特定地域の指定は慎重に~改正タクシー特措法の施行を受けて~
2014/06/10 法改正対応, 法改正, その他

事案の概要
「改正タクシー特措法※」が平成26年1月27日から施行されている。
タクシー営業が特に過当競争になっている地域を「特定地域」に指定し、新規参入や増車を禁止する、改正タクシー措置法の施行を受け、国土交通省は「特定地域」の指定基準を作成することにしている。
そこで政府の規制改革会議の分科会は、国土交通省が「特定地域」の指定基準を作成するのを前にして、消費者の利便性を損なうことがないよう対象地域の慎重な指定を求める意見書をまとめた。
意見書では行政の裁量権の乱用にならないように慎重にすべきであり、国全体のタクシーの半数以上に影響が及ばさないようにすべきだとして対象の選択を慎重に行うように求めている。また規制改革会議では意見書を尊重して指定基準をまとめるよう国土交通省に求めている。
この改正タクシー特措法では、特定の地域が「供給過剰である」等の要件をみたす場合に、国土交通大臣が 運輸審議会に諮問の上、「特定地域」を指定することができる。また国土交通大臣は、特定の地域について、「供給過剰となるおそれがある」等の要件をみたす場合には、準特定地域を指定することができる。
最も重い「特定地域」に指定された場合、「特定地域」に対する新規参入や供給輸送力の増加が3年間禁止とされる。また決められた運賃の最低額を下回った場合には変更命令や営業停止処分がなされる他、事業者に対し減車を求めることも可能となっている。
そして国土交通省の試算によると、規制の対象になるのは全国で営業しているタクシーのうち最大で約6割に上ると考えられている。
※特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律
コメント
特定地域を設定することによる規制の強化は、2002年に施行された「改正道路運送法」でタクシー事業への参入が原則自由化され規制緩和されたことに逆行する流れといえる。もっともタクシー事業者が乱立し、競争の激化やサービスの低下という問題も生じており、対策の必要性があったことから、2009年10月に「タクシー特措法」が施行され、業界に自主的な減車が促された。本法律は規制を更に強化するものと言える。特定地域を指定することで、タクシー営業が特に過当競争となっている地域において既存業者の保護を図ることができ、料金を減額することによる利用者へのサービスの低下の懸念も減少する。しかし全国で、あまりに多くの業者が規制の対象となると、タクシー業者に対する営業の自由の制約も大きくなる。またタクシーの台数が制限されることは利用者の利便性にも影響を及ぼすことから、意見書にあるように、対象地域の基準については、慎重な配慮が求められる。
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