知的財産権の戦略的利用と市場戦略
2011/07/22 知財・ライセンス, 特許法, メーカー

ノキアとアップルの特許紛争
携帯電話機大手のノキア(フィンランド)と米アップル社とは、スマートフォン(高機能携帯電話)技術において特許紛争を繰り広げてきた。それが、先月14日、ノキアがアップルから多額の特許使用料を受け取るという形で和解が成立した。和解金には、推定数億ドルとみられる一時金のほか、アップルの「iPhone(アイフォーン)」販売台数に応じて支払われる特許使用料もあり、株価低迷していたノキアの業績は一時的には支えられることとなった。
ノキアの市場戦略失敗!?
しかし、ノキアは特許訴訟で勝利したものの、スマートフォン市場ではシェアを失い続けている。ノキアは第2四半期にスマートフォン販売台数でアップルに抜かれ、スマートフォンメーカー最大手の座から陥落した。ノキアの第2四半期の出荷台数は前年同期比34%減の1670万台となったのに対し、iPhoneは2030万台に達した。
もっとも、ノキアのスティーブン・エロップ最高経営責任者(CEO)は、米マイクロソフト(MS)との提携による巻き返しに楽観姿勢を強めている。先月21日、シンガポールで開いた記者会見では、MS製の基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン」を搭載したスマートフォン発売に向け、「予想以上に前進している」と強調した。
しかし、ノキアのMS製OSへの移行を受けて、不評の独自OS「シンビアン」搭載機の売り上げ低下が加速している。同社は第2四半期の決算で、売上高が前年同期比7%減の93億ユーロに落ち込み、最終損益が3億6800万ユーロの赤字を計上している。
知的財産権利用と市場戦略とは車の両輪
ノキアの技術者は、初期のスマートフォン技術開発では最前線に立っていた。アップルはアイフォーンの成功の一部がノキアの技術のおかげだと認めているし、ノキアは今でも貴重な特許を数多く保有している。
もちろん、技術力を知的財産権として戦略的に有効に使えば、特許使用料によって他社製品の製造コストを引き上げることができ、相対的に自社製品を市場において有利な地位に立たせることができる。
しかし、技術力だけでは市場シェアを伸ばせないところに市場戦略の難しさがある。そこでは、緻密な市場調査や広告戦略など総合的な対策が必要となろう。知的財産権の戦略的利用と市場戦略とのバランス感覚が求められる。
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