フランスとギリシャ、国内政治への考察
2012/05/10   海外進出, 外国法, その他

事案の概要
フランス大統領選は決選投票が実施され、社会党のフランソワ・オランド氏が、二期目を目指した保守系与党・国民運動連合のニコラ・サルコジ氏を破り当選を決めた。
欧州債務危機の下、失業対策や経済政策が争点となり、オランド氏は、公務員の増員や富裕層への課税強化などを打ち出した。サルコジ氏はドイツのメルケル首相とともに危機克服に向け、欧州で主導的な役割を果たしたが、国内経済の低迷が厳しく判断された。
国内世論でも、オランド氏の積極的支持というよりはサルコジ氏の消極的不支持を表明する人がいる。オランド氏の経済成長を前提とした政策が効果的に作用するかどうか、疑問の声もある。
その一方で、ギリシャ総選挙では緊縮策への国民の反発が強い中、新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の連立2党は合わせても過半数に届かず大敗、反緊縮策の野党が躍進した。
ギリシャ総選挙で第一党となり新政権樹立に向けた連立協議を行っていた、NDのサマラス党首は組閣を断念した。大統領は財政緊縮策反対派の第二党、急進左派連合のツィプラス党首に組閣要請したが、同党による政権樹立も困難視されており、6月に再選挙になるとの観測も出始めた。
急進左翼は欧州連合、国際通貨基金からの財政支援の条件である緊縮財政策に反対して票を伸ばした。チプラス党首は緊縮策の放棄や年金や賃金の削減を定めた法律の廃止、銀行の国有化などを主張している。NDのサマラス党首は、チプラス党首の方針に従えばギリシャはユーロ圏からの離脱を余儀なくされるだろうと述べた。
コメント
フランス大統領選挙でオランド氏がサルコジ氏を破り当選を決めたのは、国民がサルコジ氏の政策に不満を持ったことが大きな原因となっている。緊縮財政などに対する強硬な姿勢も、選挙後は支持層にアピールする必要もなくなるので軟化する可能性もあり、これまでのユーロの体制が維持される可能性もある。
しかしギリシャ総選挙の混迷は、国民が緊縮財政というこれまでのユーロの体制に直接反対した結果だ。連立政権が樹立できなければ再び総選挙が実施されるなど、今後の方向性は未だに未知数だ。
同じ政権・与党の敗北でも、フランスとギリシャでは国内状況が異なる。特に援助を受ける側のギリシャが緊縮財政を最終的に受け入れるかどうかで、ユーロの行く先は決定するだろう。
関連コンテンツ
新着情報
- 解説動画
 
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
 - 終了
 - 視聴時間1時間15分
 
- 弁護士
 - 境 孝也弁護士
 - さかい総合法律事務所
 - 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階 
- ニュース
 - 住吉会会長に賠償命令、商号続用で弁済責任を承継 ―東京地裁2025.11.4
 - NEW
 - 指定暴力団住吉会系組員による恐喝事件の被害者が同会の会長に損害賠償を求めていた訴訟で10月27...
 
- 弁護士
 
- 横田 真穂弁護士
 - 弁護士法人咲くやこの花法律事務所
 - 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階 

- 業務効率化
 - Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
 
- 業務効率化
 - 法務の業務効率化
 
- まとめ
 - 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
 - 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...
 
- 解説動画
 
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
 - 終了
 - 視聴時間1時間
 
- セミナー
 
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
 - 終了
 - 2025/05/21
 - 12:00~12:45
 











