ダウンロードよりダウンロード支援が違法?
2011/08/25 知財・ライセンス, 著作権法, エンターテイメント

事件の概要
日本コロムビア株式会社を始めとするレコード会社30社及び音楽出版会社1社は、YouYubeからの動画ダウンロード支援サイト「TUBEFIRE」を運営する株式会社ミュージックゲートに対して、前記会社等が権利を有するビデオクリップなどの動画及び音源ダウンロードサービスの停止並びに損害賠償約2億3000万円を求める訴訟を、8月19日に東京地方裁判所に提起した。
今回訴訟が提起されたのは、著作権のうちの公衆送信権(送信可能化権)及び複製権の侵害があると前記31社が主張するためである。というのも、「TUBEFIRE」によるダウンロード支援サービスを提供すると、ミュージックゲート社が管理するサーバーに、原告らが権利を有する動画等のファイルが権利者の許諾なしに複製・保存されるためである。
雑感
今回の訴訟では、ダウンロードそのものでもなく、またダウンロードの必須の前提であるアップロードでもなく、ダウンロード支援サービスが、訴訟の対象になっている。著作権が権利者の経済的利益を保護する性質をも有するものであるなら、その利益を直接に害するアップロードやダウンロードの行為者を提訴するのが、理屈の上からは素直であると考える。
ただし、国民の73%が動画共有サイトを利用し、36%がダウンロード経験がある、という現実を考えると、アップロードやダウンロードを行なった者の数は莫大で、それらを一人一人訴えるのは、事実上不可能である。さらに、著作権法30条の改正によっても、ダウンロードを行なった者が違法となる場合、違法性を立証できる場合は限定的である。
この現実を踏まえると、数は少ないが著作権侵害に大きな影響力を持ち、私的複製に当たらないため著作権侵害の立証が容易である、ダウンロード支援サービス提供企業を対象に訴訟を提起し、違法ダウンロードを減少させることで著作権を保護しようとしたのではないか、と考えられる。
【関連リンク】
一般社団法人日本レコード協会 プレスリリース
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- ニュース
- 最高裁、父親の性的虐待で賠償認めず、民法の除斥期間とは2025.4.23
- 子どもの頃に性的虐待を受けたとして40代の女性が父親に損害賠償を求めていた訴訟で16日、最高裁...

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階

- まとめ
- 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
- 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード