「Legaledge(リーガレッジ)」開発者インタビュー
2020/11/10   契約法務, リーガルテック

 

齊藤: 本日は、クラウド型契約ナレッジマネジメントシステム「Legaledge(リーガレッジ)」を開発・提供している株式会社コスモルートの星野直輝様(ビジネスソリューション事業部 プロダクトソリューショングループ)と山本裕治様(IT次世代事業推進本部ITアーキテクト部マネージャ)にお話を伺いに来ました。山本さんは滋賀支社からリモートでのご参加となります。本日はよろしくお願いします。
 

星野さん: よろしくお願いします。
 

山本さん: よろしくお願いします。
 


 

開発経緯


齊藤: 早速、始めたいと思いますが、リーガルテックツールというと、市場ができてきたのは、ここ最近の話だと思います。

そもそも、どうして「Legaledge(リーガレッジ)」を開発しようと思われたのか、経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

星野さん: 私は 前職で企業内弁護士(インハウス)として約5年間、企業の法務部門で働いていたのですが、契約法務をメインに担当する中で、契約書管理の煩わしさや契約情報を十分に生かしきれていないことなどを日々感じていました

個人的にプログラミングを勉強するなどIT業界への関心が以前から強かったこともあり、それなら、自分で納得の行くリーガルテックツールを作ってみたいと、コスモルートの門を叩きました。

 

齊藤: 企業内で契約法務をされていたときのご経験がきっかけだったのですね。

他のリーガルテック企業に目を向けたときに、法律事務所で企業法務を行っていた弁護士が中心となって開発が行われているケースが多いので、インハウス出身の方が開発の中心におられるというのは、少し珍しい印象があります。

ちなみに、当時は、御社ではリーガルテックツールの開発は行っていなかったと思いますが、ご転職先としてコスモルート株式会社を選ばれた決め手は何だったのですか?

 

星野さん: コスモルートの技術力の高さと、何より、これから新しいことをやって行こうという強い気概を感じたのが大きかったと思います。もともと、名古屋に本社のある会社なのですが、ちょうど、新たな事業領域に進出するための拠点として東京本社が立ち上がりつつあるタイミングでしたし。



コスモルート虎ノ門オフィスにて三者で対談。窓の奥には東京タワーが見える。
 

技術基盤


齊藤: 色々なタイミングがバチっとはまった感じですね。ところで、「技術力の高さ」という点をもう少し詳しくお伺いできたらと思うのですが。
 

山本さん: 弊社は、もともと、メーカーの多い名古屋で創業した会社ということもあって、製造業の生産管理システムや販売管理システムの開発を中心に、30年以上事業を展開して来ました。現在の弊社の売りの一つとしてクラウド基盤構築があるのですが、クラウドに限らず、その時代その時代の最新技術にいち早く取り組み、技術力を蓄積している点が会社としての強みに繋がっていると思います。

また、2017年より、“CRフレームワーク”という弊社独自のフレームワークを導入していて、それによる①プロダクトの品質の再現性の高さ(作り手に品質が左右されない)と②開発スピードの速さも大きな特徴になっています。

こうした強みもあり、おかげさまで現在、物流業界や製造業界、情報通信業界などを中心に、多くの大手企業グループなどともお取引をさせていただいております。

 

齊藤: “技術導入の瞬発力”と“蓄積された確かな技術力”、“品質の安定性”、“開発スピード”を武器に、長年、製造業を支えて来られた企業様なのですね。

しかし、製造業という一領域での実績がおありなだけに、リーガルテックという全く異なる領域に進出する大変さもあったのではないですか?

 

山本さん: そうですね。正直、はじめて話を聞いたときに、開発者として、戸惑いは大きかったです。
でも、星野から、リーガルテック領域の市場としての成長可能性、事業への熱い思いを聞くうちに、星野の法務業界のノウハウ×コスモルートの技術力で新しいイノベーションになると思い、「ここは一つチャレンジしてみよう」と強い意欲が湧いてきました。
 

齊藤: そこから、お二人を中心とした開発メンバーでLegaledgeのリリースまで突き進まれた形だと思いますが、開発当初大変だったのはどういったところでしたか?
 

星野さん: 私の場合は、まずは「そもそも、こうしたプロダクトに本当にニーズがあるのか」という不安が大きかったです。

自分自身の企業内弁護士としての経験や周囲の法務担当者の声を元に、契約業務の「不(不便・不満)」を解消しようとプロダクトの開発に踏み切ったのですが、それは、私や私がヒアリングしたごく一部の人間だけが抱える「不」なのではないか、利用者のニーズに沿わない、独りよがりなプロダクトになってしまうのではないかという疑念はなかなか晴れませんでした。

しかし、私たちがβ版をリリースした今年の4月27日の直後くらいに、他社からコンセプトの似通ったサービスに関する告知が出たのを見て、かえって安心したところはありますね。方向性は間違っていなさそうだなと。


 

山本さん: 私の方では、開発に着手するにあたり、法務業務も調査したのですが、「手間がかかるポイントが多い」と感じました。契約業務全般に言えることですが、まずレガシーな要素が多く、紙媒体中心の業務フローであること。しかも契約関連情報が分散しがちな状況でした。

次に、競合サービスもある中で、いかにスピード感を持って開発できるのか、どの観点でITのメスを入れるのかがポイントでした。

あとはやはり、契約情報という企業にとって秘密性の高い情報を取り扱う上で、いかにセキュリティー面を担保するかという点でも頭を悩ませました。

 

「Legaledge(リーガレッジ)」の特徴


齊藤: ありがとうございます。やはり、様々なご不安を抱えながらの船出だったようですね。ところで、最近では、競合となるプロダクトも増えてきていて、利用者からすると、各プロダクトの特徴・違いを把握するのが難しくなっているところがあると思いますが、Legaledgeの特徴はどういったところにあると思いますか。
 

星野さん: Legaledgeは、「契約情報の“管理”と“活用”のシームレスな連携」をメインコンセプトに開発されたプロダクトになります。そのために、①契約書の登録が簡単であることと、②契約情報を活用しやすい形で管理することにこだわっていて、特に、①契約書情報の自動抽出機能と②契約情報の検索機能には力を入れています。


星野さん近影

 

齊藤: 私もLegaledge(リーガレッジ)をデモ利用させていただきましたが、契約書をアップロードするだけで、契約書名や契約当事者情報、契約締結日などを自動抽出してリスト化してくれる機能はかなり便利ですよね。
 

星野さん: 私自身、前職では、一部Excelで台帳を作ったりして契約情報を管理していましたので、少しでも、手入力の煩わしさを減らしたいという思いがありました。
 

齊藤: たしかに、そういった作業が地味に面倒だというお話は、多くの法務担当者から耳にします。ちなみに、②契約情報の検索機能に力を入れられたのは、どういったご理由からですか?
 

星野さん: これも私自身の前職での法務経験から来ているのですが、契約情報へのアクセスのしづらさにストレスを感じることが多かったということがあります。

例えば、事業部の方から、「あの企業との契約内容について教えて欲しい」といった問い合わせを受けることが少なくなかったのですが、その度に紙で保管された大量の契約書ファイルを探し回って、目当ての契約書を見つけて来なければなりませんでした。

また、法務担当者であれば、「この取引先との過去の契約で、損害賠償の条項をどのような内容で締結していたか調べたい」といったことを考える場面があると思いますが、そのために、契約書を探した上で、契約書を読み進めて該当条文を探す作業が発生し、かなり時間を奪われている感覚がありました。

 

齊藤: それで、契約書自体の検索機能に加えて、過去に締結した契約書内の条文やテンプレート登録した条文を横断的に検索できる機能に力を入れたというわけですね。

たしかに、デモ利用した際も、検索精度の高さはかなり印象的でした。

 

星野さん: ありがとうございます。こだわって作った部分なので、そういっていただけると、とても嬉しいです。
あと、契約情報へのアクセス利便性を高める過程で強く意識したのが、「アクセスコントロール」の部分です。契約情報にアクセスしやすくなるのはいいのですが、機密性の高い契約情報については、アクセスすべき人だけがアクセスできる仕組みも必要になって来ます。

そのために、「誰がどの契約書にアクセスできるか」をコントロールするためのアクセス権限や、契約情報の登録・閲覧・更新・削除といったアクションベースの権限管理も部門・個人単位で細かく設定できるように開発しました。

 

齊藤: たしかに、実際にLegaledgeにタッチしてみたときにも、かなり細かい範囲で権限の割り振りができるのが驚きでした。部門・部署が細分化された大手企業などでも使いやすそうですね。

あと、私個人の感想で言うと、やはり、星野さんご自身が企業内法務の実務をご経験されているだけあって、法務実務から逆算された小技がきいているというか。「そうそう、こういう機能が欲しいのだよね」という機能もあちこちに散りばめられていますね。契約更新アラート機能なども、喜ぶ法務担当者は多いと思います。

 

星野さん: そうですね。実際、私も前職が契約の更新管理に厳格だったということもあって、更新管理が簡単にできるような機能が欲しいと考えていました。更新管理は、契約書ごとの更新期限をエクセルなどで管理しておくこと自体の煩わしさのほかに、更新期限を定期的にチェックして漏れのないように対応しなければならないという二重の手間があると考えていました。

ですので、Legaledgeでは管理画面のトップに更新期限の近づいた契約書数を常に表示させ、該当する契約書情報にすぐにアクセスできる機能を設けています。


 

齊藤: ログインする度に、更新対応を促すアラートが表示されるので、失念・風化を高確率で防げそうですね。数がたまって来ると、法務担当者にとって、なかなかのプレッシャーになりそうですが(笑)。

あとは、Wordのアドインで使える書式修正機能にも、ユーザーである法務担当者への配慮が伺えます。

 

星野さん: ありがとうございます。条文を付加・削除する過程でずれた条数を整えたり、「または」と「又は」などの表記揺れを統一したりといった作業も、作業のもたらす付加価値の割に地味に面倒だと感じていたので、少しでも負担を下げられたらという思いで、こうした機能も盛り込んでいます。

情報セキュリティーや保守面について


齊藤: ここまで、Legaledgeの機能面について、詳しくお話を伺って来ましたが、機能面以外で何か重視された点はありますか?

筆者近影

 

山本さん: そうですね。やはり、冒頭でも少し触れた「情報セキュリティー面」と「保守面」を重視しました。

まず、情報セキュリティー面に関しては、Legaledgeというアプリケーションの機能の1つとして契約書情報を暗号化することに加え、大手インフラサービスを利用しての暗号化も行うなど、随所に情報漏えいを防止する仕組みを入れています。ここは、かなり危機感を持って取り組んでいる部分になります。

保守面に関しては、メーカーのお客様向けにシステムを提供する際の保守チームを名古屋に配置していますので、彼らのリソースをLegaledgeでも活用する形をとっています。安心してお客さまが利用できるよう長年蓄積したノウハウ・経験値を元に、ユーザーのサポートを行っています。

 

「Legaledge」の未来


齊藤: リーガルテックツール黎明期ということもあり、こうしたテックツールの使用に不慣れな法務担当者も多いと思うので、そのようなバックアップ体制があるのは、ユーザーとしては頼もしいですね。

最後に、Legaledgeをどのように進化させていきたいか、今後の展望をお話いただけますか。

 

山本さん: 開発者の立場としては、AIを活用して契約書の解析精度を一層高めたいという思いがあります。先ほど星野も言及していた「①契約書情報の自動抽出機能」を機能させるためには、ユーザーごとに、取り扱う契約書の形式・書式が異なる中で、いかに正確に契約書上の情報を抽出して来るかがポイントになります。この機能がLegaledgeの備える各機能の幹となる部分だと思いますので、その辺りの精度を最大限高めて行きたいですね。
 

星野さん: 私は、Legaledgeひとつで契約関連業務のエコシステムを提供できるようなプロダクトにして行きたいと考えています。契約関連の業務全てを一気通貫でまかなえるシステムというイメージです。その観点で、契約情報の“共有”の機能をより強化して行きたいと思っています。

また、私自身が前職で法務チームに所属していた経験から、これまでは、 “契約情報”を「法務チームの資産」として活用しなければという認識が、私の中で根強くありました。
しかし、様々な企業の法務担当者とお会いして、各社での契約情報の活用事例を伺う中で、“契約情報”は法務チームだけに留まらず、「全社的な資産」なのだと認識を改めたところがあります。

今後は、「契約情報を全社的な資産として、最大限活用するためにどうしたらよいか」という問いと向き合いながら、プロダクトの開発を行っていこうと思います。


 

齊藤: お二人とも、本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今後のLegaledgeの益々の進化に期待しております!


コスモルートは半数以上が常にリモートワーク。星野さんは数カ月ぶりに出社したという。

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