【改正食品衛生法】厚労省が「食品の営業規制の平準化に関する検討会」を開催
2022/07/29 コンプライアンス, 行政対応, 外食, 食料品メーカー
はじめに
厚生労働省は2022年7月24日、第6回「食品の営業規制の平準化に関する検討会」を開催しました。第6回は、営業規制の平準化に関する運用に関する議題が取り上げられ、検討結果がホームページ上に公開されています。そこで今回は、同検討会での検討内容を詳しく見ていきましょう。
食品衛生法改正の目的
今回の主な議題は、「改正食品衛生法の施行について」でした。同法改正の趣旨としては、主に以下の二つです。
(1)日本の食をとりまく環境変化や国際化等に対応し、食品の安全を確保するために、広域的な食中毒事案への対策強化すること
(2)事業者による衛生管理の向上、食品による健康被害情報等の把握や対応を的確に行うとともに、国際整合的な食品用器具等の衛生規制の整備、実態等に応じた営業許可・届出制度や食品リコール情報の報告制度の創設等の措置を講ずること
食品衛生法改正の具体的な内容
同法は幾度となく改正されてきましたが、主な改正内容が最初に確認されています。資料によると、平成31年4月1日施行改正法では広域的な食中毒事案への対策強化として、国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のために厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとされました。
また、令和2年6月1日施行の改正法では、HACCP(ハサップ:原材料入荷から製品出荷までの一連の工程のうち、食中毒菌汚染や異物混入等のリスク低減のために特に重要な工程を管理する衛生管理の手法)に沿った衛生管理の強化、特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集、国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備などが掲げられています。
さらに、直近の令和3年6月1日施行改正法では、営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設、食品リコール情報の報告制度の創設、乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化が行われています。
令和3年度食品衛生法改正事項実態把握等事業について
資料で紹介された本調査は、厚生労働省令和3年度食品衛生法改正事項実態把握等事業として、公益社団法人日本食品衛生協会が事業の実施主体となって食品等事業者や各都道府県等における取組みの実態把握等を目的として、下記の3項目について実態把握を実施しており、調査内容が公表されています。
調査によると、HACCP義務化の認知度は全体の8割以上を占め、導入状況については「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が56%、「HACCPに基づく衛生管理」が19.2%で全体の7割以上の事業者が導入していたことがわかっています。
営業許可制度の見直し等
最後に、営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設について紹介されています。現在、食品営業者は「要許可業種」と「要許可業種以外」の2つのみに分類されています。
しかし、「要許可業種」については昭和47年以降、見直しがなされておらず、各業種の現在の食中毒リスク等を踏まえたときに、実態に合っていないとの指摘が挙がっています。
また、「要許可業種以外」については、一部自治体でこそ、条例に基づく届出制度が設けられているものの、それ以外の自治体においては、運用・管理状況を把握する仕組みがない点が課題とされています。
そこで、今後は「要許可業種」、「要届出業種」、「届出対象外」の3つに分類が見直される見通しで、要許可業種は製造業、調理業、加工を伴う販売業等、32業種に再編。要届出業種は温度管理等が必要な包装食品の販売業、冷凍冷蔵倉庫業等、届出対象外は常温で保存可能な包装食品のみの販売することとされる見通しです。
その他、密封包装食品製造業における営業許可業種の見直しについては、缶詰又は瓶詰・食品製造業、ソース類製造業は要許可とされていましたが、見直し後は容器包装に密封され、常温で保存が可能な食品の製造が対象となります。
また、これまで許可不要の対象となっていた事業者については、一定の要件を満たすとして省令で規定する密封包装した食品の製造や冷蔵流通する密封包装食品の製造については、営業許可が必要となる見通しです。
【関連リンク】改正食品衛生法の施行について(令和4年7月 厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品監視安全課)
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