大王製紙会長が会社から80億円の借入れで辞任
2011/09/20 商事法務, コンプライアンス, 会社法, メーカー
事件の概要
大王製紙は、9月16日、「連結会社からの借り入れを巡り、ガバナンス上の問題があった」として、同社の井川意高会長が辞任したこたことを発表した。
記者会見によると、井川氏は、連結対象会社から約80億円を借り入れていれており、そのうち30億円はすでに返済されているとしている。しかし残りの50億円については未だ使途が不明のままであるという。
雑感
このニュースを聞いた時、「なぜここまで大きくなる前に社内で誰も声を上げなかったのか」という単純な疑問が浮かんだ。事件の発覚も今月7日に連結対象会社幹部からのメールがきっかけだったという。井川氏は創業家出身で同社を業界3位にまで押し上げた辣腕経営で知られた。しかし、どんなに業績拡大を実現しても法令順守を忘れた者は経営者失格である。取締役会や監査役も同様である。取締役の利益相反と取締役会や監査役の役割については、会社法を学んだ者なら誰でも知っていることだろう。
創業家出身のワンマン・オーナーに物言いづらい雰囲気が社内にあったことは想像に難くない。しかし、同社の経営理念には「株主・取引先・従業員・地域住民に信頼される総合製紙企業集団として、社会の生活・文化産業の発展に貢献します」とある。特別調査委員会による原因の究明と再発防止策を早急に行いつつ、どこに向けて経営を行っていくのかという経営の初心に今一度戻ってほしい。
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