内部通報 消費者庁が改正公益通報者保護法施行に向け指針公表
2021/08/19 コンプライアンス, 法改正, その他
はじめに
改正公益通報者保護法は不正の早期発見につながる通報を促すため、従業員が300人を超える企業に通報窓口の設置を義務づけるほか、通報を処理する者に罰則付きの守秘義務を課すものであり、2022年6月までの法の施行に向けて8月中に企業向けの指針を公表する予定です。
事案の概要
改正前の公益通報者保護法では適用範囲が狭く保護の対象となる要件が厳しく実効性に乏しい等の問題がありました。これらの問題を解決すべく改正法が2020年6月12日に公布されました。
改正法は公布の日から2年以内に施行することとされており、消費者庁において内部通報体制の整備について事業者がとるべき措置に関する指針等の作成を行っている最中です。
公益通報者保護法とは
国民生活の安全・安心を損なう企業不祥事は、事業者内部からの通報をきっかけに明らかになることも少なくありません。こうした企業不祥事による国民の生命、身体、財産その他の利益への被害拡大を防止するために通報する行為は、正当な行為として事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護されるべきものです。
また、事業者にとっても、通報に適切に対応し、リスクの早期把握及び自浄作用の向上を図ることにより、企業価値及び社会的信用を向上させることができます。
「公益通報者保護法」は、このような観点から、通報者が、どこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかというルールを明確にするものです。
改正の主な内容
事業者のコンプライアンス経営を促進し法の実効性を確保するため、4つの視点から事業者が取り組むことが推奨される事項を具体化・明確化しました。
①通報者の視点から、通報に係る秘密保持の徹底、通報者に対する不利益な取扱いの禁止の徹底、自主的な通報者に対する懲戒処分等の減免が挙げられます。
②経営者の視点から、経営幹部が果たすべき役割の明確化、経営幹部からも独立性を有する通報ルートの整備、内部通報制度の継続的な評価・改善が挙げられます。
③中小事業者の視点から、規模や業種等の実情に応じた適切な取組の促進、関係事業者全体における実効性の向上が挙げられます。
④法令違反等に対する社内調査・是正措置の実効性の向上の視点が挙げられます。
コメント
内部通報制度の改革は、企業法務に密接にかかわる分野といえます。そのため企業法務従事者は、改正法の内容を熟知した上で、自社の現在の内部統制システムを改正法の施行によりどのように変化させなければならないのか、予め考慮しておく必要があるでしょう。
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