ダイエーが光洋を完全子会社化、株式交換の手続きについて
2020/02/10 商事法務, 戦略法務, 会社法

はじめに
ダイエーは先月29日、スーパーマーケットなどを運営する光洋(大阪市)を株式交換により完全子会社化する旨発表しました。商品の共同仕入れや物流センターの共同利用により経営の効率化を図るとのことです。今回は完全子会社化の方法の一つである株式交換について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、ダイエーは同じイオングループ傘下の光洋を3月1日付けで完全子会社化し関西の食品スーパー事業を統一するとのことです。イオンは各地で食品スーパー事業の再編を進めてきており、イオングループであるダイエーと光洋も2018年に経営統合することで合意し、それぞれ関西エリアのイオン傘下の店舗を承継してきておりました。先月27日に株式交換する旨の取締役会決議と基本契約の締結を行い、2月中旬には臨時株主総会の承認決議を経る予定とされております。
株式交換とは
特定の会社の株式を100%取得し完全子会社とするには、TOBをかけた上で残りの株主に売渡請求をする方法や、全部取得条項付種類株式に変更した上で取得すると言った方法が考えられますが、株式交換もその一つと言えます。株式交換はそれを行うことによって完全子会社となる会社の株主が保有する株式を全て強制的に完全親会社となる会社に移転させることができます。その代わりに完全子会社の株主には親会社の株式等を対価として交付することとなります。親会社となる会社は株式を発行して交付すればよく、別途資金を調達しなくても買収が可能となることから広く利用されている制度と言えます。
株式交換の手続き
株式交換を行うにはまず事前に取締役会決議を経て当事会社間で株式交換契約を締結します(会社法767条、768条)。そして臨時株主総会の2週間前から契約の内容や両当事会社の貸借対照表などを本店に備え置き、特別決議による承認決議を得ます(782条、794条、309条2項12号)。株券発行会社では株券を提出するよう効力発生日の1ヶ月前までに公告を行い(219条7号)、効力発生日に親会社が子会社側の株式を全て取得します。効力発生日から2週間以内に登記を行い(915条1項)、また6ヶ月間は事後開示として手続きの進捗などを記載した書面を本店に備え置きます(791条、801条)。
承認決議と債権者異議手続きについて
株式交換には簡易株式交換と略式株式交換が認められております。簡易株式交換とは親会社側が子会社側に交付する対価が純資産額の20%以下である場合は承認決議は不要となるというものです(796条3項)。このような場合は会社や株主に与える影響が少ないからです。略式手続とは相手会社が自社の株式を90%以上保有する場合は承認決議が不要となる手続きです(784条1項)。このような場合は当然に可決されることが明白であることから株主総会を招集するまでもないということです。また組織再編では一般的に求められる債権者異議手続きも株式交換では原則不要です。株式交換は実質的には株主が変わるだけであり債権者に影響が無いからです。ただし対価の5%以上が株式以外である場合や社債を承継する場合は必要となります(789条1項3号、799条1項3号)。
コメント
本件でダイエーと光洋は2月中旬に株式交換契約の承認決議を行うために臨時株主総会を行う予定です。両当事会社はいずれもイオンの100%子会社となっていることから承認されることは確実となります。3月1日の効力発生日に株式が取得され、事後開示と登記が行われる見通しとなります。以上のように株式交換は対価が株式で済み、また必要な承認決議も原則として特別決議でよく買収方法としては利用しやすい手続きとなっております。またすでに90%以上株式を保有する場合や、対価が低廉な場合は承認決議も省略でき、また債権者異議手続きも原則不要となります。これにより吸収合併のように完全に統合されるのではなく、あくまでも別会社として存続していながらグループ企業として事業を統一していくことができます。吸収合併以外のM&Aの1方法として選択肢に入れておくことが重要と言えるでしょう。
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