復興基本法が成立、しかし険しい復興への道程
2011/06/21 法改正対応, 法改正, その他

復興基本法成立-未曾有の災害にも、遅い出発-
東日本大震災の復興の基本政策を定めた復興基本法が、20日の参院本会議で賛成多数により可決され、成立した。同法は、復興資金の財源となる復興債の発行(8条)、被災地の規制緩和などを目的とした復興特別区域制度の整備(10条)、内閣と所要地方にそれぞれ復興対策本部と現地対策本部を設置すること(11条、17条)、及び復興庁の設置に対する基本方針(24条)の4つを柱とする。平成7年の阪神・淡路大震災のときには震災後1カ月余りで基本法が成立したのに対して、今回の復興基本法は震災後102日目にしてようやく成立した。未曾有の災害に対する災害基本法として、遅い出発といわざるを得ない。
山積する問題
成立の遅れに加えて、同法はすでにいくつかの問題を抱えている。復興債の具体的な財源をどうするのか、すでに復興に向けて動き出している省庁と復興庁の管轄事務の棲み分けはどうするのか、菅政権は既に閣僚枠を使い切っているが復興相は他の閣僚の兼務となるのかなど、多くの問題が指摘されている。
財源については、法人税や所得税などの基幹税の増税が有力視されているが、先の見えない増税に世論の理解を得られるのかは疑問である。
また、同法はあくまで基本法であり、総体的な指針を定めたに過ぎない。実効性をもつ具体的施策を行うにはさらなる個別法の整備を待たなければならない。実際に被災者の声に応えるにはまだまだ時間がかかってしまう。
総評
復興基本法の成立により、これまで乱立されていた復興関連組織を復興庁に一元化する途を示し、復興の財源として復興債を定め、国や地方の役割の大枠を決めたことは、今後の復興の足がかりとなるもので、重要な一歩であるといえる。しかし、被災者が求めるのは生活再建への具体的な歩みであり、同法成立はその出発点に過ぎない。生活再建への遅れはその分だけ被災者の苦しみを悪化させることである。また、具体的な施策について今後迅速に法整備が進まなければ、日本経済の見通しの悪さに拍車をかけ、復興の妨げとなる経済悪化を引き起こしかねない。
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