セコムが株主提案に反対を表明、会社法の基準日について
2026/05/25   商事法務, 総会対応, 会社法, サービス

はじめに

セコムは21日、仏ファンドの「ロンシャン・SICAV」による定時株主総会の基準日の規定を変更する旨の株主提案に対し、反対すると表明していたことがわかりました。配当基準日を3月末としていることなどが理由とのことです。今回は会社法の定時株主総会と基準日について見直していきます。

 

事案の概要

報道によりますと、ロンシャンはセコムに対し、総会基準日を現行の3月31日から5月15日に変更し、開催時期を遅らせるよう提案していたとされます。セコムが有価証券報告書を総会前に余裕を持って開示することで投資家が情報を分析しやすくなり議決権行使の判断に役立つことが理由とのことです。

また、ロンシャンは東京証券取引所が上場企業に求める「資本コストや株価を意識した経営」に関連し、セコムが詳細を開示するよう定款に盛り込むことも提案していたとされます。

これらの提案に対しセコムは反対する意向を示しました。同社では総会招集時期を定款で6月としていることや配当基準日も3月末としていることなどを理由としています。

 

基準日とは

会社法の基準日とは、その日に株主名簿に記載されている人を正式な株主として扱うと定める特定の日を言います。上場会社など公開会社では株主は日々変動するため、会社が株主総会で議決権を行使できる人や剰余金を受け取ることができる人を特定するためにこのような制度が必要となってきます。

会社法124条1項によりますと、「株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる」としています。基準日を定めるかどうかはその会社の任意となっています。

基準日を定める場合、基準日株主が行使できる権利は基準日から3か月以内に行使できるものに限るとされており(同2項カッコ書き)、定款で定めずに基準日を定めた場合は基準日の2週間前までに公告をすることが必要とされます(同3項)。

 

定時株主総会と基準日

会社法296条1項によりますと、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」とされています。つまり毎年必ず定時株主総会を開催しなければならないと規定されているだけで、具体的にいつ開催しなければならないかまでは規定されていません。

そして、一般的に多くの企業は事業年度を4月1日から翌年3月31日までと定款で規定しており、この事業年度末の3月31日を定時株主総会での議決権行使の基準日としています。上記のように124条2項では基準日株主の権利行使は基準日から3か月以内と定められていることから多くの企業が6月中に株主総会を開催することとなります。

このように事実上多くの企業が事業年度末から3か月以内に定時株主総会を開催することが一般化していると言えます。

 

会社法以外の法令による影響

法人税法では、企業の確定申告の期限は原則として事業年度末から2か月以内とされています。ただし、法人税法75条の2第1項によりますと、定款の定めまたは特別の事情により事業年度終了日の翌日から2か月以内に定時株主総会が招集されない状況にあると認められる場合には提出期限を1か月間延長することができるとされています。

つまり事業年度終了から2か月以内に定時株主総会を開催しない旨定款で定められている会社では事業年度終了から確定申告まで3か月の猶予が与えられるということです。

また、企業は事業年度終了後、定時株主総会までに計算書類や事業報告を作成し、定時総会で承認を受ける必要がありますが、事業年度終了してから3ヶ月後に定時総会を開催することによりこれらの書類の作成期間を確保することもできると言えます。

 

コメント

セコムの定款によりますと、事業年度は4月1日から翌年3月31日となっており、基準日は3月31日、毎年6月に定時株主総会を招集としています。これに対し、ロンシャンは基準日を5月15日に変更するよう要求していたとされています。

セコム側は剰余金配当の基準日3月末であることや定時総会を6月と定めてきたことなどを理由に反対の意向を表明しています。同様の提案は2023年から3回目とされておりいずれも否決されているとのことです。

以上のように会社法では定時株主総会の開催自体は毎事業年度ごとに義務付けていますが、具体的な時期については規定されておらず、6月以外に開催することも可能です。なお、定時株主総会の開催自体を怠った場合は罰則として100万円以下の過料が規定されています(976条18号)。招集手続きだけでなくこれらの規定にも留意し社内規定の管理や見直しを進めていくことが重要と言えるでしょう。

 

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。