中国におけるAI生成物の著作物性関連2019/2020年判例
2023/12/18   海外法務, 知財・ライセンス, 著作権法, 中国法

浅井敏雄[i]

【目  次】


(各箇所をクリックすると該当箇所にジャンプ)


1.    はじめに

2.    著作権法上の著作物の要件および関連判例

3.    ヴォルタース法律情報DB事件判決

4.    Dreamwriter事件判決

5.    熱気球自動撮影事件判決

6.    三判例のまとめ

7.    関連する学説等

8.    結 語

 

本稿のPDF

1.  はじめに


 

近時, Chat GPT, Midjourney等, 生成AIの驚異的性能が注目されるとともに, AI生成物が著作物と認められるか, すなわちAI生成物の著作物性が世界的に議論されている。

例えば, 日本においては, 政府において, AI生成物の生成の際に, 生成 AI に対してどの程度具体的な指示・入力(プロンプト等)を与えれば, 生成物に著作物性が認められるのかという問題が議論されている[1]

米国に並ぶ生成AI大国になると思われる中国においては, AI生成物の著作物性に関係するものとして, 従来, 後記の2019年と2020年の三判例(以下「三判例」)がしばしば引用・論評されている。

そこで, 本稿では, 先ず前提となる中国著作権法等の関連規定を示し, 次に三判例の概要を解説し, 最後に関連する学説・議論にも触れる。なお, 本稿執筆中の本年(2023年) 11月27日, Stable Diffusionにより生成された画像に著作物性を認定した判決が出たが, 同判決については別途「中国のAI生成画像の著作物性を認めた初の判決と米国との比較」(2023.12, 企業法務ナビ)(PDF)にまとめた。

本稿において, [  ]内または「 — 」以下は筆者の見解・補足等である。また, 本稿中で引用・参照している主な資料を文末脚注[2]に示す。

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2.  著作権法上の著作物の要件および関連判例


 

中国著作権法(中华人民共和国著作权法)[3](以下「著作権法」)第3条は, 「著作物」とは, 「文学, 美術および学術の分野における独創性を有し, かつ, 一定の形式をもって表現することができる知的成果(智力成果)であって, 次の各号に掲げるものを含む。」と規定する。同条は, 2021年施行の著作権法改正[4]前は「次の各号に掲げる形式で創作される文学, 美術及び自然科学, 社会科学, 産業技術等の著作物が含まれる。」であったが, 中国著作権法実施条例(中华人民共和国著作权法实施条例)[5](以下「実施条例」)第2条で, 「著作権法においていう著作物とは, 文学, 芸術及び科学の分野における独創性を有し, 且つ, ある種の有形的な形式で複製できる知的活動の成果をいう。」と規定されていた。

従って, 2021年施行の著作権法改正前後を通じ, 著作物とは「独創性」を有する知的成果または知的活動の成果であることに変わりはない。

日本の著作権法(2条)のように「思想または感情を創作的に表現したもの」という自然人による創作を前提とした要件は明記されてない。但し, 従来, 中国著作権法上の解釈としては, 一般には, 「思想または感情を創作的に表現したもの」との解釈がされている(例:後記ヴォルタース法律情報DB事件判決)。

なお, 著作権法第18条は, 「自然人が法人または非法人機関の業務遂行において創作した著作物」(職務著作物)について規定しているが, これとは別に, 同11条3項は, 「法人または非法人機関(以下「法人等」)が主宰し, 法人等の意思を代表して創作され, かつ, 法人等が責任を負う著作物(「法人著作物」)については, 法人等が著作者とみなされる」と規定し, その文言上は自然人による創作を前提とはしておらず, あたかも法人自体が創作行為を行い著作者となり得るかのようにも読み得る。しかし, 解釈上は, そうではなく, 自然人が創作したものについて法的に法人を著作者と擬制しているに過ぎないとされている[6]

「独創性」は, 日本の著作権法上の「創作性」に相当するものであるが, その意義については, 「独立性」(対象物は著作者自ら独自に作り出したものであること)および「創造性」(著作者の独特な知的判断と選択を具現したものであること, 自らの知的創造であること)を意味すると解されている[7]

 

特にAI 生成物の著作物性に言及した判例としては, 現在まで, 以下の①と②の判例がよく挙げられている[8]。また, 以下の③の判例は, AIではなく動画カメラによる自動撮影写真に関するものであってAI生成物に関するものではないが, 人間によらない自動生成物という点で共通性があるので, AI生成物の著作物性に関係する判例として取り上げられることがある[9]

 

①北京菲林(Feilin)法律事務所・北京百度(バイドゥ)網訊科技有限公司著作権侵害事件2019年4月25日北京インターネット法院判決(案件番号:(2018)京049民初239号) (以下「ヴォルタース法律情報DB事件判決」)[10]

②騰訊(テンセント)計算機系統有限公司・上海盈訊科技有限公司著作権侵害事件2019年12月24日深圳市南山区人民法院判決(案件番号:(2019)粤0305民初14010号)(以下「Dreamwriter事件判決」)[11]

③高楊(Gao Yang)・尤酷信息技術(北京)有限公司著作権侵害事件2020年4月2日北京知的財産権法院判決(第二審)(案件番号:(2017)北京73民終797号) (以下「熱気球自動撮影事件判決」)[12]

 

以下, 順次, 三判例の要旨を示す。

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3.  ヴォルタース法律情報DB事件判決


 

原告(北京菲林(Feilin)法律事務所)は, 「映画娯楽産業司法ビッグデータ分析報告-映画巻-北京編」というタイトルの, 北京の裁判所が審理した映画産業訴訟に関する各種データ・特徴・法的リスク等を記した, 4,511字の文字と15のグラフ等図形から成る記事(以下「本件記事」)を作成し, 2018年9月9日, ウィーチャット上で公開した。その翌日, 被告(北京百度(バイドゥ)網訊科技有限公司)は, 本件記事と基本的に同じ記事(以下「被告記事」)を自身のプラットフォーム上で公開した。この被告記事公開について, 原告は, 北京インターネット法院(以下「本院」)に提訴し, 被告が原告記事に係る原告著作権(情報ネットワーク送信権(日本の公衆送信権に相当)等)を侵害したとして, 損害賠償等を請求した。

これに対し, 被告は, 本件記事は, ヴォルタース・クルーワー社[オランダに本社を置く情報サービス事業や出版事業を行う企業]の中国の判例等を含む法律情報データベース「威科先行库」(以下「本件AI」)の所定機能を実行して自動的に生成されたもので, 原告が自らの知的作業により得たものではなく, 著作権法は自然人の創作のみを保護し人工知能が生成したコンテンツは保護しないこと等を主張して, 原告の主張を否定した。

これに対し, 原告は, 本件記事作成に当たり本件AIを利用したことは認めたが, 本件記事は, (1)その中の図形については, 本件AIから出力後手作業で加工し, (2)本件記事で取り上げた判決に関しては, 本件AIで一定条件により検索した判決文を, 原告設定の基準に従い人手により無関係の判決を除外する等選別し, (3)選別された判決文に対し, 別のソフトウェアを使用し統計分析し, 最終的記事を作成したもので, 本件記事は, 独創性を有する図形著作物および文字著作物であると主張した。

そこで, 本院は, 本裁判において, 本件AIで, 検索条件として, キーワードは「映画」, 審理裁判所は北京市裁判所, 裁判期日は1995年1月1日~2017年12月31日と設定して検索した後に所定機能を実行して分析報告書1を生成した。また, 同様に, 本件AIで, 検索条件として, キーワード・審理裁判所・裁判期日は上記と同じ, 更に訴訟原因について著作権権利・権利侵害紛争と設定して検索した後に所定機能を実行して分析報告書2を生成した。

本院は, 分析報告書1・2(以下「分析報告書」と総称)と本件記事とを比較した上, 本件記事の図形部分については分析報告書との同一性を認定しその著作物性を否定する一方, 本件記事の文字部分については, 分析報告書の表現とは異なるので, 本件AIにより自動生成されたものではなく, 原告が独創的に作成したもので, 創作性があり, 著作物に該当するとした。その上で, 本院は, 本件記事は原告の法人著作物であることと, 被告による情報ネットワーク送信権侵害を認定した。

 

— 裁判の結論は以上の通りであり, 従って, その結論に直接には結びつかないので, いわば傍論となるが, 本院は分析報告書について, 要旨以下の通り述べた。

 

分析報告書は, その生成過程から見ると, キーワードが選択され, 本件AIを用いて分析報告書が自動生成されたが, その内容は, 文字著作物としての形式要件を満たしており, また, 関連データに関する選択・判断・分析が具現されたものであり一定の独創性を有する。 しかし, 本院は, 独創性を有することは著作物に該当する十分な条件ではなく, 現行法によれば, 著作物は自然人により創作され完成されるべきであると判断する。...本院は, 自然人による創作・完成が著作権法上の著作物の必要条件であると判断する。

本件AIの開発者(権利者)[ヴォルタース・クルーワー社]は, その必要に応じ検索用キーワードを入力しておらず, 分析報告書は, 本件AIの開発者(権利者)の思想・感情を独創的に表現したものではないから, 本件AIの開発者(権利者)が創作・完成した分析報告書であると認定すべきではない

同様に, 本件AIの利用者は, 検索のためのキーワードを入力するだけであり, そのAI機能実行により自動生成された分析報告書は, 本件AIの利用者の思想・感情を独創的に表現したものではないから本件AIの利用者が作成したものであると認定すべきではない。 従って, 本件AIの開発者(権利者)も利用者も, 分析報告書の作成者とはみなされない。

分析報告書は, 本件AIが, 入力キーワード, アルゴリズム, ルール, テンプレートを組み合わせて作成したもので, ある意味で, 本件AIが分析報告書を「創作」したと考えられる。分析報告書は, 自然人により作成されたものではないから, 本件AIが「創作」した分析報告書が独創性を有するとしても著作権法上の著作物ではなく, 本件AIが著作者であるとも著作権法上の権利を有するものとも認められない

 

— 上記より, 本判決では, 著作物性の要件として, 自然人による創作・完成を要求し, 人の関与が一つのキーワードの入力(正確には更にその他いくつかの検索条件設定)だけでは, AI 生成物に対する人の創作的関与と認めず, 従って, 本件AI 生成物(またはAI 支援生成物)の著作物性は否定される。

 

— また, これも傍論となるが, 本院は, 続けて, 著作物と認められないAI 生成物の保護に関し, 要旨以下の通り述べた。

 

分析報告書が著作物に該当しないからといって, それがパブリックドメインとなり公衆が自由に利用できるということにはならない

分析報告書の作成は, 本件AIの開発者(権利者)と本件AIの利用者双方の投入(投資・寄与)の結果であり, これを伝播する価値がある。投入の結果(=分析報告書)を伝播するには, 投入者に一定の権利利益の保護を与えなければ, その効用を発揮することはできない。

本件AIの開発者(権利者)は, 本件AIの使用料等を徴収することにより利益を得ることができその開発投入に対し相応に報われている。また, 分析報告書は, 本件AIの利用者が利用ニーズや検索設定に応じて作成するもので, 本件AIの開発者(権利者)にはそれを伝播する動機がない。 従って, 分析報告書に係る権利利益を本件AIの開発者(権利者)に与えても, 本件AIの開発者(権利者)は積極的にその権利利益を活用しないから, 文化の伝播および科学発展に寄与しない。

これに対し, 本件AIの利用者は, 本件AIの使用料を支払って投資し, 自らのニーズに基づきキーワードを設定して分析報告書を生成し, 分析報告書を更に利用し伝播させる動機と期待を有する。従って, 本件AIの利用者に分析報告書に関する権利利益を与え, その利用・伝播を奨励すべきである。もし, そうしなければ, 本件AIの利用者は徐々に減少し, 利用者は分析報告書の伝播に消極的になり, 結局, 文化の伝播と価値の発展に悪影響を及ぼすことになる。

 

— この後, 本院は, だからどうすべきか(例えば不正競争防止法2条違反[13]として保護するか)という点にまで言及していない。しかし, 仮に, AI 生成物に著作権等による法的保護を付与する場合において, AIの開発者と利用者が異なるときは, AIの開発者(権利者)ではなく, AIの利用者にその保護を与えるべきであるという結論になると思われる。

 

— 本判決の第二審北京知的財産権法院判決(2020年5月18日)は, 一審の本判決を支持した(Zhe DAI・Banggui JIN・2023, 243頁, 注33)。

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4.  Dreamwriter事件判決


 

原告(騰訊(テンセント)計算機系統有限公司)は, 関連会社から文章作成支援システムDreamwriterの使用許諾を受け, それを使用し, 金融・経済記事《午後の論評:上海総合指数は2671.93ポイントで0.11%の小幅上昇, 通信事業, 石油採掘等のセクターが上昇を牽引》というタイトルの記事(その文末には「この記事はテンセントロボットDreamwriterが自律的執筆」との記載あり)(以下「本件記事」)を作成し, 2018年8月20日にウェブサイトに掲載した。被告(上海盈訊科技有限公司)は, 同じ内容の記事を, 同日にウェブサイトに掲載した。これに対し, 原告は, 深圳市南山区人民法院(以下「本院」)に提訴し, 被告が原告記事に係る情報ネットワーク送信権等を侵害したとして, 損害賠償等を請求した。

 

本件記事は著作物に該当するか否か, および, 原告が本件記事の著作権者であるかに関し, 本院は, 以下の通り判断した。

 

(a)本件記事は著作物に該当するか否か

 

実施条例第2条は「著作権法にいう著作物とは, 文学, 芸術及び科学の分野において, 独創性を有し, かつ有形の形式で複製できる知的成果をいう」と, 同4条1項は, 「文字著作物とは, 小説, 詩歌, 散文, 論文等の文字の形式で表現された著作物をいう。」と定める。

本件記事が文字著作物に該当するか否かを判断する鍵は, 本件記事が独創性を有するかにある。

 

先ず, 本件記事に独創性があるか否かを判断するためには, 本件記事が独自に創作されたものであるか否か, 外形的表現が既存の著作物とは一定程度異なっているかまたは最低限の創作性があるか否かを分析して判断する必要がある。

本件記事は, 原告の制作チームの人員がDreamwriterを使用して生成したもので, その外形的表現は, 文字著作物としての形式的要件を満たしており, その表現内容も, 当日午前の株式市場情報・データについての選択・分析・判断が具現され, 文章構造は合理的で, 表現ロジックも明確で, 一定の独創性が認められる

 

次に, 本件記事の生成過程から, 創作者の個性的選択・判断・技巧等を具現したものか否かを分析する。

原告の陳述書によれば, 原告は, 編集チーム, 製品チーム, 技術開発チームを含む制作チームを組織し, Dreamwriterを実行して, 本件記事を含む金融ニュース文章を生成していた。本件記事の生成過程は, 主に, データサービス, トリガーと執筆, インテリジェント(智能)検証, インテリジェント配信の4段階を経ていた。

上記の本件記事の生成過程の段階の中で, データタイプの入力とデータ形式の処理, トリガー条件の設定, 文章構成テンプレートの選択とコーパス(料)[テキスト,画像等のデータベースと思われる]の設定, インテリジェント検証アルゴリズムモデルの訓練等は, 全て制作チームの人員により選択・手配される。

本件記事の創作過程と通常の文字著作物の創作過程との違いは, 創作者による資料の収集, 表現テーマの決定, 文体と具体的記述形式の決定, すなわち, 原告の制作チームが本件記事生成のために行った選択・手配と, 本件記事の実際の執筆との間に一定の時間差がある点にある。本院は, 本件記事の同時性の欠如は, 原告が使用した技術的手段またはツールの特性によると判断する。

原告の制作チームの人員が行った上記の選択と手配は, 著作権法上の創作要件に合致するものであり, 本件記事の創作過程に含まれなければならない

 

「中国著作権法実施条例」第3条によれば, 著作権法にいう「創作」とは, 文学, 芸術, 科学の著作物を直接生み出す知的活動をいう

従って, ある行為が創作行為に該当するか否かの具体的判断は, 当該行為が知的活動であるか否か, および, 当該行為と著作物の特定の表現形式との間に直接的な関連性があるか否かを考慮しなければならない。

本件の事実に基づけば, 原告制作チームによるデータの入力, トリガー条件の設定, テンプレートとコーパススタイルの取捨選択における手配と選択は, 本件記事の特定の表現形式と直接的な関連性を有する知的活動に該当することは明らかである。

生成過程全体から見れば, Dreamwriterが本件記事を自動生成した2分間だけを創作過程とみれば, 確かに人の参加・関与(参与)はなく, コンピュータソフトウェアが既定のルール, アルゴリズムおよびテンプレートを実行した結果に過ぎない。

しかし, Dreamwriterは, 理由もなくまたは自己の意識により自動作動するわけではなく, その自動作動は, 原告の選択を具現し, また, Dreamwriter技術の特性により決定される。Dreamwriterの自動作動だけを創作過程とみなすならば, それはある意味でコンピュータソフトウェアを創作の当事者として扱うことになるが, 客観的状況に合わず不当である。

従って, 本件記事の生成過程から分析すると, 本件記事の表現形式は, 原告制作チームの人員の個性的手配・選択により決定されたものであり, その表現形式は唯一ではないにしても一定の独創性を有す

Dreamwriter開発者の作業と本件記事の独創性との間に直接の関連があるか否かについては, 本件の事情, および, 本件ソフトウェアの著作権者が原告との間で許諾ソフトウェアを用いて創作された著作物の著作権は原告に帰属することについて合意していることを考慮すると, もはや究明する必要はない。

 

以上の理由で, 本件記事の外形的表現と生成過程の分析から, 本件記事の特定の表現形式と創作者の個性的選択・手配, 並びにDreamwriterの技術的「生成」創作過程は, 全て, 著作権法上の文字著作物の保護要件を満たしており, 本院は, 本件記事は中国著作権法上保護される著作物であると判断する。

 

(b) 本件記事は[原告の]「法人著作物」に該当するか否か

 

著作権法第11条...は, 「法人またはその他の組織が主宰し, 法人またはその他の組織の意思を代表して創作され, かつ, 法人またはその他の組織が責任を負う著作物については, 法人またはその他の組織が著作者とみなされる。」と定める。本件では, 原告は, 本件記事は法人著作物であり, 著作権は法人が享有すると主張した。

本院は, 判明した事実によれば, 本件記事は, 原告の主宰の下, 制作チーム, 製品チーム, 技術開発チーム, Dreamwriterを使用して完成させたものであ[る]。本件記事は, 原告の主宰の下で, 多数のチーム・多数の人が分業して全体の知力で創作して完成させたもので, 全体として, 株式評価記事掲載に関する原告のニーズと意図を具現している。 [すなわち, 「法人の意思を代表」の要件を満たす]

本件記事は, 原告が運営する騰訊網証券チャンネルで公開され, 記事末尾には「本件記事はテンセントのロボットDreamwriterが自動執筆した」と記載されており, そこにある「テンセント」の氏名表示は, その記事掲載プラットフォームと合わせ[て考慮す]ると原告を指すと解釈され, 原告が本件記事について対外的に責任を負うことを示す。

従って, ...本院は, 本件記事は, 原告が主宰して創作された法人著作物であ[る]と判断する。

 

上記の結果, 本院は, 被告による原告著作権の侵害を認定した。

なお, 本判決は, 両当事者とも控訴しなかったため, そのまま確定した[14]

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5.  熱気球自動撮影事件判決


 

(事件の概要) 高楊(Gao Yang)(一審原告・控訴人:個人)(以下「原告」)らは, 2014年9月, ビデオカメラ(GoPro HERO 2カメラ)を搭載した熱気球を打上げて地表を自動録画モードで撮影(気球飛行中は人間による操作なし)を行い, その撮影されたビデオ(以下「本件ビデオ」)からスクリーンショットを選択の上若干加工した写真(以下「本件写真」)を, 同月, SNS上で公開した。

同年11月, 尤酷信息技術(北京)有限公司(一審被告・被控訴人)(以下「被告」)は, 自社サイトで本件写真複数を含む広告ビデオを公開した。

これに対し, 原告は, 提訴し, 被告が本件写真に係る写真著作物の著作権を侵害したとして, 損害賠償等を請求した。

2016年の一審判決は, 本件写真が機械により自動撮影されたものであることを理由に本件写真の著作物性を否定し, 原告敗訴。そこで, 原告は, 北京知的財産権法院(以下「本院」)に控訴したところ, 本院は, 本件写真の著作物性を認め, 原告の主張を認めた。以下, 本判決の著作物性に関する判示部分の要旨を示す。

 

本件ビデオの撮影は自動的ではあるが, 撮影過程において人間による関与・選択が行われており, 撮影結果には一定の独創性が認められる。例えそれが主に機械により自動的に作成されたとしても, 明確な目的を有す人間の関与と選択を具現した写真は一定の芸術性を満たす限り著作物たり得ることは否定できない。

例えば, 野生動物または特定の気象条件を野外で撮影する場合, 撮影者は, あるアングルを選択した後, 野生動物または特定の気象条件の出現をじっと待つのではなく, むしろ, カメラをセットアップして自動撮影モードや自動録画モードを選択し, そのシーンが現れそうなアングルで長時間自動撮影するのが一般的である。一定時間後, 撮影者はカメラを回収し, 画像を選別する。野生動物や特定の天候のシーンがはっきりと写っている場合, 自動的に撮影されたという事実は, それが写真著作物であるという事実を否定するものではない。 何故なら, 写真やビデオには, 撮影者の選択・関与・判断といった人間の最低限の知的労働が具現されているからである。撮影者は, 撮影前に, 野生動物がいつどこに触れたのかを調べ, どこにカメラを設置するかを判断し, 撮影のパラメータを予め設定し, 撮影後には, 長いビデオ素材の中から選別し, 目的の写真やビデオを後編集する。また, このような撮影は偶然性が大きく, 撮影者の根気と何度もの試行錯誤を要する。自動的に撮影された写真であっても, 人間の関与・選択・判断が明確に具現されていれば, 写真著作物として成立することが分かる。従って, 写真の撮影・形成過程において, 人間の要素の参与があり, 人間が独創的な方法により撮影過程で役割を果たしている限り, 写真著作物に要求される独創性要件を満たし, 写真の著作物に該当する。

本件では, 本件写真の撮影・形成過程において十分な人間の関与があり, 原告の知的選択・手配(编排)が具現されており, 独創性を有し, 写真著作物の要件を満たしている。本件ビデオの撮影における人間的要素は, 主に以下の[実際の撮影前の]点に具現されている:(1) 撮影の目的・意図:高高度気球による地球表面の撮影;(2) 撮影対象:地球または高高度地球;(3)撮影手法:カメラを搭載した高高度気球を使用し, 気球の破裂・天候・風速等を考慮しながら地球を撮影;(4) 機材:GoPro HERO 2カメラ;(5) アングル:倒置撮影;(6) 設定:ビデオ録画モード(1080P・毎秒25フレーム・広角・感度800)。

... また, 原告は, スクリーンショット切取り後, 美化処理[本件写真をより美しくすること]も行い, ...その過程で, 切り抜き, トリミング等の方法によって, 本件写真を, 元のビデオのスクリーンショットとは異なるように変化させ, より美しいものにした。

...当該処理の過程で, 選択と手配という人間による要素が十分に具現され, 原告の知的創作と審美観が具現されている。 本件写真の撮影過程から最終的な美化の形成過程に至るまで, 人的要素の参与があり, 原告の知的な選択と手配を具現し, 写真著作物の独創性の要件を満たすから, 本件写真は写真著作物に該当する。

 

本判決は, 2021年に北京高級人民法院により支持された(最終判決)(Zhe DAI・Banggui JIN・2023 250頁)。

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6.  三判例のまとめ


 

三判例とも, AI または機械による自動生成物に関する著作物性を検討しているが, いずれの自動生成物も, ZHOU Bo・2020で指摘されている通り, 人間の関与が何らなく純粋にAIにより生成されたいわば完全AI 自律生成物ではなく, 人間が「道具」としてAIを使用した事件と認められ, 人間による創作的関与の有無・程度を基準にAI 生成物の著作物性を判断している。

 

ヴォルタース法律情報DB事件判決では, 裁判所は, 自動生成された分析報告書に独創性があることを認定しつつ, 現行法上, 自然人による創作・完成が著作権法上の著作物の必要条件であり, 本件AIの利用者である人間は, 検索のためのキーワードを入力するだけであり, そのAI機能実行により自動生成された分析報告書は, 本件AIの利用者の思想・感情を独創的に表現したものではないとして, 分析報告書の著作物性を否定した。

Dreamwriter事件判決では, 本件記事に一定の独創性があることを認定した上で, Dreamwriterによる記事自動生成前の原告制作チームの人員によるデータの入力, トリガー条件の設定, テンプレートとコーパススタイルの取捨選択における手配と選択は, 本件記事の特定の表現形式と直接的な関連性を有する知的活動に該当するとして, 本件記事の著作物性を認定した。すなわち, Dreamwriter事件判決においても, 裁判所は, 人間による創作的関与(AIによる自動生成前の参与でもよい)およびその内容程度を認定した上で本件記事の著作物性を認定しているのである。

熱気球自動撮影事件判決では, 裁判所は, 本件ビデオの自動撮影前の①撮影の目的・意図, ②撮影対象, ③撮影手法, ④撮影機材, ⑤撮影アングル, ⑥撮影設定および本件ビデオからの本件写真のスクリーンショット切取り後の切り抜き, トリミング等(野生動物・気象条件の撮影の例からすればこの⑥は必ずしも必要でないかもしれない)において, 選択と手配という人間による要素が十分に具現され, 原告の知的創作と審美観が具現されていることを理由として, 本件写真の著作物性を認めた

 

次に, AI 生成物が著作物として認められた場合において, 誰が著作者として著作権者となるかについては, ヴォルタース法律情報DB事件判決は, AI 開発者ではなくAI 利用者であるべきことを示唆している。

Dreamwriter事件判決では, 本件記事は, 創作者[原告制作チームの人員]の属する, 原告でありかつAI 利用者である法人が主宰し, 当該法人の意思を代表して創作され, かつ, 当該法人等が責任を負う「法人著作物」(著作権法11条3項)に該当し, 当該法人が著作者であり著作権者であると認定した。

熱気球自動撮影事件判決では, 本件写真を創作したと認定された自然人たる原告が, 著作者であり著作権者である。

 

なお, Zhe DAI・Banggui JIN・2023・3(255頁以下)は, Dreamwriter事件判決について要旨以下の通り述べている。

Dreamwriter事件判決は, 「2020年中国法院10大知的財産権事件および50件の典型知的財産権事件」(2020年中国法院10大知识产权案件和50件典型知识产权案例)」(2021年4月16日)で, 最高人民法院により知的財産権事件の典型的判例に選ばれた(項番27の判例)。「法律適用を統一し, 類似事件の探索を強化することに関する最高人民法院の指導見解」第9条によれば, 各人民法院は最高人民法院が公表した典型的判例を自己の判決の参考とすることができる。それは参考ではあるが, 過去の司法実務の経験上, 下級人民法院はほぼ全て典型的判例の判決に従っている。従って, 中国の裁判所は今後もDreamwriter事件判決に従う可能性が高い。従って, 今後, 中国の裁判所がAI生成物の著作物性を審理判断する場合には, 特にDreamwriter事件判決を参考にすると思われる。

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7.  関連する学説等


 

ZHOU Bo・2020では, 三裁判例に言及しつつ, 要旨以下のようなことを述べている。

 

[AI 生成物に著作物性を認めた裁判例として有名な]Dreamwriter事件判決において裁判所が[著作物性を]認定したものは, 人間の知的活動から完全に切り離され, 純粋にAIにより生成されたものではなかった。問題の文字コンテンツ[記事]は, AIにより自律的に創作されたものではなく, AIにより補助された人間の知的活動の結果に過ぎない。この意味で, AIの参加(participation)により形成された成果物は, 勿論著作権法により保護される。

人間が予めプログラムしたアルゴリズムにより生成されたものであれば, 人間の干渉(interference)要因がないとは言い難い。しかし, 機械学習やディープラーニングの機能により, AIは人間が予め設定したアルゴリズムに加えて, それが自律的に生成した新たなアルゴリズムを形成する可能性がある。この人工的に形成されたAIのアルゴリズムにより得られる成果物は, AI自律生成物(autonomously generated products of AI)と呼び得る。現在の中国の裁判所の司法実務によれば, このAI自律生成物が著作権法により保護される著作物に該当するか否かに関する裁判例はない。このAI自律的生成物が著作権法で保護される著作物となり得るか否かはまだ分からない。

AIという要素が関係したとしても, 人間による介在要素が完全に排除されない限り, 法的問題の本質が根本的に変わることはない。AIが人の要素を完全に排除し独立して作動できる程に技術が進化するまでは, 現行著作権法制度を調整する必要はない。我々がこれまで裁判所で遭遇した事案では, AI関連生成物は, 本質的にAIの成果(outcomes)の支援を受けて行われた人間の知的活動の結果である。従って, 現行著作権法の枠組みを, AI生成物の著作権保護のニーズに適合させることは, まだ十分に可能である。如何なる人間の介在もないAI自律生成物の著作権保護については, 技術進歩を辛抱強く見守る必要がある。結論を出すのはまだ少し早い。

 

分部 悠介他・2021(31頁)では以下のように述べられている。

 

(2) AI 生成物と著作権関連論点

ⅰ.関連論点

上述のとおり, 文化芸術分野を中心にAI 生成物が多く生み出されるようになったことにより, 近年, 中国では, AI 生成物が著作権法上の保護を受けられるかどうか等の議論が多く行われている。現在, 学界での議論は主に, (1)AI 生成物は著作物として認定できるか, (2)著作物として認定できる場合, その権利は誰に帰属すべきか, (3)著作物として認定できない場合であっても, その他法律上の保護を受けることができるかという点に集中している。

(1)の論点[著作物性]で議論されることが多いのは, AI 生成物が, 「独創性を有する」と言うことができて著作物としての認定要件を充足しているか, という点である。なお, 後述の裁判例のとおり, 同論点の前提として, 「著作物は人間が創作するものである」とする伝統的な著作権理念を覆して良いのかという点も議論されることもある。

この点, 独創性の有無について, 外形的・客観的に独創的表現を備えていさえすれば, AI 生成物は著作物として認定できるとする主張がある。同主張は, 独創性の有無の判断対象は結果として創作された表現創作物そのものを対象とすれば十分であり, 多くのAI 生成物は, 人間の創作物と比べても, 外形的・客観的に見ればほぼ同様であることから, 同創作主体, 過程について特段, 考慮することなく, 表現内容に独創性があれば著作物としての要件を充足するとしている。

これに対して, 独創性の有無を判断する際には, 創作物の外形的表現のみならず, その創作過程における独創性の有無も考慮すべきであるという主張もある。同主張は, 独創性とは, 創作者の独立かつ個性的な創作に由来するものであり, その創作過程において作者に「創作選択の余地」を残さなければならないと考える。同主張に基づくと, 現時点ではAI は基本的に人間が予め設定した算法, 規則, テンプレートに基づき計算を行うため, 創作物を生み出すための初期データや材料が同様の場合, AI が生み出す創作物も限定的となり, その意味で, 創作の余地や個性, 特徴を有していないことから, 独創性の要件を満たさず, 著作物として認定できないということになる。

次に, (2)の論点[権利帰属]については, AI 生成物が著作物として認定できるとする論者の多くは, AI 生成物の権利帰属は法人著作物制度[著作権法11条3項]を参考とし, その著作権は AI ソフトウェアの所有者または利用者に帰属すると考えている。(3)の論点[著作権以外での保護]については, 著作物として認定できないとする論者の一部は, AI 生成物の生成には特定の主体(投資者)による技術的, 経済的, 組織的な投資が必要であるため, 投資者の権益を保護すべきであるとし, AI 生成物が著作権保護対象とならないにしても, 著作隣接権保護対象として保護できるような制度を作るべきだと主張する。

以上のとおり, AI 生成物の著作物性, 同保護のあり方については, 中国では様々な意見が存在しており, 統一的な見解がまだ形成されていない状況となっている。

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8.  結 語


 

本稿1(はじめに)で言及した日本における論点等と同様の問題について, 中国における現時点での大方の見方を, 上述した三判例および関連する学説等から推測すると以下のようになると思われる。

 

AI生成物をAIが(人の関与なく)自律的に生成した場合には著作物性は認められず, 人が「道具」としてAIを使用した場合には著作物性が認められ得る

AI生成物の生成の際に, AI に対してどの程度具体的な指示を与えれば, AI生成物に著作物性が認められるのかに関しては, 三判例によれば, (1)一つのキーワードの入力(正確には更にその他いくつかの検索条件設定)だけでは著作物性は否定され(ヴォルタース法律情報DB事件判決), (2) AIによる自動生成前のデータの入力, トリガー条件の設定, テンプレートとコーパススタイルの取捨選択における手配と選択があれば著作物性が肯定され(Dreamwriter事件判決), (3)ビデオの撮影前の①撮影の目的・意図, ②撮影対象, ③撮影手法, ④撮影機材, ⑤撮影アングル, ⑥撮影設定および本件ビデオからの本件写真のスクリーンショット切取り後の切り抜き, トリミング等(この⑥は必ずしも必要でないかもしれない)における選択と手配があれば著作物性が肯定される(熱気球自動撮影事件判決)。

著作物として認定できる場合, その著作権は, AI生成物の創作(選択・手配)行為をしたと認められるAI利用者に帰属し, その利用者が法人の場合には, 法人著作物制度[著作権法11条3項]に基づき, 当該法人に帰属する。

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以 上


[i] 【本稿の筆者】 UniLaw企業法務研究所代表 浅井敏雄

[1] 【日本おけるAI生成物の著作物性に関する議論】 日本では, 第23期文化審議会著作権分科会法制度小委員会(以下「法制度小委」)第1回(令和5年7月26日)の「資料3 AIと著作権に関する論点整理について」では, 主要論点項目の一つとして, AI生成物が著作物と認められるための要件が挙げられている(p.1)。そして, 同資料では, AI生成物の著作物性についてのこれまでの検討結果として, AI生成物をAIが自律的に生成した場合には著作物性なし, 人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用した場合には著作物性あり, 「『道具』としてAIを使用した」というためには, ①創作意図及び②創作的寄与が必要, とされている。また, 法制度小委の第4回(令和5年11月20日)の「資料1-1 AIと著作権に関する考え方について(骨子案)」では, 生成物の著作物性について, AIと著作権に関する論点整理の項目立て及び記載内容案の概要の一つとして, 「イ 生成の際に, 生成 AI に対してどの程度具体的な指示を与えれば, 生成物に著作物性が認められるのか。以下のような要素は著作物性の有無に関して, 生成物のどの範囲に, どの程度影響するか。他に影響が考えられる要素はあるか。① 指示・入力(プロンプト等)の分量・内容, ② 生成の試行回数, ③ 複数の生成物からの選択, ④ 生成後の加筆・修正」を示している(p. 9)。

[2] 【本稿における引用・参考資料】 (注)著者肩書は当時のもの。

・王 学士(中国大連海事大学法学部研究員:中国弁護士・博士(法学)) 「AI生成物の著作権保護 : 中国の最近の二判決から」I.P.P.I. 2020.9 p.703-710(「王 学士2020」)。

・馮超(中国弁護士), 光安徹(東証一部上場の自動車機器メーカー法務本部主管)「中国知的財産法: 法解説と実務ハンドブック」オーム社, 2022.4(「馮超・光安徹2022」)

・ZHOU Bo, Senior Judge of the IPR Division of the Supreme People’s Court of China(中国最高人民法院知的財産権部上級裁判官)“Artificial Intelligence and Copyright Protection--Judicial Practice in Chinese Courts” WIPO, 2020(「ZHOU Bo・2020」)

・分部 悠介(日本弁理士),共 捷(中国弁理士),周 婷(中国弁理士)「AI関連技術及び AI 生成物の知財保護に関する中国での最新トピック」パテント9 p.29-33(「分部 悠介他2021」)

・Zhe DAI(広州 Jinan 大学法学部), Banggui JIN(エクス=マルセイユ大学(仏)法政治学部, フランス欧州アジア研究所所長) "The copyright protection of AI-generated works under Chinese lawTribuna Juridica, 2023(「Zhe DAI・Banggui JIN・2023」)

・Mark I 「中国:人工知能(AI)による創作物は著作権の保護対象 (trademark.jp)」04.06 (以下「Mark I・2021」)

[3] 【中国著作権法】 「中华人民共和国著作权法」(2021年6月1日改正施行)。CRIC和訳JETRO和訳

[4] 【改正前著作権法】 (参考) JETRO『「中華人民共和国著作権法」 新旧対照表

[5] 中国著作権法実施条例】 「中华人民共和国著作权法实施条例」(2013年1月30日改正施行)。JETRO和訳

[6] 「かかる権利帰属は, 創作主体ではない他の主体を法的擬制を通じて著作者にすることによって著作者の範囲が拡大され, 著作権の完全譲渡を実現できることと位置付けられている」(王学士・2020. 704頁)。

[7] 馮超・光安徹2022, 285・286頁

[8] ZHOU Bo・2020, 王学士・2020, 分部 悠介他・2021, Zhe DAI・Banggui JIN・2023, 256頁 注57

[9] ZHOU Bo・2020, Zhe DAI・Banggui JIN・2023。なお, Zhe DAI・Banggui JIN・2023は, 「中国では過去4年間, 著作権分野においてAI生成物について[三判例以外に]新たな判断を下した裁判所がない」とする(p.258)。

[10] 【ヴォルタース法律情報データベース事件判決】 China Daily英訳

[11] 【Dreamwriter事件判決】 (日本語紹介・解説)Mark I・2021, 王学士・2020, 706・707頁, 李 瑜・2023, 117・118頁, 分部 悠介他・2021, 32頁, (英語紹介・解説)ZHOU Bo・2020, Zhe DAI・Banggui JIN・2023

[12] 【熱気球自動撮影事件判決】 (英語紹介・解説)ZHOU Bo・2020, Zhe DAI・Banggui JIN・2023 250頁

[13] 中国不正競争防止法第2条は, 「事業者は, その生産経営活動において, 自由意思, 平等, 公平, 誠実信用の原則に従い, 法律および商業道徳を遵守しなければならない。本法にいう不正競争行為とは, 事業者がその生産経営活動において, 本法の規定に違反し, 市場競争秩序を乱し, 他の事業者または消費者の合法権益を害する行為をいう。」と定める。中国最高人民法院は2022年3月16日付けで「反不正当競争法の適用に関する若干の問題の解釈」(最高人民法院关于适用《中华人民共和国反不正当竞争法》若干问题的解释)という新たな司法解釈を公表した。その第1条では, 「事業者が市場競争の秩序を乱し, 他の事業者または消費者の合法的権益を害し, 不正競争防止法第2章および特許法, 商標法, 著作権法等の規定に違反する以外の場合, 人民法院は不正競争防止法第2条に違反すると認定することができる。」と定める。従って, AI生成物が著作物に該当せず, その複製行為が著作権侵害とならないとしても, その行為は不正競争防止法違反として認定され, そのAI生成物は同法により保護される可能性はあり得ると思われる。 (参考) 遠藤誠(弁護士)『最高人民法院による 「不正競争防止法の適用に関する若干問題の解釈」の公布

[14] Zhe DAI・Banggui JIN・2023 250頁

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