茶のしずく石けん訴訟、請求総額100億超に
2012/08/09 消費者取引関連法務, 製造物責任法, メーカー

概要
福岡県の石けん製造販売会社「悠香」が販売した「茶のしずく石けん」の旧製品による小麦アレルギー被害を受けた購入者らが、同社らに製造物責任法(PL法)3条に基づく損害賠償を求める訴訟が各地で提起されている。
そんな中、茨城県と福島県の女性5人が6日、同社らに計6500万円の賠償を求める訴訟を水戸地裁に提起した。
これにより、同様の訴訟は今回を含め全国23都道府県で起こされ、原告は764人、請求総額は約100億3000万円となった。
原告らは、旧製品にはアレルギー症状の既往がない健常者にアレルギー症状を発症させるという欠陥があり、洗顔石けんとして通常有すべき安全性を欠いていたことにより、小麦を食べた後のまぶたの腫れや顔のかゆみ、鼻水、じんましん、血圧低下や呼吸困難等の健康被害を引き起こしたと主張している。
旧製品に対しては、今年4月に全国の500人余りが計約70億4000万円の賠償を求めて一斉提訴して以来、各地で弁護団の結成・被害対策窓口の設置などがなされ、同様の訴えを提起する動きが活発になっていた。
コメント
PL法3条は、「製造業者等は、その製造…をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」と規定する。
つまり、製造物に「欠陥」が存在すれば過失の有無にかかわらず賠償責任を肯定するので(無過失責任)、商品製造の知識に疎い消費者が製造業者側の「過失」を証明しなければならない不法行為責任(民法709条)の追及よりも、被害者救済に資する。
しかし、それでもなお「欠陥」と「損害」との因果関係(「により」)の証明責任は負う。
今回のように、石けんの利用者である原告が多数おり、しかもその年齢・健康状態・既往症などが多種多様である状況下では、各人の健康被害が石けんの欠陥との因果関係を有するかを証明・認定するのは、医学的な専門知識及び膨大な時間を要する作業となろう。
よって、証明責任の公平な負担・紛争の早期解決のため、経験則の活用や蓋然性の立証等の方法により、消費者の証明責任を軽減するべきである。
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