モルドバ - 新たな実質的支配者報告義務が施行
2025/07/10 海外法務, コンプライアンス

はじめに
世界的に、企業にはより高度なガバナンスが求められるようになっており、法務や管理部門担当者は、これまで以上に注意深く対応する必要があります。
Mercatorは、180以上の国・地域で顧客企業にサービスを提供してきた実績をもとに、海外の事業運営に影響を与える企業法務の最新動向をお届けします。
当社の専門的な知見を活かし、複雑な規制要件への対応やコンプライアンス体制の構築をサポートいたします。
モルドバでは、すべての法人に対し実質的支配者(UBO)報告義務が課されることになり、報告の期限は2025年12月31日と定められています。
背景
2023年5月、モルドバはマネーロンダリング防止(AML)法の改正を行い、法律第66/2003号を通じて、2017年12月22日制定の法律第308号を改正しました。この改正は、EUの第5次マネーロンダリング防止指令への整合を目的とし、モルドバ国内のすべての法人に対する新たなUBO報告義務が導入されました。
このUBO報告義務は2024年から施行されており、遵守期限は2025年12月31日とされています。これにより、法人は新規制への対応に時間的余裕が与えられました。
UBOの定義
• 法人を最終的に所有または支配する自然人(直接または間接的に、十分な割合の株式、議決権、所有権を通じて、または他の方法で支配)を指します。
• 法人の場合:25%以上の所有権または支配権
• 信託の場合:委託者、受託者、保護者、受益者、その他の支配的立場にある者
• 財団の場合:信託と同等の地位にある者
報告義務の詳細
UBOが特定できない場合
UBOが特定できない場合、その法人の現地代表者が、正式なUBOとして登録されます。
ただし上場企業で十分な透明性基準を満たす場合には、これとは異なる扱いがされます。その場合は、現地代表者をUBOとして登録するのではなく、該当する証券取引所の名称と国際証券識別番号(ISIN)をUBO情報として提出します。
コンプライアンス違反のリスク
• 法人に対する罰則
UBOの特定および登録の不履行は、最高75,000モルドバ・レウ(約3,700ユーロ)の罰金対象となります。
• 取締役に対する罰則
UBOの特定および登録を怠った場合、取締役個人に対して、最高40,000モルドバ・レウ(約2,000ユーロ)の罰金が科される可能性があります。
• 会社の変更登記の制限
UBOの開示、登録書類が提出されない場合、モルドバ商業登記所は、法人の定款変更やその他の登記事項の変更を受け付けません。
複数の国・地域をまたいで企業法務を適切に行うには、専門知識やリソース、常時の監視体制が求められます。
Mercatorは180以上の国・地域で対応が可能なネットワークを通じて、以下のサービスを提供しています:
• 海外子会社の企業法務の管理
• 透明性の向上と業務の改善
• リアルタイムでのコンプライアンス監視
• グローバルに対応するガバナンス・ソリューション
御社の海外子会社管理業務の最適化に、ぜひ当社の広範なネットワークと専門知識をご活用ください。
お問い合わせ先
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