マイナミに公取委が立入検査、私的独占について
2018/05/29   コンプライアンス, 独占禁止法

はじめに

公正取引委員会は22日、独占禁止法が禁止する私的独占の疑いでマイナミ空港サービスの本社を立入検査していたことがわかりました。新規参入業者を市場から排除しようとした疑いがあるとのことです。今回は私的独占の概要について見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、マイナミ空港サービス(東京都港区)は全国の空港で航空燃料の給油サービスを展開し昨年の売上は約63億4千万円とのことです。2015年~2016年頃、九州地方の航空会社が八尾空港(大阪府八尾市)で給油施設を開設し給油サービスを開始したことに対し、マイナミ社は長年契約している航空会社に「他社の燃料を給油して機体が墜落しても責任は取れない」などと迫り他社の給油サービスを利用しないよう仕向けた疑いが持たれております。これを受け公取委は22日、立入検査を行い実態解明に乗り出しているとされます。

私的独占とは

私的独占とは、「事業者が、他の事業者の事業活動を排除し、または支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」とされております(独禁法2条5項)。一般に「排除型私的独占」と「支配型私的独占」分けられ、違反した場合は排除措置命令および課徴金納付命令の対象となります(7条、7条の2)。

行為要件

(1)排除型
排除型私的独占の行為要件としては、公取委のガイドラインによりますと、他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり、新規参入者の事業活動を困難にさせたりする行為であって、競争の実質的制限につながる様々な行為が該当しうるとされます。不公正な取引方法である取引拒絶、差別対価、不当廉売、抱き合わせ、排他条件付取引に当たる行為が典型例ですが、これらの限られることなくあらゆる行為が該当しうることになります。

(2)支配型
支配型私的独占の場合の「支配」とは一般に他の事業者についてその事業活動に関する意思決定を拘束し、自己の意思に従わせることであると言われております。典型的には株式保有や役員兼任といった会社組織上の方法による支配と、取引上の優越的な地位を利用することによる支配があるとされます。

効果要件

私的独占の効果要件は「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」です。ガイドラインでは「当該排除行為により競争の実質的制限がもたらされる範囲のことであり、その範囲は必要に応じて対象商品にかかる需要や供給の代替性を考慮しながら、当該排除行為に係る取引およびそれにより影響を受ける範囲を検討し特定する」とされます。簡単に言うと「市場」のことであり、不当な取引制限のものと同様と言えます。競争の実質的制限とは、ある程度価格、品質、数量などを自由にすることができる力、すなわち市場支配力を形成し、維持し、強化されていれば該当することになります。これも不当な取引制限のものと同様と言えます。

コメント

公取委のガイドラインによりますと、事業者のシェアがおおむね50%を超えており、市場規模、行為者による事業活動の範囲、商品の特性等を総合的に考慮して、国民生活に与える影響が大きいと考えられるものについて優先的に審査を行うとしています。本件でマイナミ社の正確なシェアはわかりませんが50%を超えている可能性は高いと言えます。また取引相手である航空会社に他社の燃料を使用しないよう迫り、念書まで書かせている疑いがもたれております。これが事実であれば行為要件には該当することになり、日本国内の航空燃料市場で競争に与える影響も相当大きいものと言えます。以上のように私的独占は不当な取引制限とは意思の連絡と相互拘束の有無、不公正な取引方法とは市場に与える影響度が違うだけで、それぞれの禁止行為は相互に近い関係にあると言えます。独禁法上どのような行為が禁止されているか、そしてその行為による市場影響力はどの程度か、その程度の違いでどのようなペナルティが課されるかを正確に理解しておくことが重要と言えるでしょう。

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