の限定なども検討されています。
株主総会の在り方に関する規律の見直し
次に、株主総会の運営をデジタル時代に合わせ、より効率的かつ実質的な対話ができる仕組みへの見直しが検討されています。まず、物理的な会場を設けない「バーチャルオンリー株主総会」について、より実施しやすくするための要件や手続きの整備、トラブル時の延期や続行ルールなどが盛り込まれています。
そして、信託銀行や仲介機関を挟むことで企業が把握しにくくなっている「実質的な株主」を会社側から確認できるようにする制度の創設も議論されています。
それ以外でも事前の書面または電磁的記録による決議みなしや濫用的な株主提案の抑制の観点から、提案できる議決権数の要件や行使期間、また、会社法316条2項に基づく調査者制度の運用見直しも検討されています。
企業統治の在り方に関する規律の見直し
経営陣が適切なリスクを取りつつ実行的なガバナンスを効かせるため企業統治に関していくつかの見直しが検討されとえります。まず、指名委員会等設置会社において取締役会の過半数が社外取締役である場合に取締役会決議で指名委員会や報酬委員会の決定を覆すことができるようにする案が出されています。
次に、経営陣が過度に萎縮せず大胆な経営判断ができるよう責任限定契約の対象を業務執行取締役などにも拡大する案が盛り込まれています。そして、事業報告と有価証券報告書で重複している開示内容を一本化・合理化し投資家への情報提供を実質化することも検討されています。
コメント
本件で関経連は法務省の中間試案に対するパブリックコメントで株主提案の要件の厳格化や実質株主を確認することができる制度の導入を提言したとされます。近年活発化する海外投資ファンドなどのいわゆるアクティビストによる株主提案や株主総会招集などを受けたものと考えられます。今回の中間試案については早ければ2027年始めにも要綱案が取りまとめられ改正案として国会に提出されるのではないかと言われています。
以上のように、現在法務省法制審議会では株式発行、株主総会、企業統治に関して大規模な法改正が検討されています。会社法は平成17年に成立して以来度々法改正がなされていますが、大改正がなされたのは平成26年と令和元年となっており、3度目の大改正が目前と見られます。
中間試案の内容なども確認し、今後の改正の動向を予測しつつ対応の準備を進めていくことが重要と言えるでしょう。
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