経済産業省、総務省「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.2」策定
2022/02/23 コンプライアンス, 情報セキュリティ, 個人情報保護法

はじめに
経済産業省と総務省は、2022年2月18日、昨今ビジネスモデルの変革や技術革新に対応するため、「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.2」を策定しました。今回のガイドブック策定では、トヨタ自動車やヤフー、資生堂などのプライバシーガバナンスを実践する大企業の具体例が追加されています。
ガイドブック策定の背景
日本のさまざまなシーンでデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められるようになった昨今では、ビジネスシーンにおけるプライバシー保護も同時に求められるようになってきました。企業はプライバシーに関する対応を「コスト」としてではなく、経営戦略の一環として捉え、企業価値向上に寄与するものと認識することが求められます。こうした背景から、2020年8月、経済産業省と総務省は佐藤一郎国立情報学研究所教授を座長とする「企業のプライバシーガバナンスモデル検討会」を開催し、企業のプライバシーガバナンス構築のために必要な取り組みを精査しました。その後、2021年7月、「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.0」が策定され、多くの企業の取り組みの参考とされてきました。
ガイドブックver1.2に更新された背景
ver.1.1でも企業のプライバシーガバナンスに関する具体例は記載されていましたが、実践的な企業の具体例をさらに充実させて欲しいという声を受け、ver1.2では企業がプライバシーガバナンスを構築する上で参考となる具体的な事例が追加されました。さらに、個人情報保護法改正に併せて既存表現や参考文献なども追加されています。経済産業省では、今後も社会の動向によるバージョンを更新していくとしています。
ガイドブックver1.2の概要
本ガイドラインはパーソナルデータを利活用した製品・サービスを提供し、消費者のプライバシーへの配慮を求められることを想定しています。想定読者はこれらの配慮を迫られる企業や取引をしているベンダー企業等であり、①企業の経営陣または経営者へ提案できるポジションにいる管理職、②データの利活用や保護に係る事柄を総合的に管理する部門の責任者・担当者などとされています。ガイドラインでは経営者が取り組むべき3要件として、要件1「プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化」、要件2「プライバシー保護責任者の指名」、要件3「プライバシーへの取組に対するリソースの投入」とされています。また、プライバシーガバナンスの重要項目としては、①体制の構築、②運用ルールの策定と周知、③企業内のプライバシーに係る文化の醸成、④消費者とのコミュニケーション、⑤その他のステークホルダーとのコミュニケーションが挙げられています。
「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.2」
コメント
ver1.2では、プライバシーガバナンスに係る取組の例としてトヨタ自動車の「プライバシー保護責任者の指名」、資生堂の「プライバシー影響評価(PIA)」、JCBの「プライバシー影響評価(PIA)」、ヤフーの「プライバシー保護責任者の指名」などが図解とともに説明されています。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が実施した「プライバシーガバナンスに関するアンケート結果」も追記されています。アンケートによると、消費者の73.6%が企業のプライバシー保護の取組に関して高い関心を示している一方で、企業の58.7%は企業自身がプライバシー保護への取組を発信することで、少なからず消費者の消費行動に影響を与えることができると考えていることが明らかになっています。今後は企業のプライバシー意識をさらに高めるとともに、ガイドラインを社会情勢に合わせて更新していくことが期待されます。
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