フィリピン、外資系投資銀行規制の撤廃へ
2014/07/24   海外法務, 海外進出, 外国法, その他

事案の概要

フィリピンのアキノ大統領は、外国銀行の国内市場参入制限を撤廃する法案に署名し、新法が正式に成立した。ASEAN(東南アジア諸国連合)は、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)の発足を予定しており、今回の規制撤廃はAEC発足に向けての動きだ。

新法では、外資系投資銀行による100%出資の現地法人の設立や、フル・バンキング(預金や為替等の業務に制約のない銀行業務)のライセンスを持った支店の設立が可能となるほか、既存銀行の全株を取得する形で参入することもできるようになる。

フィリピンでは現行法上、外資系金融機関は、
①フル・バンキング免許取得による支店開設
②新たに設立される銀行の60%(上限)の株式取得
③既存銀行の60%(上限)の株式取得
のいずれかによってフィリピンへの参入が可能である。

しかし、「新規に参入する外資系金融機関数を10行とする」との運用規定により、10行に到達した1999年以降は、法的には自由なものの、上記運用規定により実際には新規参入が不可能という状況が続いてきている。
なお、10行の中にはみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の邦銀2行が含まれている。

今回の規制緩和では、外資系投資銀行数の制限と、現法設立時や既存銀行買収時の出資規制がなくなったことが大きい。現在日本の三大メガバンクでは三井住友銀行のみが支店及び現地法人を置いておらず、同行の市場参入の可能性も指摘されている。

コメント

新法による外資規制の撤廃により、地場中小銀行の経営が危うくなるとの懸念もある。フィリピンの銀行は比較的規模が小さく、合併・買収(M&A)が進む可能性があると指摘されている。一方、外資の新規参入により、金融商品の質やサービスが向上するなどして、業界や顧客への恩恵も見込まれるというメリットも指摘されている。また、今回の規制撤廃は、さらなる日系バンクの市場参入を促進するのみならず、AEC発足の目的である「投資の自由化」を促進し、ASEAN経済全体の活性化につながることが期待される。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。