スリムビューティハウスに3ヶ月間の業務停止命令(特定商取引法違反疑い)
2026/02/09 契約法務, コンプライアンス, 消費者契約法, 特定商取引法, サービス

はじめに
エステ大手「スリムビューティハウス」に対し、消費者庁が3ヶ月間の業務停止命令を出していたことがわかりました。
クーリングオフなどについて虚偽の告知をしていたとのことです。今回は特定商取引法の特定継続的役務提供について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、スリムビューティハウスは2024年6月から25年3月にかけて、勧誘の際、エステ契約の条件としていた食品の購入契約について、「決まっていますので解約はできませんよ」などとクーリングオフができないかのように体験者に告げていたとされます。
また、これ以外にも契約をしない旨の意思を示したにもかかわらず「痩せたいと思いませんか」「このプランだったらどうですか」「一番安いプランですよ」などと執拗に勧誘し、契約締結に持ち込んでいたとのことです。
これを受けて消費者庁は、株式会社スリムビューティハウスおよび代表取締役に対し、に3ヶ月間の業務停止命令(一部業務を除く)を出しました。
同社は「今回の処分を真摯に受け止め、信頼回復に努めます」としているといいます。
特定継続的役務提供とは
特定継続的役務提供とは、長期・継続的な役務の提供とこれに対する高額の対価を約する取引をいいます。
現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7役務が対象となっています(特定商取引法41条)。
これらの役務提供については契約期間と金額が指定されており、金額については一律5万円を超えるものとなっていますが、期間についてはエステティックでは1か月、それ以外では2か月以上のものが規制の対象となります。
これらの特定継続的役務提供については、特定商取引法で厳格な規制が置かれており、書面の交付義務や各種禁止事項、そしてクーリングオフ制度などが定められています。以下、具体的に見ていきます。
特定継続的役務提供に対する規制
特定商取引法では、事業者が特定継続的役務提供について契約する場合、まず書面の交付を義務付けています(42条)。
この書面は概要書面と契約書面の2種類があり、契約の締結前に当該契約の概要を示した概要書面を、そして契約締結後には遅滞なく契約内容について明らかにした契約書面を交付する必要があります。
次に、禁止事項として誇大広告等の禁止などが定められています(43条)。
事業者は役務の内容などについて「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」をすることを禁止されています。
さらに、契約の締結について勧誘を行う際、または契約の解除を妨げるために事実と違うことを告げたり、故意に事実を告げないこと、また解除を妨げるために相手を威迫して困惑させることが禁止されています(44条)。
加えて、前払方式で5万円を超える特定継続的役務提供を行う事業者に対しては、消費者が事業者の財務内容などについて確認できるように貸借対照表や損益計算書などを備え置き、消費者の求めに応じて閲覧できるようにしておくことも義務付けられています(45条)。
クーリング・オフ等
特定継続的役務提供は、消費者が契約を締結しても、書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフすることができます(48条)。
事業者が事実と異なることを告げていたり、威迫したりすることによって消費者が誤認や困惑してクーリング・オフをしなかった場合は、期間が経過した後でもクーリング・オフが可能です。
また、特定継続的役務提供のために必要だと説明されて契約した関連商品についても、特定継続的役務提供契約のクーリング・オフに伴って一緒にクーリング・オフをすることが可能です。
たとえば、エステティックに関する関連商品としては健康食品や化粧品、石鹸、浴用剤、下着類、美顔器、脱毛器などが挙げられています。
そして、消費者は上記クーリング・オフ期間の経過後であっても将来に向かって当該特定継続的役務提供契約を中途解約することも可能となっています(49条)。
その際に事業者が消費者に対して請求できる損害賠償には上限が設けられており、たとえばエステティックでは2万円、語学教室では1万5000円などとなっています。
コメント
本件でスリムビューティハウスは、顧客を勧誘する際に契約の条件として食品の購入を求めており、それについてはクーリング・オフができないかのように告げていたとされます。
このような場合、食品は関連商品に該当し、継続的役務提供契約と一緒にクーリング・オフが可能であり、契約解除を妨げるための不実告知に該当するものと考えられます。
以上のように、特定商取引法では一定の特定継続的役務提供について詳細な規制を置いており、違反に対しては業務停止命令や業務禁止命令、一部については罰則も設けられています。
該当する事業を展開している場合は、これらの規制に抵触していないか、また顧客に執拗な勧誘を行っていないかなど社内で周知・徹底していくことが重要といえるでしょう。
関連コンテンツ
新着情報
- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分
- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- ニュース
- ヤマハ発動機がジュビロの株式取得、子会社化へ2026.2.5
- NEW
- ヤマハ発動機は1月29日、株式会社ジュビロの発行する新株を取得する旨発表しました。 これ...
- 弁護士

- 加藤 賢弁護士
- 弁護士法人 瓜生・糸賀法律事務所
- 〒107-6036
東京都港区赤坂1丁目12番32号アーク森ビル36階

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- 法務の業務効率化
- 弁護士
- 境 孝也弁護士
- さかい総合法律事務所
- 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階
- セミナー
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
- 終了
- 2025/05/21
- 12:00~12:45
- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間










