亀田製菓が定款変更して任期を2年から1年に、取締役の任期について
2026/05/20 商事法務, 総会対応, 会社法

はじめに
亀田製菓は13日、2026年3月期の連結純利益が前期比4.5倍の246億円であったと発表しました。また、定款を変更して取締役の任期を2年から1年に変更する方針であるとのことです。今回は取締役の任期について見直していきます。
事案の概要
報道などによりますと、亀田製菓の売上高は前期比34%増の1380億円で営業利益は前期比37%増の75億円だったとされます。また、食品事業の売上高は前期比3%減の88億円となったものの国内米菓事業は「亀田の柿の種」など定番ブランドの価格改定で収益が回復していたとのことです。
そして、同社は定款を変更して取締役の任期を2年から1年に短縮する方針であることを発表しました。取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制を構築することが目的とされています。また、あわせて剰余金の配当などを取締役の決議で定めることができる旨も追加するとのことです。
6月23日開催予定の定時株主総会で付議するとされています。
取締役の任期
会社法332条1項によりますと、「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」とされています。定款で何ら規定を置いていない場合はこのように取締役の任期は原則として2年となっています。この任期は定款または株主総会によって短縮することができます(同ただし書き)。
非公開会社の場合は10年を限度として伸長することも可能です。この場合でも、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社は伸長できず、取締役の任期は1年に固定されることとなります(同3項、6項)。なお、監査等委員である取締役の任期は2年で短縮することはできません(同4項)。
このように会社法では公開・非公開、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社でそれぞれ取締役の任期について異なる規定を置いています。
定款変更による任期変更の際の注意点
上でも触れたように取締役の任期は一定の制限の下、定款で変更することができます。小規模な非公開会社では任期を10年まで伸長している場合も多いと言えます。それではこのような定款変更が行われた際、既存の取締役の任期はどうなるのでしょうか。
この場合、定款で定められた新しい任期が既存の取締役にも適用されることとなるとされています。例えば、任期10年として選任されていた取締役が存在する会社が、定款変更によって任期を2年とした場合はその取締役は10年ではなく2年で退任することとなります。
この定款変更がなされた時点で当該取締役に新しい任期を適用すると、数年前に既に退任していたことになってしまう場合は過去に遡って退任したこととみなされるのではなく、定款変更がなされた時点で任期満了退任したこととして扱われることに注意が必要です。
その他の役員の任期
ここで取締役以外の役員等の任期にも触れておきます。まず、監査役の任期は原則として4年となっており、取締役と同様に非公開会社では最大10年まで伸長することが可能です(336条1項、2項)。しかし、取締役と異なり短縮することはできません。
会計参与は取締役と同様に原則2年となっており、非公開会社で10年まで伸長することも、2年よりも短く短縮することも可能となっています(334条1項、332条1項、2項)。そして、取締役も含め、監査役、会計参与は非公開会社が株式の譲渡制限の規定を廃止して公開会社となった場合はその時点で任期満了となります(332条7項3号等)。
そして、会計監査人の任期は1年に固定されています(338条1項)。会計監査人の任期はその他の役員と異なり短縮も伸長もできませんが、定時株主総会で別段の決議をしない場合は自動的に再任されたものとみなされます(同2項)。
コメント
本件で亀田製菓は今年の定時株主総会で定款変更し、取締役の任期を2年から1年に短縮する方針であるとされます。これにより取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制を構築するとしています。
一般に取締役の任期を短縮すると株主総会による信任の頻度を高め、株主によるコントロールを強化する効果があると言えます。そのため、剰余金配当の委任など取締役の権限の範囲も広がります。一方で、取締役の任期満了による退任や新たな選任など手続きが煩雑になり、会社の負担するコストも増加すると言えます。
役員の任期を定めるに際しては、そのメリット・デメリットを考慮して自社の状況に合った期間や変更時期を伸長に検討していくことが重要と言えるでしょう。
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