映画のネタバレ記事で有罪判決/著作権侵害の判断基準とは
2026/04/17   知財・ライセンス, 著作権法, エンターテイメント

はじめに

映画の内容を文章で説明する、いわゆる「ネタバレ記事」を掲載したことでサイト運営会社の代表が著作権法違反の罪に問われていた事案で、東京地裁が有罪判決を言い渡していたことがわかりました。1年6か月の懲役、執行猶予4年、罰金100万円とのことです。今回は著作権侵害について見直していきます。

 

事案の概要

報道などによりますと、東京渋谷区のサイト運営会社の代表は、映画「ゴジラ-1・0」のあらすじを説明する「ネタバレ解説・考察」まとめ」と題した約3800字の記事を情報サイトに公開していたといいます。

その内容は詳細で、代表は、既に著作権法違反で有罪判決を受けている男性ライターと連絡を取り合いながら、記事内に映画の登場人物やセリフ・情景・場面展開などをつまびらかに記載していたとされます。

これに対し、弁護側は、「文字だけのネタバレ記事では魅力を表現できておらず、ゴジラ映画の迫力や素晴らしさは感じられない」とし著作権侵害に当たらないと反論していました。また、被告は記事の内容を把握していなかったとしてライターとの共謀も否定していました。

 

著作権の発生とその内容

著作権法2条1項1号では、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲の属するもの」と規定しています。そして、著作権はこの著作物を創作した時に発生するとされています(51条1項)。登録を権利の発生要件とする特許権や商標権とことなり、何らの手続きや方式を要せず著作物を作った時点で自動的に著作権が発生するということです。

そして、著作者の権利はこの著作権と著作人格権に分かれ、著作人格権とは公表権や氏名表示権、同一性保持権などが含まれています。一方で、著作権は様々な権利の複合体と言われ、著作権に含まれる細かな権利を支分権と言います。

支分権には複製権、上演権、公衆送信権、貸与権、翻訳権、二次的著作物の利用に関する権利などが含まれます。

 

翻案権等

著作権法27条では、「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する」としています。これを翻案権と言います。翻案とは著作物にアレンジを加えることを言います。音楽を編曲したり、小説を映画化したり、漫画をアニメ化したり、音楽をカバーするといった行為が典型例です。

この点について、判例では、「翻案…とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が著作物の表現上の本質的な特徴を触接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう」としています(最判平成13年6月28日)。つまり、原著作物の本質を維持しつつ、それに改変を加え新たな二次著作物を創作することと言えます。

次に、公衆送信権について23条1項では、「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する」としており、また2項で「公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する」としています。テレビやラジオでの放送、ケーブルテレビでの有線放送、インターネット等による配信などが該当します。

 

ネタバレ記事に関する裁判例

ネタバレ記事に関する事例として、漫画アプリで連載されている漫画のほぼ全ての台詞をそのまま抜き出し、絵で描かれている登場人物や情景を文字に起こしてネタバレサイトに記事として掲載していた例があります。

この事例で東京地裁は著作権者の複製権および公衆送信権を侵害し、著作権侵害を阻却する事由も認められないとして著作権侵害を認めました(東京地裁令和3年3月26日)。

また、著作権者の許可を受けずにゲームやアニメを切り取り、短く編集した動画をユーチューブに公開していた事例でも、裁判所は著作権侵害を認め、作品の商品価値を失わせて収益を低下させたとして有罪判決を出しています(仙台地裁令和5年9月7日)。

 

コメント

本件で東京地裁は、記事はゴジラを視聴した場合に把握できる台詞や情景、場面展開などを文章により把握でき、作品の本質的な特徴を感じ取ることができるとして著作権侵害を認めました。著作物の本質的特徴を感得することができる創作物として翻案権を侵害する行為と認められたものと考えられます。

以上のように、漫画や映画など映像や画像作品を文字として記事化することも、その本質的特徴が再現されている場合は著作権侵害となる場合があります。翻案権や複製権、公衆配信権を侵害しているということです。

自社のコンテンツの内容が文字として公開されているといった場合には著作権法により差止や損害賠償請求が可能です。これらを踏まえて自社IP保護の手段を検討し用意しておくことが重要と言えるでしょう。

 

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