大谷翔平の通訳、違法賭博疑いで球団を解雇/日本における賭博の扱い
2024/03/22 コンプライアンス, 外国法

大谷翔平の通訳が違法賭博関与か?
アメリカ・メジャーリーグの野球チーム、ロサンゼルス・ドジャースは、3月21日、大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平氏を解雇したと発表しました。ドジャースは解雇理由を明らかにしていませんが、水原氏に対しては、違法賭博への関与や大谷選手の資金の着服などの疑いが持たれています。
通訳解雇の経緯
報道などによりますと、ドジャースに所属する大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平氏が球団から解雇されたということです。
水原氏は違法賭博に関与していたとみられ、その賭博のために大谷選手の口座から450万ドル、日本円にして約6億8000万円を着服したと大谷選手の代理人弁護士が告発しています。
米大リーグ機構(MLB)では、賭博自体は一部認められていますが、処罰の対象となるものもあります。
■認められているもの
・選手や審判、球団関係者が野球以外のスポーツの賭博へ参加すること
■処罰の対象となるもの
・野球に関する賭博
・違法なブックメーカーへの参加
ブックメーカーとはいわゆる賭け屋のことを指します。現在、アメリカ国内において、賭博はアメリカ50州のうち約40州で合法となっており、ブックメーカーが合法的に運営されている限り、賭博に参加しても問題ないとされています。ただし、ドジャースの本拠地がある西部カリフォルニア州などでは違法とされています。
アメリカの捜査当局が、運営の違法性が疑っていたブックメーカーの捜査を行っていたところ、大谷選手の口座から当該ブックメーカーへ複数の送金があることがわかったといいます。しかし、大谷選手とブックメーカーのつながりが確認できず、さらに捜査を進めたところ、水原氏の関与が判明したということです。
当初の水原氏の釈明によると、大谷選手の口座から送金のあった450万ドルについては、水原氏がギャンブルで抱えた多額の借金の返済のため、大谷選手に依頼し、埋め合わせとして送金されたものだったとされていました。しかし、大谷選手の代理人弁護士は、後にこれを否定し、水原氏が賭金の支払いのため大谷選手の資金を盗んだと声明を発表しています。なお、大谷選手自身は賭博は行っていないと報道されています。
アメリカのメディアの取材に対して、水原氏はアメリカのバスケットボールリーグや、アメリカンフットボールリーグなどに賭けていたと明かした一方で、「違法だとは知らなかった」と語り、MBLの規則で違反行為と定められる“野球への賭博行為”はなかったと説明しているということです。
今後、さらに詳しく調べが進められる見通しで、どのように賭博行為が行われ、お金が動いたのか注目が集まります。
日本でも賭博行為で会社員が逮捕された事例も
日本においても賭博行為は、刑法第185条本文にて、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。」と規制されています。国内で野球賭博が一時大きな問題となったほか、オンラインカジノの運営や参加を理由に、会社員らが逮捕された事例もありました。
賭博罪(刑法185条)の規定する「賭博」に該当するための要件は以下の2点です。
(1)偶然の勝敗
確実に予見できない事実に関して勝敗を決することで、財物等をやりとりすること。客観的に予見できる事実でも、当事者が予見できないと該当する。
(2)財物・財産上の利益
賭けの対象となるのは、金銭その他、一切の財産上の利益を含み、その価値の大小は問わない。例外として、タバコや飲み物など「一時の娯楽に供する物」を賭けた時には賭博罪に該当しない。
そのため、じゃんけんをして、負けた人がランチや缶コーヒーをご馳走するといったケースでは、「一時の娯楽に供する物」を賭けたものとして問題とはならないものの、「金銭」を渡した場合には、その金額の大小にかかわらず、賭博罪が成立するとされています(大判大正13年2月9日)。
その意味で、賭博罪は、社内でも十分に起こりうる身近な犯罪類型といえます。
コメント
賭博罪は国外犯処罰規定(刑法第三条)の対象となっていません。そのため、社員が海外出張に行った際にカジノで賭け事をする行為は「明らかに賭博行為に該当するが、違法ではない」とされています。
一方で、日本国内から海外のオンラインカジノなどに参加した場合には違法となります。
海外出張でカジノに興じたことを機に、カジノにのめり込み、海外のオンラインカジノへの参加を始める日本人が少なくないといわれています。特に、海外出張が多い企業においては従業員に対し、賭博行為に対する各国の規制、海外オンラインカジノを利用することの違法性などを十分に周知する必要があります。
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