ズワイガニで不適正表示、西友に是正指示
2023/02/27 コンプライアンス, 広告法務, 食料品メーカー

はじめに
食品表示に関し、スーパーマーケット大手の「西友」が農林水産省より是正指示を受けました。農林水産省の発表によりますと、西友において、「紅ずわいがに」であるにもかかわらず「ずわいがに」と、また、「ずわいがに」であるにもかかわらず「紅ずわいがに」と誤って表示して販売していたということです。
農水省は西友に対し、食品表示法に基づき指導を行い、表示の是正と併せて、原因の究明・分析の徹底、再発防止対策の実施等について指示(食品表示法第6条1項)を行いました。
是正指示の経緯
農水省は、令和3年11月11日から令和5年2月1日にかけて、西友とその傘下にあるサニーの計13店舗に対し、食品表示法第8条第2項の規定に基づく立入検査等を行ったところ、不正を確認したということです。
【不適正な食品表示の内容】
①生鮮水産物かに類、商品名「生ずわいがに」の名称について
「紅ずわいがに」であるにもかかわらず「ずわいがに」と表示。
少なくとも令和2年3月27日から令和4年1月15日までの間に、359パックを、傘下10店舗において一般消費者に販売。
②生鮮水産物かに類 商品名「生紅ずわいがに」の名称について
「ずわいがに」でありながら、「紅ずわいがに」と表示。
少なくとも令和3年5月2日から令和3年11月6日までの間に、50パックを、傘下5店舗において一般消費者に販売。
是正指示の内容は?
食品表示基準の規定に違反するとして、農水省が行なった指示は以下です。
①販売する全食品の表示に関する点検を実施し、不適正な表示の食品は適正な表示に直すこと。
|
食品表示基準とは?
では、そもそも「食品表示基準」とはどのような位置づけのものなのでしょうか。
食品表示基準は、食品表示法第4条に基づいて定められる、“販売用の食品”に関する表示の基準です。食物アレルギーの原因となる物質や、保存方法、賞味期限、原材料や添加物、栄養成分の種類や量といった、「食品を消費者が安全に口に入れ、自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項」を厳格かつ細密に定めています。
今回、「ずわいがに」と「紅ずわいがに」の表示が農水省から問題視されましたが、カニ類に限らず、魚介類は種類によって品質や価格、人気に違いがある場合があります。そのため、消費者の購入の判断のために、販売されているのがどの種類なのか、食品に含まれているのがどの種類なのか、名称を適切に表示する必要があるということです。
報道などによりますと、西友は、「売り場担当者において、ずわいがにと紅ずわいがにを区別して表示する必要性の認識が不十分で、本社の指導体制も不十分だった」と説明しているということです。
西友は、HP上で「農林水産省からの指示内容および食品表示法に則り、今後再発防止策を徹底し、正しい名称での販売を徹底してまいります。同時に、正しい商品知識の習得を徹底いたします」とコメントを発表し、是正指示を受けた内容に真摯に取り組む姿勢を見せています。
コメント
令和4年7月に農水省が発表した資料によりますと、食品表示法の食品表示基準に係る“指導”の件数は、令和3年度が156件。今回、西友が受けたような“指示”(「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、“指導”に該当しない場合に行う)が10件となっています。
特に、「原材料名の誤表示・不表示」と「原産地等の誤表示・不表示」を指摘されるケースが多く、販売用の食品を扱う企業においては注意が必要です。
今回の西友のように、売り場担当者の食品表示に対するリテラシー・意識の差が行政指導に繋がるおそれもあります。法務として、食品表示に関する現場への啓もう・教育が重要になって来ます。
新着情報

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分

- まとめ
- 独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」 まとめ2024.5.8
- 企業同士が連絡を取り合い、本来それぞれの企業が決めるべき商品の価格や生産量を共同で取り決める行...

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- ニュース
- 会社に対する「就労証明書」の作成強要未遂に無罪判決 ー大阪高裁2025.4.28
- NEW
- 会社に就労証明書の作成を求めたことで、強要未遂の罪に問われた労働組合員に対する差し戻し審で大...

- セミナー
松尾 剛行 弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所/第一東京弁護士会)
- 【オンライン】2040年の企業法務への招待。〜松尾剛行先生に聞く、AI による法務業務の効率化とその限界〜
- 終了
- 2025/03/06
- 12:00~13:00
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号