コンプライアンス違反で倒産、過去最高に。
2013/06/10 コンプライアンス, 民法・商法, その他
事案の概要
平成24年度にコンプライアンス(法令順守)違反が原因で倒産した企業が、過去最高200件に上ったことが民間信用調査会社「帝国データバンク」の調査により、明らかとなった。
同社によれば、コンプライアンス違反による倒産増加の背景には、違反企業との取引や違反企業に対する融資の打ち切りなどの制裁を課す流れが強まっていることがあるという。
違反の内訳としては、建設業法や道路運送法違反などの「業法違反」が60件で最も多く、続いて「粉飾決算」(57件)、「資金使途不正」(25件)である。業種では建設業が54件で最多となっている。
コメント
近年は監査の厳格化や内部通報制度の充実などによって、法令違反が発覚しやすい土壌が次第に整ってきていること、違反企業に対する取引や融資の打ち切りなどの制裁を課すケースが増加していることから、コンプライアンス違反排除に向けた社会的機運が高まってきていると感じる。
取締役には経営をしていく上で一定の裁量が認められるが、「業法違反」や「粉飾決算」のような違法行為を隠蔽する裁量までは、当然認められない。
よく隠蔽理由を、「従業員の生活を守るため」というが、従業員を守るために隠蔽を続けることによって、不正は株主や会社債権者の被害を拡大させ続けていくことになる。したがって、このような理由は当然正当化されない。
さらに、隠蔽を続けるで、不正に加担せざるを得ない従業員の数も増え続ける。倒産にまで追い込まれれば、従業員の失業が問題となる。グループ企業や同一業種の企業にも倒産が及ぶ連鎖倒産となれば、失業者数も相当な数となる。当然、従業員の再就職も厳しいものとなるだろう。結局、コンプライアンス違反は「従業員の生活を守る」ことはできないのである。
コンプライアンス違反排除意識が、企業において根付いてきていることは喜ばしいことではある。しかし、倒産という不運に見舞われないためにも、各企業において不正につながるような誘惑原因を探り、不正を早期に発見し、発見した場合に被害を最小限に押さえ込む仕組みを構築していくことこそ必要であると考える。
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