エムアップホールディングス、Roen製品の模倣品に関する刑事・民事手続完了
2022/05/18 知財・ライセンス, 商標法

はじめに
株式会社エムアップホールディングスと連結子会社である株式会社Roen Japanは、エムアップホールディングスの子会社が運営するブランド「Roen」の模倣品が販売される被害を受けたことから、株式会社クロスマニアに対して法的手続を実施していました。そして2022年4月8日、同社らに対する民事訴訟に関して和解が成立しました。本記事では、今回の刑事・民事手続きに関する一連の流れについて概観します。
模倣品流通発覚の経緯について
株式会社クロスマニアは2006年9月25日に設立されたアパレルブランドを運営する会社で、各種オリジナルブランド商品の企画、立案および販売、商標、意匠権の取得、譲渡、使用許諾等の管理業、アパレルブランドの企画、製造、輸出入および販売などを業務としています。同社は自社ブランド商品をインターネット上で販売するなど製品を広く流通させていますが、今回、その中の一部のTシャツ、ポロシャツ、パーカー等がRoenの模倣品であるとして、刑事・民事手続きの対象となりました。
エムアップホールディングスは、2017年ごろから、自社の商標権(エー・ディー・ジャパン株式会社との共同商標)を侵害する模倣品がウェブサイトや実店舗で販売されていることを発見し調査を行っていました。調査の結果、クロスマニアらが模倣品の製造・販売に関与していることが判明したため、2018年3月、商標権侵害を理由に、警視庁に刑事告訴をしています。
流通した模倣品の内容
エムアップホールディングスの公表資料では、クロスマニアらが市場に流出させたRoenの模倣品一覧が写真で掲載されています。資料によると、多くの製品に「Roen」のロゴが使用されており、流通模倣品はTシャツやパーカーなどの多岐にわたっています。これらの製品は、エムアップホールディングスが一切関知していない間に流通した製品であり、上記の数年間にわたり一般に流通していたものとのことです。
模倣品販売の不当性
本件は模倣品の不当な販売として、「商標法違反」で警視庁に刑事告訴されています。商標法は、商標使用者に独占的な使用権を与えるものとして、商標使用者の信用維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とした法律です。クロスマニアらは2019年7月にが商標法違反の罪名により略式起訴されており、同年同月に東京簡易裁判所から株式会社クロスマニアらに対し商標法違反を理由としたる略式命令が下されています。さらに、2020年1月31日には、エムアップホールディングスがクロスマニアらを被告として、商標権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起しており、2021年11月25日に裁判上の和解が成立しています。和解内容としては、株式会社クロスマニアらが、エムアップホールディングスに対して一定の解決金を支払い、原告らはその余の請求を放棄するというものだそうです。
コメント
エムアップホールディングスは、2015年頃から2018年頃にかけて模倣品を購入した顧客や事業者に対して、クロスマニア代理人に問い合わせるように記載しています。また、エムアップホールディングスの子会社は捜査機関による指導に従っており、捜査への支障を避けるため、2017年以降Roenの生産数を以前の1割程度にとどめた経営を行っていました。しかし、今回の和解等によりひととおりの手続きが完了したことから、今後は従来どおりの生産数に戻して販売を行っていくと表明しています。
【関連リンク】
https://m-upholdings.co.jp/ir_financer/news/pdf/20220408_roen_l3g9ka3is.pdf
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