トヨタ「ヤリス」など11万台余リコール
2021/09/27 消費者取引関連法務, 製造物責任法, その他

はじめに
トヨタ自動車は、交通事故が起きたときに通信する緊急通報装置のプログラムに不具合があり、緊急時に音声通話ができないおそれがあることから、9月22日に「ヤリス」など39車種、11万台余りのリコールを国土交通省に届け出ました。
事案の概要
今年4月から先月までに製造された上記39車種について不具合がありうるということからリコールがなされました。トヨタは同社のHPで確認する限り、今年に入ってからリコールを17回ほど届け出ています。トヨタは全国の販売店で対象車種の改修に無料で応じると述べています。
リコールと法的責任
自社製品について販売後に欠陥が見つかった場合に企業が負いうる責任として、製造物責任法(PL法)に基づく責任が挙げられます。PL法というのは、消費者保護を目的とした法です。PL法の責任を負う場合としては、①当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(製造業者)②自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者(氏名等の表示業者)③当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者(実質的な製造業者)、以上のいずれかに該当する者です(PL法2条3項)。そして、PL法を根拠として損害賠償責任を負うのは、製造業者等が、欠陥のある製造物を引き渡したことにより、他人の生命、身体、財産を侵害した場合です(同法3条)。本件ではトヨタが上記要件を満たすような事故が起きたかは確知できないものの、もし緊急通報装置が原因となり損害が生じた場合、トヨタはPL法を根拠に損害賠償請求され得ます。
免責事由
もっとも、製造業者等が免責事由として以下のいずれかに該当すると証明したときは、損害賠償責任を免れることができます。①当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと(開発危険の抗弁)②当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと、以上2点です。
コメント
自動車産業に限らずAIを取り入れた技術開発が進む昨今において、法的責任の解釈も不明瞭な部分が多いことかと思われます。企業法務従事者としては、自社が責任を負い得る場合・負わない場合をケーススタディ等で認識しておくとよいでしょう。
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