改正金融商品取引法が成立 「総合取引所」の制度盛り込む
2012/09/07 金融法務, 法改正対応, 金融商品取引法, 法改正, 金融・証券・保険

概要
株式などの証券や商品先物の売買を一体的に取り扱う「総合取引所」構想の実現に向けた制度整備を盛り込んだ改正金融商品取引法(金商法)が6日午後、衆院本会議で可決した。同改正は、既に参議院で可決されており、衆院の可決により成立した。
現行法では証券・金融の取引所は金融庁、工業品は経済産業省、穀物は農林水産省に分かれていた規制・監督権限を、今回の改正により原則として金融庁に一本化する。これにより、商品デリバティブ(金融派生商品)には商社や証券会社など幅広い業者が参加することができるようになる。来年1月には東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合され、金融商品を扱う取引所として日本取引所グループが整備される予定になっている。今後、今回の金商法改正により、商品先物を扱う取引所が合流することが可能となる。
グローバル化する金融・資本市場の中で、取引所の合併・再編などにより、商品取引の競争は世界規模で激しさを増している。しかし、世界の商品取引は2004年以降約4倍に増えたのに対して、国内では4分の1に減っている。政府は、金商法の改正や総合取引所の実現により、日本市場における商品取引の活性化を目指す方針だ。
このほかにも、企業の粉飾決算事件などを受けて、行政処分である課徴金の対象を開示書類の虚偽記載に加担した外部者に拡大する。海外ファンドによる不公正取引も新たに課徴金の対象にして、不公正な株取引に対する抑止効果を高めるという。
コメント
従来は縦割りであった規制・監督官庁の一元化により、総合取引所の実現に向けて一歩動き出した。総合取引所が実現すると、取引所にとっては規制・監督コストの重複が避けられるというメリットがある。また取引業者にとっては取扱商品の拡充や流動性の向上が見込まれる。投資家にも、商品ごとに別々だった取引口座を一本化しやすくなるというメリットがある。他方で、取引所の利用者である投資家と、証券会社等の取引の仕組みや発注システムなどが上手く機能するようにしなければ、結局従来と変わらないのではないかという懸念も指摘されている。
今後は、証券取引所と商品取引所の合併に向けて、当事者である取引所が動き出し、焦点である総合取引所の実現が達成されるか注目される。
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