東京都 時短命令等に違反した飲食店の過料を求める通知
2021/08/23 行政対応, 法改正, その他

はじめに
令和3年6月からのまん延防止等重点措置期間中であるにもかかわらず東京都の時短営業命令等に応じなかった飲食店6店舗に対し、東京都は過料を科すべく裁判所に通知しました。
事案の概要
東京都はコロナのまん延を防ぐために、今年6月から7月にかけてまん延防止等重点措置期間を定めており、営業時間の短縮に応じなければ改正特別措置法を根拠に過料を科すとしておりました。
以前にも東京都は裁判所に命令違反の通知を二度行っていましたが、重点措置期間における命令違反に関しては初の通知となります。
改正特別措置法の趣旨
新型コロナウイルス感染症に係る対策の推進を図るため、「まん延防止等重点措置」を創設し、所要の措置を講ずることができることとし、併せて宿泊療養及び自宅療養の要請について法律上の根拠を設ける等の措置を講ずるために改正が行われました。
「まん延防止等重点措置」とは、特定地域からのまん延を抑えるための対応のことをいい、範囲としては原則として区画や市町村単位で行われます。
そして、講じ得る措置としては、事業者に時短要請をしたり、飲食店にアクリル板の設置又は対人距離の確保をしたり等を要請することができます。
改正特別措置法の概要
改正部分の内、本件に関係の深い内容をお伝えします。特定の地域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるまん延を防止するため、営業時間の変更等の要請、要請に応じない場合の命令、命令に違反した場合の過料を規定しました。
そして、飲食店が上記命令に従わなかった場合に初めて、当該飲食店を20万円以下の過料に処すことができます。
もっとも、実効性の点では疑問が残ります。事業規模にもよりますが、20万円という額は1店舗経営でない限りは大きい額とは言えないことから、時短要請及び命令に従わずに通常営業を行っている飲食店も多々あります。
コメント
改正特別措置法の是非はここでは置いておいて、過料を科されないように時短営業をすることは、飲食店をはじめとするサービス業においては大ダメージを負うこととなります。
法律・命令には従うべきだとは思いますが、社員らの生活を守るために経営判断として通常営業を行うことも一概に咎めることができないのかもしれません。一方で、時短要請に従わないことが会社のイメージダウンに繋がるおそれや自社がコロナのクラスター発生の場となるおそれもあります。
そのため、時短要請に従うかそれとも過料を覚悟で通常営業を行うかは難しいところではあります。企業法務従事者としては、改正特別措置法の内容を正確に把握し、経営陣による経営判断に伴う法的リスクが如何なるものなのかを予め予期し、対応策を予め講じるべきでしょう。
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