金融庁、「違反事実なし」勧告覆す
2012/10/23 金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険

事案の概要
証券取引等監視委員会の勧告が覆るのは2例目で、インサイダー取引では初めて。
監視委は、男性がジャスダック上場のシステム会社「SJI」株を巡り、同社が香港の会社と業務提携するという未公表情報を、この香港の会社役員から入手しながら、SJI株を購入したとして、55万円の課徴金を支払うよう勧告した。
男性は株の購入は認めたが、「誰から情報を聞いたか覚えていない」と主張。金融庁は勧告の妥当性を判断する公開審判を6、8月の2回にわたって開催した。この開かれた金融庁の「審判」で、裁判官や弁護士出身者ら3人の審判官は、監視委の調査段階での男性の供述のうち、重要事実の伝達について「信用性が乏しく、採用しがたい」とし、法令違反にはあたらない立場の人物から聞いたと判断したとみられる。
コメント
インサイダー取引については、日本証券業協会が罰則の強化の方針を示し、今後は金融審議会での不正取引に関する規制強化の議論を進めることになっている。その中での金融庁による勧告の覆しは、大きな事態といえるだろう。今回の男性の場合は個人的な行動のようで、組織的というわけではなかったのでの証拠の収集が難しかったのかもしれない。
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