消費税転嫁特別措置法と中小企業保護
2013/11/01 法改正対応, 法改正, その他
事案の概要
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下、「本法」という」が、平成25年10月1日から施行された。
本法の趣旨は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的」(本法1条)とされ、主な内容は、①買い手による消費税の転嫁拒否防止、②売り手とって消費税を対価に転嫁しやすい環境の整備、③消費者が消費税の転嫁を受容する環境の整備である。
特に、①買い手による消費税の転嫁拒否防止について、取引上の地位に格差があって、交渉力の弱い中小企業に不利益が及ばないよう配慮されている。
コメント
①買い手による消費税の転嫁拒否防止について解説していく。本法において禁止される消費税転嫁拒否行為は、買手が優越的地位にある場合のみならず、本法2条1項に規定されている特定事業者も対象に含まれる。独占禁止法上の優越的地位の濫用規制では違法とされない行為についても禁止の対象となり、禁止の対象が拡大していることから、禁止規定に違反した場合の措置を行政指導である勧告及び公表にとどめている。
特定事業者(買い手)が勧告に従わない場合で、独占禁止法に違反する行為については、同法に基づき厳正に対処される。具体的には、排除措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性がある。また、消費税転嫁対策特別措置法の対象とはならない一方で下請法に違反する行為が行われている場合については、同法に基づき対処される。
規制対象が広範なだけに消費税転嫁拒否行為にたいする制裁は弱くなっており、中小企業にとっては、消費税不転嫁による不利益を被るという懸念が残っている。
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