決済端末の販売預託でリア・エイドに措置命令/預託法違反のポイントを解説
2026/04/02 契約法務, コンプライアンス, 消費者取引関連法務, 消費者契約法

はじめに
違法な販売預託商法を行っていたとして、クレジットカード決済端末機などを販売する「リア・エイド」に対し消費者庁が措置命令を出していたことがわかりました。
売り上げは約19億円に上るとのことです。今回は預託法が規制する販売預託について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、リア・エイドは2022年から2025年にかけて「事業パートナー募集」などとうたい、クレジットカード決済端末機を1台55万円で販売し、飲食店などの第三者に貸し出し、決済手数料などを端末機の購入者に還元する販売預託契約を締結するなどしていたとされます。
また、同社は街角のLEDビジョンについても販売預託契約を締結し、のべ700人ほどを相手に19億円余りを売り上げていたとのことです。
消費者庁はリア・エイドが「預託法に規定する内閣総理大臣の確認を受けずに本件契約および勧誘を行った」として、
・違法行為の差止
・本件売買契約および預託取引契約が無効であることの確認
・再発防止と周知徹底
などを命じる措置命令を出しました。
預託等取引とは
預託等取引に関する法律(預託法)において、「預託等取引」とは、当事者の一方が相手方に対して物品の預託を受けることおよびそれに関して財産上の利益を供与することを約し、または物品の預託を受けること及び一定の期間の経過後一定の価格により物品を買い取ることを約し、相手方がこれに応じて当該物品を預託することを約する取引とされます(2条1項1号)。
たとえば、事業者が商品を販売し、消費者が代金を支払うとともに事業者にその商品を預けて、預かった商品を事業者が第三者に貸し出すなどの運用を行い、利益を発生させてその利益の一部を消費者に還元するといった取引などを指します。
ここで販売される商品としては、航空機や太陽光パネル、仮想通貨や宝石、絵画、和牛などが挙げられます。これらを航空会社や電力会社などに貸与するなどして運用し利益を還元するといったスキームで勧誘されます。
預託等取引の原則禁止
上記のような預託等取引は、実際には運用による利益はほとんど出ず、消費者への還元は新たな消費者からの売上金などが充てられるといった自転車操業に陥ることも少なくなく、最終的に破綻するリスクが極めて高いスキームとされています。
そこで、改正預託法では令和4年6月1日の施行から預託等取引は原則として禁止となり、例外として内閣総理大臣の確認を受けた場合にのみ預託等取引やその勧誘が可能とされています(9条1項、14条1項)。
これに違反して預託等取引を行った場合、取引停止命令や措置命令、業務禁止命令などの行政処分が出され(19条、20条等)、また罰則として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が規定されています(32条1号)。法人に対しても5億円以下の罰金となっています(38条1号)。
預託法によるその他の規制
預託等取引は内閣総理大臣の確認を受けた場合は適法に行うことが可能ですが、その場合でも預託法では厳格な規制が置かれています。
まず、預託等取引契約を締結しようとするときは、事業者は顧客に対し書面の交付が義務付けられています(3条)。
次に、預託等取引業者または勧誘者は勧誘する際や解除を妨げるために故意に事実を告げなかったりまたは不実のことを告げる行為や威迫などが禁止されます(4条1号、2号)。加えて、事業者は預託等取引契約に基づく債務や解除によって生じる債務の全部または一部の拒否や不当な遅延なども禁止されています(5条)。
そして、預託者は3条の書面を受領した日から起算して14日を経過するまでの間は預託等取引契約を解除することが可能です(7条1項)。
事業者側が解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしていたり、また威迫行為などを行っていた場合は事業者は改めて解除できる旨を記載した書面を交付し、その日から14日が経過するまでは解除することが可能です(同項カッコ書き)。
コメント
本件でリア・エイド社はクレジットカード決済端末機を消費者に販売した上でそれを預かり、飲食店などの第三者に貸与して決済手数料などを消費者に還元するといった契約を締結していたとされています。消費者庁は「このような行為は預託法の預託等取引に該当する」として、行為の差止や契約が無効であることを踏まえた対応、再発防止などを命じる措置命令を出しました。
以上のように、物品を販売した上で預かり、それを運用して利益を還元するといったスキームは預託等取引に該当することとなります。預託等取引は破綻のリスクが高く多くの消費者が被害を受ける可能性があることから現在では原則として禁止されています。
例外的に内閣総理大臣の確認を受けた場合は行うことが可能となっていますが、現時点で確認を受けた事業者は存在しないとされています。
連鎖販売取引と同様に預託等取引や無限連鎖講など厳格な規制の対象となっているスキームについては社内でその危険性を周知し、法令違反が生じないよう徹底していくことが重要と言えるでしょう。
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