【改正民法】法定利率に関する変更点について
2019/09/18 債権回収・与信管理, 民法・商法, 法改正

はじめに
平成29年5月26日に成立した改正民法が令和2年(2020年)4月1日に施行されます。民法制定以来120年ぶりの大改正となっており約200項目にものぼる変更が加えられております。今回は利率が約定されていない場合の法定利率に関する変更点を見ていきます。
現行民法での法定利率
契約で利率を約定しなかった場合や不当利得、不法行為などにより損害賠償請求の遅延損害金については法定利率が適用されます。現行民法では法定利率は原則として年5%(404条)、商行為による場合は年6%(商法514条)となっております。しかし現在の金融市場では低金利が長期間続いておりこれらの現行法定利率はそれに比べて高すぎるとの指摘がなされてきました。そこで改正民法では以下のように改められることとなります。
改正民法での法定利率
来年4月1日から施行される改正民法では法定利率は年3%となり、商事法定利率は廃止され民法に統一されることとなります(改正民法404条2項)。そしてこの法定利率は変動利率制となり3年毎に法務省令で変更される予定となっております(同3項~6項)。過去5年間の各月ごとの短期貸付の平均利率を基準割合とし、法定利率との差が1%以上となる場合に1%刻みで変動させ、小数点以下の端数は切り捨てるという方法で変動させるとのことです。これにより市場の金利に即した利率を維持できるということです。
変動利率の適用
上記のように改正民法では法定利率は3年ごとに変動していく予定となっております。このように変動していく法定利率はどのように適用されていくのでしょうか。これについては元本債権から利息が生じた最初の時点での法定利率で以後も固定されるとなっております。つまり利息が生じる期間がたとえば5年であり途中で利率が3%から2%に変更されても最後まで最初の時点の3%で算定されるということです。債務不履行や不法行為の場合も同様に債務者が賠償の責任を負った時点の法定利率で固定されます。
契約書等への影響
契約書で利率を約定し記載してある場合、たとえば金銭消費貸借契約などでは今回の法改正はあまり影響がないと言えますが、通常利率を約定しない売掛代金債務の遅延損害金や不法行為、債務不履行の損害賠償の利率には影響するものと思われます。また不法行為における後遺障害の逸失利益算定の際に控除される中間利息も法定利率によることから、利率が低くなれば控除額も減り賠償額が増える見通しとなると言われております。
コメント
現行民法は今から120年前の明治時代に制定されそれ以降大きな改正はなされておりません。そのため時代の変化にそぐわない規定も多くなっておりました。今回紹介した法定利率もその一つとされております。市場金利における利率は下降の一途をたどっており、現行民法の年5%は高すぎると言われてきました。それを受け当面は3%にした上で、3年ごとに改変される変動利率制となります。ただし変動による混乱を避けるため、利息が生じた時点の利率で以後も固定されることとなります。通常これまで利息を約定してこなかった売買契約などにおいても今後は改正点を踏まえて約定しておくことも考えられます。改正民法については改正の趣旨や目的を踏まえて理解し、契約実務に備えておくことが重要と言えるでしょう。
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