続・「物言う株主」たちの戦い-ここが「ふんばりどき」?-
2012/07/02 商事法務, 総会対応, 会社法, 金融・証券・保険

概要
インサイダー問題に揺れた今年の野村ホールディングスの株主総会。今回議決の対象となった議案は実に19個に及ぶが、その中で会社側によって提出されたのは取締役の選任に関わる第1号議案のみ。その余の18個については、たった一人の個人株主によるものであった。その中でももっとも注目を集めたのが、第12号議案「定款一部変更の件(日常の基本動作の見直しについて)」である。
当該議案において提案されているのは、なんとオフィス内の便器の和式化を定款に明記すること。その理由は、破綻寸前の野村HDは今が「ふんばりどき」であり、和式便器に毎日またがって下半身のねばりを強化すれば、かならず破綻は回避できる…というものであった。
その他にも、まともに機能していない取締役を敢えていい加減な呼称「クリスタル役」で呼ぶことを定款で定めることとする提案、定款における期日の記載に「グレゴリオ暦協定世界時における」を加える提案(社員が太陰暦およびグリニッジ標準時に基づいて有給休暇を取得する事故を防ぐため、だという)など、実にバリエーション豊かである。
今回この株主が法的根拠としたのは会社法303条に規定される株主提案権、そして同305条に規定される議案要領の通知記載請求権である。総株主の議決権の1/100以上、或いは300個以上の議決権を(公開会社においては6ヶ月以上)保有する者は、株主総会の期日の8週間前までに一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することが出来、これを株主総会の通知に記載することも要求することが出来る(取締役会設置会社においては前述と同様の保有要件の充足が必要となる。また、これらの要件は定款による緩和が可能である)。上場企業において個人株主が議決権の1%を確保することはまず考えられず、300個の議決権を保有することが現実的な要件となる。
コメント
結局、これらの株主提案は全てが否決されることとなった。今回の株主提案の内容については、そもそも提案としての妥当性に関しても議論の余地があるところではある。しかし、株主が配当を受け取るだけの受動的な立場を超えて積極的な意思表示を行った、という点においては意義を認めうるであろう。
【関連リンク】
野村ホールディングス第108回株主総会召集通知
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