北海道の大手エンタメ企業、スガイディノスが民事再生手続開始を公表
2022/06/10 事業再生・倒産, 破産法

はじめに
スガイディノスは2022年5月30日、民事再生手続開始の申立てをしたことを文書で公表しました。スガイディノスは北海道内で映画館やゲームセンターを運営する会社でしたが、負債総額は約23億円となり、今回札幌地方裁判所に民事再生法の適用を申請することになりました。今回は、スガイディノスの事業や民事再生法を申請するに至った背景などを詳しく解説していきます。
スガイディノスの事業概要
スガイディノスは歌舞伎やサーカス、ジャズライブ、オペラなどの公演を行う「札幌劇場」をルーツとして事業をはじめています。当初は札幌をはじめとした道内外の各所にボウリングセンターをつくりましたが、その後方針転換し、ビリヤードやカラオケが楽しめるエンターテインメント施設の運営を進めてきました。1995年には上場し、バブル崩壊の影響を受けてゲオと提携し、2005年には完全子会社となりました。リーマンショックが生じた2008年には、ゲオからフィットネス事業、インターネットカフェ事業を譲り受けて同社の中核事業となりました。2014年には健康コーポレーション(現ライザップ)グループに加入して「SDエンターテイメント」に社名を変更しましたが、別事業との親和性がないとされ、子会社との切り離しも行われています。その後、北海道の地場ファンドである北海道SOキャピタルが全株を引き受けるかたちで、2018年末に「スガイディノス」がスタートします。
スガイディノスの事業が苦戦した理由
スガイディノスは2019年6月にはスガイディノス札幌中央店を閉店させるなど、その収益性が不安視される事業モデルとなっていました。その後も2020年からのコロナ流行により、ゲームセンター、シネマ、ボウリングといったサービスから顧客が離れ、苦戦を強いられる状況が続いていました。これにより、コロナ前の2019年11月期の決算では約35億円の売上でしたが、2021年11月期は約25億円の売り上げに減少。最終的に民事再生手続き開始までに負債額は約23億円に膨れ上がっており、りそな銀行や商工中金、日本政策金融公庫などから借入れているということです。なお、コロナの影響を受けた企業の負債額では、同社が道内最大となりました。
民事再生手続きとは
法人における民事再生とは、倒産のリスクが高まっている企業の再生を行うため、民事再生法に基づき債務者が裁判所に申立て、債務の一部免除や分割弁済をしつつ、企業の再建を進めていく手続きのことです。民事再生には一定数の債権者の同意が必要であり、申立てをしたところで必ずしも手続きが認められるわけではありません。民事再生の特徴として、「会社更生」と異なり、経営者や役員が退任することなく、経営権を保持したまま会社の再生を進めることができます。また、原則、株主の権利も維持されます。民事再生は手続開始の申立ての後、保全処分という裁判所により行なわれる暫定的処分の発令が行われ、監督委員の選任を経て再生手続開始が通達されます。
■民事再生のメリット・デメリット
【メリット】
(1)債権者の同意次第で、債務の大幅圧縮が可能で、その分、会社再建が容易になる
(2)裁判所が弁済禁止を命令できるため、手形の不渡りや取立を防止できる
(3)原則、現経営陣の退陣は求められない
【デメリット】
(1)取引先・仕入れ先等からの信用の低下
(2)費用を要する(裁判所への予納金・弁護士費用etc.)
コメント
スガイディノスはスポンサー企業との交渉を進行途中であり、同社が運営する各施設の営業は継続されるということです。また、同社の従業員は100人程度おり、雇用も維持されるとのことです。スガイディノスは文書で「事業の再生に向け、全力で取り組んで参ります」とコメントしており、今後の事業の再生に期待がかけられています。民事再生は経営権などの変更はないものの、社会的な信用を失うおそれもあるだけに、経営陣の今後の経営改革の手腕が試されています。
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