リナ・カーン氏のFTC委員長就任と米国独禁法理論
2021/06/25   海外法務, 独占禁止法, IT

GBL研究所理事・UniLaw/企業法務研究所代表 浅井敏雄[i]


 

【目  次】


(各箇所をクリックすると該当箇所にジャンプします)


はじめに


プラットフォーマの市場支配と米国独占禁止法理論


米国独占禁止法と経済理論


プラットフォーマの市場支配と理論見直しの動き


本論文(「Amazon’s Antitrust Paradox」)の要旨

はじめに


本年(2021年)6月15日, バイデン大統領の指名により, 米国の独占禁止法(競争法)当局である連邦取引委員会(Federal Trade Commission)(FTC)の委員長に, 反トラスト法(独禁法)規制強化を唱える学者として知られるLina M. Khan氏(以下「カーン氏」という)が就任しました(日本経済新聞記事)[2]。同氏は, 同日, 上院の承認(69対28)によりFTC委員に選任されたばかりでした。同氏は, 若干32歳で, FTC史上, 委員としても委員長としても最年少での就任となります。

カーン氏は, Yale Law Schoolの学生として在籍時に執筆し2017年にYale Law Journalに掲載された論文「Amazon’s Antitrust Paradox」(以下「本論文」ともいう)で注目を集めました。同氏は, その後, 2018年にFTC委員Rohit Chopra氏の顧問に就任し, 2019年に下院司法委員会の反トラスト・商事法・行政法小委員会の顧問に就任し同司法委員会がGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)の独禁法違反を指摘した2020年の調査報告書(6月12日の下院両党議員からの複数のGAFA等の規制法案提出[3]の基礎となった)の作成を主導し, 同年からColumbia Law School准教授を努めていました。

カーン氏就任により, FTC委員(定員5名)の構成は民主党委員3名(同氏/Chopra氏/前委員長代理Slaughter氏), 共和党委員2名で民主党優位となります。この内, Chopra氏は上院で承認されれば米政府の消費者金融保護局責任者となりFTC委員は退任となりますが, バイデン政権がその後任を指名すればまた民主党優位となります。

本論文の内容からも窺い知れる通り, 今後, カーン氏に率いられたFTCは, 米巨大IT(情報技術)企業に厳しい姿勢で臨むと予想されます

カーン氏の就任は, 米国独占禁止法の執行を支える理論の変化をも予想させるもので, 筆者は, 2019年1月出版の『AI・自動運転・クラウド・プラットフォーマ 第四次産業革命の法的課題』の中で, 「プラットフォーマの市場支配と米国独占禁止法理論」について執筆し, その中で本論文の概要も紹介しました(簡略版は「国際商事法務」2019年3月号に掲載)。

そこで, 今後のFTCの方向を占う意味でもその内容を紹介する意味があると考え, 以下にその部分の抜粋を引用します。

 

― 以下, 拙著「AI・自動運転・クラウド・プラットフォーマ 第四次産業革命の法的課題」(2019年1月)より抜粋 ―


(注)以下において「現在」・「現段階」等とは本論文の執筆(2017年)当時という意味である。

プラットフォーマの市場支配と米国独占禁止法理論


■米国独占禁止法と経済理論

米国における競争政策と審査は, 以下のように, 各時代で有力な経済理論の大きな影響を受けてきたと言われる[4]

【ハーバード学派】


1960年代から1970年代前半まではハーバード大学を中心とするハーバード学派の影響のもとで独占禁止法(反トラスト法)が積極的に執行された。ハーバード学派は, 市場(競争)の構造(structure)(競争者数等)が企業の行動(conduct)(価格決定等)を決定し, そのように決定された行動によって市場の成果(performance)が決まるという。競争者数が多ければ多いほど企業は競争的に行動し市場の成果は向上すると考え, 大企業や集中度の高い市場に対し否定的である。主に,(i)市場占有率が高いほど市場支配力が高まる,(ii)規模の経済達成のためには企業がそれ程大規模になる必要はない(従って, 大企業ほど効率的という主張に否定的),(iii)独占企業は容易に参入障壁を構築できる,(iv)集中度がそれ程高くなくても市場は反競争的に機能する, 等と主張する。

従って,(i)カルテル・反競争的行為の厳格な規制,(ii)市場集中と合併の厳格制限,(iii)市場(競争)構造的措置・企業分割等の厳格な独占禁止政策をとる

【シカゴ学派】


1970年代後半以降はシカゴ学派が影響力を持ち[5], 現在は, シカゴ学派といくつかの相異点もあるポストシカゴ学派の時代であると言われるものの, 過去数十年間は, 米国における競争政策と審査は, 基本的に, シカゴ学派の理論(以下「シカゴ学派理論」という)に基づいて行われてきたと言われる。シカゴ学派理論は, シカゴ大学を中心に発展した理論で, 自由競争に全幅の信頼を置き, 政府介入は市場効率性を損なうので, 原則として自由放任が望ましいとして, 独占禁止法の運用において謙抑的である。シカゴ学派は, 経済効率性(economic efficiency), 価格および消費者厚生(consumer welfare)に重点を置く。

シカゴ学派理論の主張内容は, 一般に以下のように言われている。

(a)  事業者の市場支配的地位(dominance)の判断基準は消費者向け価格である。消費者向け価格が安いということだけでも有効な競争が行われている証拠となる。

(b)  事業者の市場支配力(market power)は容易に変化する。規模の経済(scale merit)等による優位性は新規参入の障壁とはならない。従って, 競争当局による市場介入が必要な場合は少ない(但し, 価格カルテル等は別)。

(c)  市場における既存企業が一定期間コスト割れ価格を設定することにより競合企業を市場から排除し, その後に値上げをして当初損失を取り戻す(recoup)「略奪的廉売」(predatory pricing)は経済的に不合理である。略奪的廉売をして競争者を市場から排除してもその後に値上げすれば再度競争者の参入を招くことになるので,(政府規制による参入障壁がある場合を除き, )実際には廉売による損失を取り戻すことができないからである。従って, 実際に略奪的廉売が行われることは稀な筈である。略奪的廉売は違法であるが, これを証明するには, 当該企業が後に損失を取り戻す合理的な可能性があることの証拠を提出しなければならない。この「取り戻し」の要件は競争的な値引きを不必要に委縮させないことに役立つ。

(d)  メーカーと販売会社等, 流通段階の異なる企業間の垂直的結合は, 一般に流通コスト削減等により, 同業者間の水平的結合とは異なり, 競争を促進しまたは競争上の弊害は少ない

(e)  市場支配力は, 新規参入により制限され得る

(f)  略奪的廉売や垂直的(例:メーカーと販売会社間)合併・統合が「消費者厚生」に悪影響を与えることは殆どない

プラットフォーマの市場支配と理論見直しの動き


しかしながら, 前述の通り, 近年, GAFA等のプラットフォーマが社会経済的に大きな影響を与えるようになるにつれ, GAFA等が行う価格政策や企業買収との関係でシカゴ学派理論は依然として有効か疑問が持たれるようになった

例えば, Amazonは長期間にわたり赤字経営で, その低価格に多くの企業が対抗することができず, そのことにより, 益々Amazonの市場での地位は強化されている。GoogleやFacebookの主要なサービスは無償で提供されている。GoogleはYouTube[6]を, FacebookはInstagram[7]をスタートアップ企業の段階で買収し更に市場での地位を強化している。

このような中, Yale Law Journalの2017年1月号にYale Law Schoolの学生Lina M. Khan氏の論文「Amazon’s Antitrust Paradox」(以下「本論文」ともいう)が掲載・発表された。同論文は, Amazonを事例とした分析であり, シカゴ学派理論を批判し, Amazonは[シカゴ学派理論では称賛される] 低価格を実現してきたが, それでも独占禁止法上の執行対象とされるべきだと主張する。本論文は, その発表以来, 大きな注目を集め[8], 今日に至るまで, その市場や企業・事業の構造自体を問題とするアプローチについて支持を広げ, また, 同様の方向の主張が現れるようになったように思われる。Kahn氏のアプローチはEUの厳格なアプローチに類似すると評され, ハーバード学派の復興のようにも見える[9]

現段階では, 本論文またはこれと同様の方向の主張が今後現実の競争政策および判決に如何なる影響を及ぼすかについて正確に予測することは困難であるが, 今後, プラットフォーマに対するより厳格な審査・判断につながる可能性は少なくないと思われる。なお, Khan氏は2018年7月, 米国連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)[10]委員Rohit Chopra氏のアドバイザーに就任した。

以下においては, 本論文の要旨を紹介する

本論文(「Amazon’s Antitrust Paradox」)の要旨


Amazonは驚異的な成長を遂げているが, あえてコストを下回る価格を設定し, その代わり市場での拡大を図る。この戦略により, Amazonは電子商取引において中心的位置を占め, そのプラットフォームは, それに依存する他の事業者にとって不可欠なインフラとなっている。このようなAmazonの企業構造と行動は, 競争阻害(反競争:anticompetitive)のおそれを生じさせるが, 現在(論文執筆当時)のところ, 米国の競争当局による厳格な調査対象とはされていない。

現在の支配的競争法理論では競争阻害のおそれがある市場支配力の集中が見過ごされている。更に, 最近の調査によれば, 同理論による予測とは異なり, 合併は, 価格上昇をもたらす一方, 効率性を向上させてはいない。現在の競争政策は, 市場(競争)構造(market structure)に対する考慮を欠き, 低価格だが寡占(highly-concentrated)の市場において, 製品の品質および多様性に関する消費者の利益を無視する結果となっている。

このような現在の支配的競争法理論によっては, Amazonの略奪的廉売(predatory pricing)や, 事業分野を横断する企業結合による競争阻害性を十分認識・分析することはできない。同理論では市場(競争)構造は重視されず, 市場独占の問題が十分検討されていない

Amazon等のプラットフォーマで生じている状況は, 次のようなオンラインプラットフォームの特性に起因する

(a)  略奪的廉売は, 現在の支配的競争法理論のもとでは不合理で稀にしかないものとされる。しかし, オンラインプラットフォームでは, ネットワーク効果とデータの支配により, 早期に市場支配を強固にすることができる。従って, プラットフォーマが少なくとも初期段階において利益を犠牲にして成長を追求することは合理的なものであり得る。実際, Amazonにおいては, 赤字にもかかわらず, 投資家(株式市場)が資金を供給することによりこのことが実現されてきた。

(b)  第三者同士の取引の仲介機能を有するプラットフォームは, 事業分野を横断する企業結合により, 競合他社にとっても不可欠なインフラとなり得るこのことは, プラットフォーマが, プラットフォーム利用企業(プラットフォーマの競合企業である場合がある)に関する情報を利用し, 当該企業のプラットフォーマとの競争力を減殺させることを可能とする

(c)  オンラインプラットフォームに関しては, データの重要性等を考慮すると, 市場力学を把握するために価格を基準とすることは不適切である。

このようなAmazonによる市場支配力(dominance)に対する可能な措置としては以下のようなものが考えられる

I. 独占禁止法本来の原則(市場(競争)構造的アプローチ)に復帰すること

シャーマン法等の立法経緯[11]を見れば, 独占禁止法の目的は, 自由な市場競争の保護, 市場独占的地位の濫用からの生産者および消費者の保護, 政治的・経済的権力の分散等を含む多様な目的を図ることであったことは明らかである。独占禁止法は本来消費者厚生のみならず市場経済力の集中(concentration of economic power)自体を問題視していた[12]

このように, 競争政策は, 消費者厚生のみならずむしろ市場競争の確保・促進に重点が置かれるべきである。市場(競争)構造(market structure)[市場競争および価格設定に影響を与える市場の構造]により市場競争のプロセス(competitive process)が定まり, 適切な競争プロセスの確保により有効な市場競争がなされるから, 競争政策の重点は市場構造と市場競争のプロセスの是正に置かれるべきである。

より具体的には, 以下のような措置が考えられる

(a)  略奪的な価格設定に関する措置

現在, 裁判所は, 独占禁止法違反訴訟の原告に対し, 被告が後に値上げによりコスト割れによる損失を取り戻す証拠の提出義務を課しているが, これを廃止すべきである。むしろ, 市場支配的プラットフォーマのコスト割れ価格に「価格の略奪性」を推定し, 被告に事業上の正当性があることの抗弁(business justification defense)について立証責任を負わせるべきである。

(b)  垂直統合の利益相反の厳格審査

競合企業も利用するプラットフォーム(例:Amazon Marketplace, FBA[13])の場合, プラットフォーマが自社を有利に扱いまたは競合企業を差別する, 当該企業との利益相反(conflict of interest)の可能性を生じさせる反競争的状況が生じ得るまた, 同じプラットフォーマが, そのプラットフォームで得た競合企業の商品等のデータを利用し自社製品を開発することも可能である。

従って, 垂直的企業結合(vertical integration)であっても, 結合後の企業が競合企業に関し価値あるデータを入手し自社の他の事業との間で相互利用できる可能性を生じさせる場合, これを厳格に審査し, 利益相反的反競争状況を生じさせるおそれがあるときは予防的に企業結合を禁止すること(prophylactic approach)も検討すべきである。

II.  公共企業規制または不可欠施設理論の適用

Amazonは, インターネット取引全般の不可欠なインフラ(essential infrastructure)としての機能を果たしているから, 電気・ガス・水道・鉄道・電話等の独占的公益企業に対する規制(public utility regulations)や不可欠施設の理論(essential facilities doctrine)の適用を検討すべきである。

特に, Amazonが自社商品を特別優遇することや他の事業者を差別することの禁止(nondiscrimination policy/principles/scheme)と, 他の事業者に対し, プラットフォームのオープンかつ公正なアクセス(open and fair access)を保障させることにより, Amazonが市場支配力を競争制限的に利用することを制限することができる。

【Amazon’s Antitrust Paradoxの反響】


本論文は, 当然ながら現在の支配的競争法理論であるシカゴ学派理論支持派等からは批判されている。一方, 例えば, 2018年9月, FTCが「21世紀における競争と消費者の保護(Competition and Consumer Protection in the 21st Century)」に関する公聴会を開催したところ, 12州(およびコロンビア特別区)の州司法長官は, この公聴会に関連しFTCに提出した意見書の中で, FTC法(連邦取引委員会法:シャーマン法およびクレイトン法とともに米国の独占禁止法の根拠法となっている)は, 確かに消費者価格に悪影響を与える企業の行為に焦点を当てた法律ではあるが, イノベーションと品質に対し悪影響を与える企業行動も考慮し, 消費者の究極的利益を図るため, 市場競争のプロセス(competitive process)も保護すべきであると主張する。これは, 本論文と基本的な考えにおいて共通するように思われる。

以 上


 

【注】

[i] 【本稿の筆者】 一般社団法人GBL研究所理事/UniLaw 企業法務研究所代表 浅井敏雄 (Facebook)

[2] 【リナ・カーン氏のFTC委員長就任に関する他の記事】 (1). FTC “Lina Khan Sworn in as Chair of the FTC" June 15, 2021. (2)Cat Zakrzewski and Tyler Pager “Biden taps Big Tech critic Lina Khan to chair the Federal Trade Commission" June 16, 2021, The Washington Post.

[3] 【2021年6月11日の下院両党議員からのGAFA等の規制法案提出】 (参考)Cat Zakrzewski “Bipartisan proposals in House would mean major changes for the way tech giants operate" June 12, 2021, The Washington Post.

[4]米国独占禁止法 (反トラスト法)と経済理論】 植村幸也「米国反トラスト法実務講座」 (公正取引協会, 2017.11)(p11-20, 269-272)等を参考とした。

[5] 【"The Antitrust Paradox"】 シカゴ学派は, Robert Borkが1978年に出版した著書"The Antitrust Paradox"を拠り所とする。<同書の主な主張> 独占禁止法の当初の目的および経済的効率性から, 消費者厚生および (競争者ではなく)競争の保護を独占禁止法の唯一の目的とすべきである。従って, 価格を固定する価格カルテル並びに独占を生み出す市場分割および合併は禁止すべきであるが, 垂直的協定, 価格差別等の (ハーバード学派において排他的と主張されてきた)行為は消費者に害を及ぼさず禁止されるべきではない。反トラスト法執行のパラドックスは, 法的介入が非効率的な競争者を競争から保護することにより人為的に価格を引上げたことである。

[6] 【YouTube】 2005年2月設立。2006年10月Googleの買収に同意。2018年7月現在の日本のユーザ数6200万人, 全世界で19億人。日本経済新聞 電子版 「ユーチューブ, 日本で10年 ネット人口の8割が視聴」 2018/7/6

[7] 【Instagram】 2010年10月サービス開始。2012年4月, FacebookがInstagramを10億ドルで買収することを発表。2018年11月現在の日本のユーザ数2,900万人, 全世界で10億人以上日本経済新聞 電子版「インスタグラム, 国内月間利用数2900万人に」2018/11/1

[8] 【Amazon’s Antitrust Paradox への反響】 (1)David Streitfeld "Amazon’s Antitrust Antagonist Has a Breakthrough Idea" Sept. 7, 2018, The New York Times. (2)西條都夫 「アマゾンを追い詰めた学術論文」 日本経済新聞 電子版2018/3/21

[9] 【リナ・カーン氏と同様の考えの学派】カーン氏自身の以下資料によれば, 「新ブランダイス派」(New Brandeis School)と呼ばれるようである。(参考資料) Lina Khan “The New Brandeis Movement: America’s Antimonopoly Debate" Oxford University Press - Journal of European Competition Law & Practice, 2018, Vol. 9, No. 3, p 131, 132. 同資料によれば, 同学派の名称は, 1916年から1939年まで最高裁判事を務めたルイ・ブランダイス判事にちなむもので, 同判事は, 経済力の集中が政治力の集中を助長し, そのような私的権力が公的政府を弱体化させ圧倒してしまうことを恐れ, 政治経済分野における権力と機会の民主的な配分を強く支持していた。

[10] 【米国連邦取引委員会】 Federal Trade Commission (FTC)。司法省 (Department of Justice:DOJ)および各州の司法長官 (Attorney General)とともに, 米国独占禁止法の執行を担う。FTCは, 連邦取引委員会法 (不公正な競争方法および不公正または欺瞞的な行為・慣行の禁止)またはクレイトン法違反被疑行為が存在する場合, 自ら審査を行い, 審判手続を経て (または相手方が同意する場合は審判手続を経ることなく)審決により排除措置を命じることができる。また, 必要に応じ, 違反行為の差止命令等を求める訴訟を提起できる。 (参考) 公取委の米国独占禁止法に関する説明

[11] 【シャーマン法制定の経緯】 1880 年代, 石油市場で90%のシェアを占めていたロックフェラーのスタンダード・オイルを含め, 多くの業界で, 企業が関係企業から株式の信託 (トラスト: Trust)を受ける形態や, 純粋持株会社の形態が許されていた州ではその形態により, 巨大企業集団を形成し, 価格をつりあげ巨大な独占利潤を上げていると大衆の反感をかっていた。シャーマン反トラスト法はこのようなトラスト等を取り締るため 1890 年に制定された。その後, 米国司法省はスタンダード・オイルに対し反トラスト法訴訟を提起し, 1911 年, スタンダード・オイルに分割命令が下された (分割会社は現在のエクソンモービル, シェブロン等)。【参考資料】 吹春俊隆「2003年公開講座:独占禁止法」「独占禁止法」

[12]【米国独占禁止法の執行方針の歴史】 1960年代には, 情報処理市場における巨人であったIBMに対する一連の反トラスト訴訟が始まった。1984年には, 司法省は, IBMより大きく通信市場における独占企業であったAT&Tに情報処理市場への参入を認める代わりに同社の分割に合意させ, 同社は市内電話サービス等を提供する地域ベル電話会社と, 長距離通信市場にのみサービスを提供するAT&T に分割された (同時に1960 年代以降続いたIBMへの反トラスト訴訟は取り下げられた)。しかし, その後, 1970 年代後半からシカゴ学派の影響が顕著になり1980年代の共和党 レーガン政権のもとで更に支配的となった。【参考資料】 吹春俊隆「2003年公開講座:独占禁止法」「独占禁止法」, 公正取引委員会競争政策研究センター「競争者排除型行為に係る不公正な取引方法・私的独占について―理論的整理―」2008 年 6月.

[13]【Amazon Marketplace, FBA】 前述の通り, Amazonは, そのサイト上で自社による商品販売の他, Amazon Marketplaceという制度により, 第三者 (出品企業)による販売ができるようにしている。また, Amazonは, 出品企業に, Fulfillment by Amazon (FBA)というサービスにより, Amazonの物流拠点での商品の保管から注文処理・出荷・配送・返品に関する顧客向けサービスまでを代行するサービスを提供している。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。